いじめ
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また、教師・家族・友人らによる支援がストレッサー(ストレス原因)を軽減することも分かっており[16]、周囲の支援がいじめを抑止する効果がある。
ダン・オルヴェウス
いじめ予防・防止プログラムの開発と全国的な実施は非常に重要である。スウェーデンの研究者ダン・オルヴェウスはオルヴェウスいじめ防止プログラム(OBBP)を作った[147]。そして、このプログラムが実施された小中学校において、導入後2年間でいじめが半分またはそれ以下に激減したと報告されている[148]
クリスティーナ・サルミヴァリ
フィンランドの研究者クリスティーナ・サルミヴァリらは、心理学などの知見に基づいてKiVaプログラム[149]を開発した。現在フィンランドの90%以上の小中学校でKiVaプログラムが実施されており、そのいじめ予防効果は大規模なランダム化比較試験にて実証されている[150]。大坪 (2018) はKiVaプログラムについて、「国を挙げていじめ撲滅に取り組み、その効果的と考えられている教育プログラムが広く認知され信頼を得ている」と述べている[151]。さらに、北川・小塩・股村・佐々木・東郷 (2013) は、「現在の日本では、いじめ対策は基本的に学校や地域で対策を講じることとされ、どのようにするかは各学校に任されているのが現状である。KiVaプログラムのように効果の実証を伴ったいじめ対策プログラムを検討・開発し、全国に広めていくことがわが国でも必要と考えられる」と主張している[150]
四辻伸吾
四辻 (2017) は、「統計的効果検証」がなされた実践から構成され、「特別活動」「総合的な学習(探究)の時間」「道徳」の時間などを活用して実施でき、年間を通して継続的に行うことのできる、「いじめ予防・防止プログラム」を開発し、日本の教育現場に広く普及させていくことの必要性を示している[152]
松尾直博
松尾 (2002) は、海外で開発されたプログラム、日本で開発されたプログラム、いじめの基礎研究をうまく融合させれば、より良いプログラムを開発できると主張している[153]
いじめの発見

平成19年文部科学省調査によれば、いじめが発見されたきっかけは、学校の教職員が発見したのが50.3%、本人や家族の訴えなど教職員以外がきっかけのものは49.7%であった[27]

教職員が発見した方法としては「アンケート調査など学校の取組により発見」は(24.4%。きっかけ全体に対する割合。以下同様)、「学級担任が発見」(19.8%)が多く、教職員以外のものでは、「本人からの訴え」(24.6%)、保護者(16.3%)、本人以外の児童生徒(5.1%)の順である[27]

全体の大部分を占める非暴力的ないじめ(いたずらやふざけ、からかいや悪口、デマ、仲間外れや無視など。SNS上で行われるものも含まれる[154][155][156])を早期に発見し、早期対応へとつなげていく必要があり、そのためには教職員・児童生徒全員が「相手が嫌がることがすべていじめとなる」という認識を共有すること、教職員全員が児童生徒の発するわずかなサインも見逃さず非暴力的ないじめにしっかりと気づくことが重要である[154][157]

また同時に、早期発見・早期対応のために、いじめに気づいたりいじめを受けたりした児童生徒や保護者が匿名でそのいじめについて報告するためのウェブサイトや目安箱を開設・設置すること[158][159]や、児童生徒にいじめ被害時および発見時の教師への報告を奨励するとともに効果的な対応を行う体制を整えておくこと[160]、定期的かつ頻繁に(少なくとも1学期に1回、いじめが疑われる場合は即時)児童生徒が安心して真実を回答できる方法でアンケート調査を行うこと[159]や、休み時間や給食・清掃時間などに孤立したりからかわれたりしていないかチェックすること[161]、人間関係に関して深く掘り下げた面接を行うこと[162]などが大切である。
監視カメラの設置

イギリスでは、いじめやその他の問題を把握するため、校内に監視カメラを設置する学校もある。監視カメラを設置している学校は9割に上り、保護者の中には、トイレ更衣室への設置も容認する団体もある[163]

日本でも附属池田小事件の発生を受けて平成14年11月の「学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議」が学校への防犯監視システムの推進を提言した[164]
教材

安藤美華代が心理教育プログラム『サクセスフル・セルフ』小学校版および中学校版を用いた授業を行うことで、いじめを予防する効果が統計学的に有意に証明されたことを示している[165]
インターネット規制

インターネットでのいじめを防ぐため、2014年現在、イギリスの1000を超える学校では、いじめに繋がるスラングや暴力的発言を監視するソフトウェアを導入している[49]
保険

韓国では2014年、「いじめ保険」の販売を開始した[132]
復讐代行

韓国では被害者の父母や親戚が組織暴力団員を雇って、加害者を暴行したり、脅かす復讐代行が流行している。加害者が警察や教師より、組織暴力団を恐れているため、効果が大変よいという。
代替

学校を転校し、フリースクールに通ったり、スクールカウンセラーを設置することなども対策となる。
ピンク・シャツ・デー

2007年にカナダの高校生2人から始まったいじめ反対運動「ピンクシャツデー」がカナダ全土に定着、2010年時点で75ヵ国が参加している[166][167][168][169][170]


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