固有名がついていない星の中で有名な星としては、以下の星がある。 いて座はシュメールに起源を持つとされ、戦争と狩猟の神「パ・ビル・サグ (PA.BIL.SAG)」がその原型とされる[2][22]。パ・ビル・サグは、弓を構えた姿で描かれ、半人半馬やサソリの体や尾を持つものなど様々なバリエーションがある[22]。紀元前1100年頃のバビロニアのネブカドネザル1世時代のものとされるクドゥル(境界石)には翼を生やしたサソリの体を持つパ・ビル・サグが描かれており、エンリルの息子ニヌルタとも同一視されていたとされる[23]。オーストリアのアッシリア学者ヘルマン・フンガー
ピストル星:高光度青色変光星で青色超巨星。
LBV 1806-20:高光度青色変光星で青色超巨星。
ロス154:太陽系から9.68光年の距離に存在する赤色矮星。
S2:いて座A*の周囲を公転する恒星。
星団・星雲・銀河ハッブル宇宙望遠鏡が撮像したNGC6530。
M22:球状星団。明るさはM13に匹敵し、条件が良ければ肉眼でも確認できる。
M54:球状星団。ζ星のから南0.5°、西1.5°に位置する。口径40cmでも星を分離するのは困難で、ざらざらとした印象に見え、ほとんど星は分離できない。実は天の川銀河に属さず、その伴銀河であるいて座矮小楕円銀河 (SagDEG) に属する。
M55:球状星団。δ星の西7.5°にある。双眼鏡でも充分楽しめる比較的大きな星団。
M8(干潟星雲):散光星雲。λ星の近くにあり、望遠鏡で見ると美しい。
M17(オメガ星雲):散光星雲。白鳥星雲または馬蹄形星雲とも呼ばれる。たて座境界付近にある。なお、ケンタウルス座のω星団とは異なる。
M20(三裂星雲):散光星雲。M8 の北にある大きな散光星雲。ここには若くて温度の高い星がいくつもある。
NGC 6530:若い散開星団。
その他イベントホライズンテレスコープが捉えたいて座A*
いて座A:天の川銀河中心に存在する電波源。その中に超大質量ブラックホール「いて座A*」が存在する。
いて座A*:いて座Aの中に位置する電波源で、その正体は超大質量ブラックホールと考えられている。2022年5月にイベントホライズンテレスコープによる撮像が公表された。
由来と歴史
1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、略称はSgrと定められた[25]。ラテン語名の略符は、かつては「Sag」と「Sgr」の二通りがあったが、このときに後者が正式なものとされた。ところが、英語圏の銀河天文学の研究者の間で Sag を使う例が見られるようになった。たとえば、いて座矮小楕円銀河は SagDEG と略記される[26]。 アラビアでは、γ-δ-ηの3星は、al-Na??m al-W?rid、あるいは複数形の al-Na??im al-W?ridah と呼ばれ、天の川の水を飲みに来たダチョウまたはその一群と見られていた[27]。これに対し、χ-τ-σ-φの4星は al-Na??m al-??dirah、あるいは複数形の al-Na??im al-??dirah と呼ばれ、天の川の水を飲んで帰っていくダチョウまたはその一群と見られていた[27]。 中国の天文では、いて座の星々は二十八宿の東方青龍七宿の第七宿「箕宿」と北方玄武七宿の第一宿「斗宿」に配されていた[28]。 箕宿では、γ・δ・ε・ηの4星が、糠を取る農具を表す星官「箕」を成していた[28]。 斗宿では、φ・λ・μ・σ・τ・ζの南斗六星の6星が作る星官は「斗」と呼ばれた[2][28]。3番星は、へびつかい座の6星とともに星官「天籥」を成した[28]。ξ2・ο・π・ 43・&ro;1・υの5星は「旗」を表す星官「建」を成した[2][28]。55番星と56番星の2星は時間を司る鳥を表す星官「天鶏」を成した[2][28]。
アラビア
中国
『古今図書集成』に描かれた箕宿の星々。『古今図書集成』に描かれた斗宿の星々。