いのち_(NHK大河ドラマ)
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男に裏切られ、海に身を投げようとして、海軍予備学生から復員した浜村直彦に助けられたハルが連れて来られ、千恵、イネらの奮闘にもかかわらず流産する。一時は自殺すら考えたハルだったが、清吉らの説得により「男に頼らず一人で生きる」と実業家への道を志す。間もなく千恵が吐血して倒れ、医師・坂口一成の診察によりを宣告される。シベリアへ抑留された父正道と結婚式を挙げた神社へ未希とハルの助けで参拝して間もなく亡くなり、このことがきっかけで未希は医者を志し女子医専に進学。しかし高原家は農地改革の嵐に見舞われ、小作人で幼馴染の岩田剛造の努力も虚しく、父のシベリア抑留を理由に不在地主に認定された高原家は全ての土地を失ってしまう。
中盤
東京で共に農村医療を志す直彦と未希は惹かれあい、医専を卒業した未希は故郷へ帰り念願の医者となる。佐智は姉の医療を無資格で補助していたことが問題となり、看護婦を目指し資格を取った。シベリアから父・正道が帰って来るが、長い抑留生活のため、余命幾ばくもないことがわかり、弘前医大を出て医師となった中川邦之は、正道が元気なうちに佐智と結婚したいと申し出る。その結婚式の夜、妻・千恵の墓前で、正道は息を引き取った。その後も開業医としては順調な日々を送る未希だったが、妊娠中の剛造の妻初子の体調不良の訴えを妊娠中毒症と誤診、腎臓病で初子を胎児ともども亡くす結果となり、医者としての自信を失った未希はアメリカシアトルへ留学し、そこで直彦と再会する。留学も終わりに近付いた頃、一旦は直彦のプロポーズを受けた未希だったが、帰国後地域医療を捨て大学に戻る途を選んだ直彦と決別する。帰国後、周囲の反対を押し切って剛造と結婚した未希は、姑のテルと激しい確執を演じるが、剛造と初子の娘・典子の病気を治療したことをきっかけに和解する。故郷が町村合併したことを契機に公立の診療所ができて、次第に経営が苦しくなった未希は東京でダンスホールの経営者として成功していたハルの勧めで、東京郊外の新興住宅地に1年間だけの予定で開業、故郷の医院は義弟の邦之に留守を託した。東京で開業した医院は急速に開発が進んだ結果医師不足となっていたため多忙となり、未希は自らが必要とされている地域があることを知った。約束の1年後、未希は、テルや清吉、佐智らに故郷への復帰を懇願され、邦之も交代を提案しながらも、未希の医師としての生きがいを見た剛造が東京での医院継続に賛成し、剛造の後ろ楯で本格的に移転を決める。しかしその過程で典子との確執を生むのだった。
終盤
未希が東京での医院継続を決めた頃、故郷から集団就職で征子が上京した。しかし征子は、上京時に約束された定時制高校への通学もままならず惨状を見かねたハルは征子を引き取り、都内の難関全日制高校へ進学させ、大学まで出し医者にさせるほど征子に愛情を注いだ。同じ頃、剛造と初子の息子・竜夫も継母の未希を頼って上京、竜夫は都内の高校から大学の経済学部へ進学し、卒業後は未希の医院の事務を担当した。後に征子は竜夫と結婚。その新婚旅行の最中、オイルショックが起こり、これに対応して乗り切った竜夫は、やがて病院の実務を切り回していくことになる。一方、青森で父と暮らした典子との確執は収まらず、結婚式の日、典子は未希が用意した婚礼衣装に袖を通さず、初子の形見の着物を身につけて式に臨むが、テルが認知症にかかり、未希は彼女を東京に引き取り介護することで和解する。やがてテルは未希に看取られて死去。それから間もなく親友のハルの末期が発覚。ハルは弘前での最期を望み、親しい人たちに囲まれて高原家で息を引き取る。やがて、竜夫による医療保険不正請求事件が発覚。竜夫を問い詰め叱責する未希に対し、竜夫は謝罪するが、病院の経営状況が火の車であり、やむなくしていたことを聞かされた未希は愕然とするのだった。
