いて座
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A星に「アルバルダ[8](Albaldah[6])」という固有名が付けられている。

σ星[5]。南斗六星の星の中で最も明るく、いて座全体でも2番目に明るく見える2等星[5]。Aa星の固有名「ヌンキ[8](Nunki[6])」は、シュメール表意文字で書かれたバビロニアの言葉に由来する[9]

ω星:見かけの明るさ4.70等の5等星[19]。A星の固有名「テレベッルム[8](Terebellum[6])」は、クラウディオス・プトレマイオスが著書『アルマゲスト』の中でいて座の東側にあるこの星と59番星、60番星、62番星を繋いで描いた「Terebellum」というアステリズムに由来する[20]

HD 164604:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でチリに命名権が与えられ、主星はPincoya、太陽系外惑星はCaleucheと命名された[21]

HD 179949:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でブルネイに命名権が与えられ、主星はGumala、太陽系外惑星はMastikaと命名された[21]

HD 181342:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でセネガルに命名権が与えられ、主星はBelel、太陽系外惑星はDopereと命名された[21]

HD 181720:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でガーナに命名権が与えられ、主星はSika、太陽系外惑星はTogeと命名された[21]

固有名がついていない星の中で有名な星としては、以下の星がある。

ピストル星高光度青色変光星青色超巨星

LBV 1806-20:高光度青色変光星で青色超巨星。

ロス154:太陽系から9.68光年の距離に存在する赤色矮星

S2いて座A*の周囲を公転する恒星。

星団・星雲・銀河ハッブル宇宙望遠鏡が撮像したNGC6530。

M22球状星団。明るさはM13に匹敵し、条件が良ければ肉眼でも確認できる。

M54:球状星団。ζ星のから南0.5°、西1.5°に位置する。口径40cmでも星を分離するのは困難で、ざらざらとした印象に見え、ほとんど星は分離できない。実は天の川銀河に属さず、その伴銀河であるいて座矮小楕円銀河 (SagDEG) に属する。

M55:球状星団。δ星の西7.5°にある。双眼鏡でも充分楽しめる比較的大きな星団。

M8(干潟星雲):散光星雲。λ星の近くにあり、望遠鏡で見ると美しい。

M17(オメガ星雲):散光星雲。白鳥星雲または馬蹄形星雲とも呼ばれる。たて座境界付近にある。なお、ケンタウルス座ω星団とは異なる。

M20(三裂星雲):散光星雲。M8 の北にある大きな散光星雲。ここには若くて温度の高い星がいくつもある。

NGC 6530:若い散開星団

その他イベントホライズンテレスコープが捉えたいて座A*

いて座A天の川銀河中心に存在する電波源。その中に超大質量ブラックホール「いて座A*」が存在する。

いて座A*:いて座Aの中に位置する電波源で、その正体は超大質量ブラックホールと考えられている。2022年5月にイベントホライズンテレスコープによる撮像が公表された。

由来と歴史

いて座はシュメールに起源を持つとされ、戦争と狩猟の神「パ・ビル・サグ (PA.BIL.SAG)」がその原型とされる[2][22]。パ・ビル・サグは、弓を構えた姿で描かれ、半人半馬やサソリの体や尾を持つものなど様々なバリエーションがある[22]。紀元前1100年頃のバビロニアネブカドネザル1世時代のものとされるクドゥル(境界石)には翼を生やしたサソリの体を持つパ・ビル・サグが描かれており、エンリルの息子ニヌルタとも同一視されていたとされる[23]オーストリアのアッシリア学者ヘルマン・フンガー(英語版)とアメリカの数理天文学・古典学者のデイヴィッド・ピングリー(英語版) (David Pingree) が解読した、紀元前500年頃のメソポタミアの粘土板文書『ムル・アピン(英語版) (MUL.APIN)』でも、いて座の星々はパ・ビル・サグとされている[24]

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、略称はSgrと定められた[25]。ラテン語名の略符は、かつては「Sag」と「Sgr」の二通りがあったが、このときに後者が正式なものとされた。ところが、英語圏の銀河天文学の研究者の間で Sag を使う例が見られるようになった。たとえば、いて座矮小楕円銀河は SagDEG と略記される[26]
アラビア

アラビアでは、γ-δ-ηの3星は、al-Na??m al-W?rid、あるいは複数形の al-Na??im al-W?ridah と呼ばれ、天の川の水を飲みに来たダチョウまたはその一群と見られていた[27]。これに対し、χ-τ-σ-φの4星は al-Na??m al-??dirah、あるいは複数形の al-Na??im al-??dirah と呼ばれ、天の川の水を飲んで帰っていくダチョウまたはその一群と見られていた[27]
中国


古今図書集成』に描かれた箕宿の星々。『古今図書集成』に描かれた斗宿の星々。

中国の天文では、いて座の星々は二十八宿の東方青龍七宿の第七宿「箕宿」と北方玄武七宿の第一宿「斗宿」に配されていた[28]

箕宿では、γ・δ・ε・ηの4星が、糠を取る農具を表す星官「箕」を成していた[28]

斗宿では、φ・λ・μ・σ・τ・ζの南斗六星の6星が作る星官は「斗」と呼ばれた[2][28]。3番星は、へびつかい座の6星とともに星官「天籥」を成した[28]。ξ2・ο・π・ 43・&ro;1・υの5星は「旗」を表す星官「建」を成した[2][28]。55番星と56番星の2星は時間を司る鳥を表す星官「天鶏」を成した[2][28]


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