いま、そこにある危機
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再選を目指すアメリカ大統領は、彼の政権による麻薬戦争の失敗を訴えアメリカ国民の心を掴んだオハイオ州知事、J・ロバート・ファウラーという激しい対抗馬に出会う。これにより、国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイムズ・カッターは、コロンビアでの違法な麻薬取引を妨害する目的で、コロンビア国内で秘密工作を始めるのに役立つ機会を得た。CIA副長官(作戦担当)ロバート・リッターとCIA長官アーサー・ムーアの支援を受けて、計画にはヒスパニック系の軽歩兵部隊をコロンビア国内に投入し、カルテルが使用する仮設滑走路を張り込ませ(「ショーボート」)、F-15イーグルが麻薬飛行を阻止できるようにすること(「イーグル・アイ」)が含まれる。さらに、カルテル経営者間の携帯電話通信は、ショーボートの通信部門でもある「ケイパー」を通して傍受される。

一方、アメリカ沿岸警備隊監視艦(カッター)「パナッシュ」はカリブ海でヨットを臨検し、パナッシュの乗組員は、船主とその家族を殺害した後に船を掃除している2人のヒスパニック系の男を発見する。模擬裁判と模擬処刑を通して、沿岸警備隊員は殺人者に罪を自白させる。のちに、殺害された船主は、コロンビアの麻薬カルテルの資金洗浄計画に関与していた実業家であったことが判明した。その後、連邦捜査局(FBI)は、欧米の複数の銀行から資金洗浄された資金と、ショッピングモールなどの物的資産を押収し、その額は6億5000万ドルを超えた。

FBIがカルテルの資金を押収したことで、アメリカ人実業家の殺人を命じた麻薬カルテルのリーダー、エルネスト・エスコベドを激怒させる。一方、彼の諜報員である元キューバ軍将校フェリクス・コルテスは、エミール・ジェイコブズFBI長官がコロンビアの司法長官を公式訪問することを知る。エスコベドはコルテスに知らせずにジェイコブズの暗殺を命じる。ボゴタ市に到着すると、FBI長官の車列は待ち伏せされ、FBI長官をはじめ、麻薬取締局長および駐コロンビア米国大使が殺害された。激怒した大統領は、レサプラシティ(相互作用)作戦を承認し、カッターの作戦を強化し、エスコベドの麻薬組織に宣戦布告した。

その後、複数のカルテルメンバーが会議をしている麻薬密売組織の邸宅に精密爆撃を行い、中にいた全員を殺す。エスコベドは会議に出席せず代理にコルテスを寄こしたが、コルテスは遅れてしまい、その結果、爆発を目の当たりにする。コルテスは後に、アメリカ人がコロンビアの麻薬カルテルに対して作戦を行っていると推測するが、それに合わせて、カルテル内の抗争を企み、権力を握る立場になることを目論む。彼は米国の部隊を追い詰めるため傭兵を派遣し、その後、秘密の会談でカッターを脅し、米国への麻薬の輸出を減らす見返りに、カルテルに対するすべての秘密作戦を停止させた。

一方、上司のジェームズ・グリーア提督が膵臓癌で入院した後、元海兵隊員でCIA副長官代行(情報担当)を務めるジャック・ライアンは、コロンビア情勢へのCIAの関与を疑う。彼の立場はほとんどの作戦を把握できるが、南米で起きていることについては自分が蚊帳の外に置かれていることに気づく。彼の友人である戦闘機パイロットのロビー・ジャクソンがこの地域の活動についてライアンに問いただした後、ライアンはその真相を究明しようと決意する。彼はリッターのファイルに侵入することで秘密作戦について知る。激怒した彼はFBIに助けを求め、その後、CIAの現場要員でケイパーを調整している元海軍特殊部隊シールズ隊員であるジョン・クラークに会う。

政治的影響を避けるために、カルテルに対するすべての秘密作戦を打ち切るよう大統領から命じられたカッターは、コルテスとの秘密会談の後にそれを実行する。カッターはコロンビアに駐留する米国の部隊の座標をコルテスに密かに伝え、コルテスが追い詰められるようにした。彼らの会談はFBIが監視しており、ライアンとクラークは憤慨した。彼らはコロンビアに取り残された米国の部隊を救出するため、米空軍の特殊作戦用ヘリコプターを使用してチームを組む。その結果、グリーアの葬儀を欠席することになり、ムーアとリッターが疑念を抱く。救助隊は、コロンビアで米兵を狙う傭兵から犠牲者を出したが、生存者の救出に成功する。そのうちの1人がドミンゴ(ディング)・シャベス二等軍曹である。その後、チームはカルテルの指揮所を急襲しコルテスとエスコベドを捕らえる。

クラークに背信の証拠を突き付けられたカッターは、ランニング中にバスの前に飛び込んで自殺する。ライアンは、コロンビアでの秘密作戦について彼に知らせず、戦争を起こしかけたことで、反抗的な大統領と対立する。情報監視特別委員会の共同委員長に説明した後、大統領は作戦を隠し、関係者の名誉を守るために、わざとファウラーに選挙を丸投げする。

エスコベドはカルテルの仲間の首長に引き渡され、きっと処刑されるだろう。コルテスは後にキューバに送還され、元DGIの同僚からは裏切り者の烙印を押された。一方、クラークはシャベスを自分の庇護下に置いて、彼をCIAに採用する。
登場人物
CIA

ジャック・ライアン - CIA情報担当副長官代行。本作の主人公。通称"ドクター・ライアン"(ライアン博士の意)。

ロバート・リッター - CIA作戦担当副長官。通称"ボブ"。

ジェームズ・グリーア - CIA情報担当副長官、海軍中将。通称"グリーア提督"。

アーサー・ムーア - CIA長官。通称"判事"。

ジョン・クラーク - CIA工作員。過去にグリーアによりCIAにスカウトされた(『容赦なく』)。リッターの指示でコロンビア潜入部隊の選抜・訓練・指揮を行う。本名ジョン・テレンス・クラーク。

カルロス・ラーソン - コロンビア駐在のCIA工作員。カルテルと頻繁に取引を行う一般航空会社のパイロットおよび飛行教官として秘密裏に活動している。

FBI

エミール・ジェイコブズ -
FBI長官。『愛国者のゲーム』からFBI長官であったが、本作でテロリストの襲撃を受け死亡。

ビル・ショー - FBI主席長官補。通称"ビル"、本名ウィリアム・コナー・ショー。ライアンと親しい。

ダン・マリー - FBI長官補代理。通称"ダン"、本名ダニエル・E・マリー。


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