ラスト
剛造が長年のリンゴの品種改良の努力が実って、農業賞を受賞。喜びも束の間、剛造もまた病に冒される。意識不明になった剛造の自発呼吸がついに停止し、気管切開をしようとする医師とそれを望んだ家族に対し「もういい。お父さん頑張ったんだから」と未希は延命治療を拒み、安らかに旅立たせるのだった。それにより典子は、剛造を殺したのはあんただ、それでも医者かと罵倒、激しい憎しみを燃やし、竜夫や征子が説得しても剛造が建ててくれた家に未希が入ることを許さなかった。しかし、失意の未希に清吉は剛造が生前農業雑誌に寄稿していた記事(品種改良の結果できた新種のリンゴの名を未希にちなんでつけたことと未希への感謝の念が書かれていた)を見せてくれ、それを読んだ未希は喜びに涙する。その記事は典子も読むこととなり、剛造の未希への愛情を知り、典子が未希に土下座して謝罪、和解する。その後、典子達の農作業を手伝おうとする未希だったが、慣れない農作業では却って足手まといとなり、自責の念にかられた未希は、全てを投げ出そうと家を出、青森県内のとある山奥の温泉宿に逗留する。そこで働いていた女性の難産を助け、自分にも役目があることを思い出した。東京の医院は征子に任せ、未希は離島の診療所へ赴く。そして「いのち」を守るため、今日も診療を続けるのであった。
登場人物
主人公
岩田未希
(高原未希→岩田未希)演:
三田佳子結婚前の姓は高原。母の死をきっかけに医者を目指すようになる。
高原家
高原正道
演:
丹波哲郎未希の父。高原本家の当主であり、実業家。小作たちからは「高原のだんな」と呼ばれ慕われている。戦時中に満州に渡り事業を起こすも、終戦直前のソ連侵攻によりシベリアに抑留される。終戦後の正道の不在により農地改革の際に高原家は不在地主とみなされ、高原家の家屋敷を除いてすべての土地が小作にわたってしまう。数年後に帰国できるも、千恵は既に他界しており、自身も抑留中の極度の栄養失調と疲れから先は長くない状態であった。佐智と邦之の結婚を邦之の両親に納得させ、二人の結婚式を見届けた当夜、雪の降る中、千恵の墓前で一人祝い酒を飲みそのまま眠り、亡くなる。自分の死期を悟っていた正道にとって覚悟の死(自殺)だったとの描写がなされた。眠る直前、未希と浜村直彦の結婚を予感していたが、二人は最終的に破局となる。
高原千恵
演:久我美子未希の母。戦中、女学生だった未希と佐智を東京の家に残して、正道の代わりに津軽の高原家を清吉やイネと守っていた。終戦後に津軽に引き上げた娘たちとつかの間の親子の時間を過ごすも、末期の胃がんで余命わずかであると判明。無医村地区のため初期段階に医者にかかることができなかったからであった。死の床にあってようやく正道の消息が届けられるも、手紙と一緒に送られたオルゴールが奏でる千恵の好きな曲を聴きながら亡くなる。その死によって未希は医者を志し、特に母を死に追いやった無医村問題に目覚めていくことになる。台本では、まだ病名を告げられる前に自身の死を予感し、一人涙ぐむ描写もある。
中川佐智
(高原佐智→中川佐智)演:石野真子未希の妹。戦争が原因で足が不自由になるも、坂口の執刀で治癒。看護婦資格を取り、姉や夫を支える。邦之とはお互い一目ぼれに近い出会いだった。
中川邦之
演:渡辺徹未希姉妹とハルが故郷へ帰る列車の中で出会った旧制高校生。中川家の三男。跡取りでないため自由気ままな性格だが、一度決めたことは貫き通す意志の強さをもっており、それは未希や直彦に感化され、一から勉強し医者になったことにもあらわれている。またねぶたをこよなく愛しており、終戦後のねぶた復活に同郷の若者とともに奔走した。佐智との結婚を反対していた両親も正道のとりなしで納得し、りっぱな結婚式をあげることができる。未希が上京の後、津軽の高原家で医院を引き継ぐ。自称「水を飲んでも太る」とのことで、戦中後の食糧難にあってもりっぱな体格をしていた。
高原弘道
演:石田弦太郎正道の弟。高原家の分家の主。本家の問題に正枝ら妹たちと何かと首を突っ込み、未希や清吉につらくあたる。特に婿も迎えず医者にもなり、本家の跡取りとしての自覚を見いだせない未希と衝突することが多く、剛造との結婚に激怒し、半ば絶縁してしまう。
工藤清吉
演:大坂志郎高原家に仕える使用人。自殺未遂をし、自暴自棄のハルに生きる希望を諭す。農地改革の際に弘道の強い助言で高原家の財産を一部隠匿し過少申告したことが何者かに密告され、より多くの財産を接収されてしまったことを悔やみ刀で自殺しようとするも、駆けつけたハルに「あたしが死のうとした時、命を粗末にするなってひっぱたいたのはどこの誰なんだよ!」と叱咤され思いとどまる。以前、絶望の淵から救ったハルに今度は清吉が救われたのだった。その後は地主でなくなった高原家であっても、以前と同じように未希姉妹をお嬢様と敬い、時には私財をなげうって支えていく。
工藤イネ
演:赤木春恵清吉の妻。清吉と共に未希を支えていく。産婆でもあり、佐智の赤子も取り上げる。未希と剛造の結婚を最後まで反対し、未希と姑・テルとの仲を何かと案じていた。末期のがんで死にゆくハルに来世への希望を語り、安らかな最期をおくらせてやる。
岩田家

高原家の小作農家だった。
岩田剛造
演:伊武雅刀青森でのリンゴ農家を営む男。後に未希の夫になる。
岩田テル
演:菅井きん剛造の母。農地改革で高原家の小作という立場から離れても、未希のことは「お嬢様」として立てていたが、剛造との結婚後は姑として対立や和解を繰り返す。後に認知症(放送当時は『老人性痴呆症』)を患い、未希の介護を受けるが、最期は未希に「ありがとう、おら、幸せもんだ…」と言い残して息を引き取った。意外に新しもの好きで、発売されたばかりのスクーターを乗り回していたこともあった。
岩田初子
演:山咲千里剛造の最初の妻。未希の誤診によって亡くなってしまう。
岩田竜夫
演:小林大介→加藤明人→内田慎一→新藤栄作剛造と初子の息子。大学卒業後は、医療機器や薬品の製造販売会社に就職。後に征子と結婚し、高原病院の事務局にはいる。
岩田典子
演:佐藤央望→清水愛→二階堂千寿高木美保剛造と初子の娘。剛造と未希が結婚した時は未希になついていたが、未希が東京に出たのをきっかけに「剛造を捨てた」未希との折り合いが悪くなる。その後未希がテルを引き取ったことで一時和解するが、剛造の死により亀裂は決定的となる。しかし剛造が書いた記事を読んで剛造の未希に対する思いを知り、未希と和解する。
岩田征子
(津田征子→岩田征子)演:高松涼子→宮原永海小林綾子岸本加世子平吉と浅子の娘。ハルの援助で大学の医学部を卒業して高原病院の産婦人科医となる。のちに竜夫と結婚して共に病院を支える。
岩田豊
演:草見潤平
岩田久子
演:菅原チネ子
岩田真希
演:島名美里
その他おもな登場人物
坂口一成
演:
宇津井健中川家に下宿しながら弘前の陸軍病院で働いていた外科の元軍医。除隊となり東京の女子医専に復帰。未希にとって生涯の師となる。
坂口美代
演:野際陽子一成の妻。未希やハル、直彦たちの面倒を何かと見る。
村中ハル
演:泉ピン子未希とは故郷へ帰る列車の中で出会い、生涯の友となっていく。東京大空襲では家族全員を失う。男に捨てられ入水自殺するも、直彦に助けられる。運び込まれた高原家で流産。東京の土地を売った金を元手に、金太と組んで津軽・東京間のりんごのヤミ売買を始め、りんご景気に乗じて財を成す。後に会社を経営するなどの実績をあげていく。
浜村直彦
演:役所広司戦死した兄たちと同じ海軍士官だったが、特攻間際に終戦を迎える。これからの人生に失望し自殺しようと立ち寄った海で、先に入水したハルを助ける。


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