うつ症状
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抑うつは薬物乱用によっても引き起こされる[26]。患者に投与されるいくつかの医薬品は、抑うつを引き起こすことが知られている。ステロイドインターフェロンインターロイキンレセルピンなどは薬剤性うつ病を起こしやすい[27]
精神障害詳細は「気分障害」を参照

多くの精神障害について、その主訴は抑うつである[4]気分障害は主に気分不調を訴える疾患のグループである。このグループには、うつ病(あるいは大うつ病性障害)が含まれ、これは最低2週間抑うつ状況にあり、最近の一切の活動意欲や喜びを喪失している状況である。また気分変調症も含まれ、これは慢性的に抑うつ状況にあるが、うつ病の基準を満たすほど重症ではない状況である。

抑うつ状態のうち『精神障害の診断と統計マニュアル』において、大うつ病性障害として扱われるのは、1日のほとんどやほぼ毎日、2、3週間は抑うつであり、さらに著しい機能の障害を引き起こすほど重症である場合である[6]

うつ病に陥った人々は、悲壮感、不安感、空虚感、絶望感、焦燥感、罪悪感、短気、痛み、気分が休まらない、などの感情となっている。彼らはかつて喜びに満ちた活動であったことに対して意欲を失っており、食欲衰退するか過食となり、集中力や記憶力や意思決定に問題を起こし、自殺について考慮・挑戦・宣言し、不眠、過眠、疲労感、エネルギー喪失、長期の体部の痛み、消化系の不良などを訴える[28]

他の気分障害として双極性障害があり、気分・認知機能・エネルギーレベルが何度か異常に高揚するが、しかし抑うつも何度も起こるというエピソードに象徴される[29]。抑うつエピソードが日照時間の減少に伴って季節的に繰り返している場合、それらの障害(大うつ病や双極性障害など)は、季節性情動障害に分類される。

また気分障害ではないが、境界性パーソナリティ障害 (BPD) も一般的に抑うつを訴える。適応障害の診断は、大きなイベントやストレッサーにより、精神的な気分失調が発生したが、その感情・行動の症候が大うつ病エピソードの基準に合致しない時に使われる[30]。また外傷後の心的外傷後ストレス障害不安障害によって、抑うつが引き起こされる事も知られている[31]
診断

抑うつを呈する原因は多々である。うつ病と診断されたが改善されないとして丁寧に問診すると、軽度の認知症患者であったり、他の精神障害であったりといったことは起こっている[8]。1つの診断がついたので他は考慮しないというような思考過程では他の診断の見落としにつながりやすいが、このような短絡的な診断は行われがちであり、診断基準の誤った用い方である[7]。抑うつの診断や重症度を計測するための心理テストには、ベック抑うつ評価尺度(英語版)や小児抑うつ評価尺度(英語版)など様々なものが存在する[32]
治療「うつ病 #治療」も参照

抑うつは専門的治療を必要としなくてもよい。抑うつは特定のライフイベントに対する正常な反応として、また、いくつかの医学的状態の症状、またはいくつかの薬剤または治療法の副作用でもあり得る。特に他の症状が合併している長時間の抑うつは、精神医学的アプローチによる治療(例えば気分障害)が役立つ可能性がある[33]。抑うつのサブタイプによって、治療アプローチは異なる。

精神障害の診断と統計マニュアル』第5版 (DSM-5) には、よくあるストレスや喪失による、愛する人との死別といった、予測可能な反応は精神障害ではないとされ、うつ病の診断基準の注釈においては、死別や経済破綻、災害や重篤な病気などへの反応は、理解可能な、正常な反応である場合もあることが記述され、また死別による抑うつ症状も1-2年続くことがある[3]世界保健機関 (WHO) による2013年の急性ストレスのガイドラインも、死別はほとんどの人に精神障害をもたらさないため、ベンゾジアゼピン系の薬剤を処方してはならないとしている[34]。なお、いかなる場合にも推奨されていない[35]

2009年の英国国立医療技術評価機構 (NICE) のうつ病のガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いために軽症以下のうつ病に抗うつ薬を使用してはいけないとした[11]。2012年の日本うつ病学会の大うつ病障害の治療ガイドラインでは、軽症うつ病には安易な薬物療法は推奨していない[12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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