うつ症状
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

他の気分障害として双極性障害があり、気分・認知機能・エネルギーレベルが何度か異常に高揚するが、しかし抑うつも何度も起こるというエピソードに象徴される[29]。抑うつエピソードが日照時間の減少に伴って季節的に繰り返している場合、それらの障害(大うつ病や双極性障害など)は、季節性情動障害に分類される。

また気分障害ではないが、境界性パーソナリティ障害 (BPD) も一般的に抑うつを訴える。適応障害の診断は、大きなイベントやストレッサーにより、精神的な気分失調が発生したが、その感情・行動の症候が大うつ病エピソードの基準に合致しない時に使われる[30]。また外傷後の心的外傷後ストレス障害不安障害によって、抑うつが引き起こされる事も知られている[31]
診断

抑うつを呈する原因は多々である。うつ病と診断されたが改善されないとして丁寧に問診すると、軽度の認知症患者であったり、他の精神障害であったりといったことは起こっている[8]。1つの診断がついたので他は考慮しないというような思考過程では他の診断の見落としにつながりやすいが、このような短絡的な診断は行われがちであり、診断基準の誤った用い方である[7]。抑うつの診断や重症度を計測するための心理テストには、ベック抑うつ評価尺度(英語版)や小児抑うつ評価尺度(英語版)など様々なものが存在する[32]
治療「うつ病 #治療」も参照

抑うつは専門的治療を必要としなくてもよい。抑うつは特定のライフイベントに対する正常な反応として、また、いくつかの医学的状態の症状、またはいくつかの薬剤または治療法の副作用でもあり得る。特に他の症状が合併している長時間の抑うつは、精神医学的アプローチによる治療(例えば気分障害)が役立つ可能性がある[33]。抑うつのサブタイプによって、治療アプローチは異なる。

精神障害の診断と統計マニュアル』第5版 (DSM-5) には、よくあるストレスや喪失による、愛する人との死別といった、予測可能な反応は精神障害ではないとされ、うつ病の診断基準の注釈においては、死別や経済破綻、災害や重篤な病気などへの反応は、理解可能な、正常な反応である場合もあることが記述され、また死別による抑うつ症状も1-2年続くことがある[3]世界保健機関 (WHO) による2013年の急性ストレスのガイドラインも、死別はほとんどの人に精神障害をもたらさないため、ベンゾジアゼピン系の薬剤を処方してはならないとしている[34]。なお、いかなる場合にも推奨されていない[35]

2009年の英国国立医療技術評価機構 (NICE) のうつ病のガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いために軽症以下のうつ病に抗うつ薬を使用してはいけないとした[11]。2012年の日本うつ病学会の大うつ病障害の治療ガイドラインでは、軽症うつ病には安易な薬物療法は推奨していない[12]

また、抑うつの低減や予防に、認知行動療法とその技法を用いたプログラムが有効であることが明らかになっている[36][37][38]。そこでは、否定的な自動思考を同定し、客観的・多面的な認知に基づき、機能的な思考や自己肯定的な思考へと変更できるようになるための支援や、良かったこと(良い側面)に意識を向けられるようになるためのサポート、気晴らしなどのストレス対処方略や問題解決技法を習得できるようになるための支援などが行われる[36][37][38]。なお、趣味・娯楽活動などを通じた気分転換の実施も抑うつを改善する効果がある[39]

ハーバード大学医学大学院精神医学教室准教授のリチャード・シュワルツによると、光療法季節性情動障害などの改善に有望であり、この恩恵は朝の散歩や外に座ることでも得られ、投薬の軽減につながりうる[40]。ただし光療法に関するエビデンスの質は未だ不十分とされる[41]
予防

抑うつは、後のうつ病のリスク要因となるうえ、学業・業務や対人関係などに様々な悪影響を与えることから、抑うつを予防するための予防的介入に関する研究が行われており、予防プログラムを実施する必要性が示されている[38][37][42]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:56 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef