黒部川
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千葉県を流れる利根川水系の河川については「黒部川 (千葉県)」をご覧ください。

黒部川
黒部川河口から朝日、白馬?五竜岳、立山連峰
水系一級水系 黒部川
種別一級河川
延長85 km
平均流量12.18 m³/s
(宇奈月観測所 1994年)
流域面積667 km²
水源鷲羽岳富山市
水源の標高2,924 m
河口・合流先日本海黒部市入善町
流域 日本 富山県

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黒部ダム

黒部川(くろべがわ)は、富山県東部を流れる一級河川。黒部川水系の本流である。
地理

富山県と長野県の境、北アルプス鷲羽岳(わしばだけ)に源を発し、おおむね北へと流れる。川全体の8割は深い山地を穿ちながら流れ、黒部峡谷と呼ばれる。黒部峡谷中にはそのV字谷に混じって雲ノ平高天原薬師見平タンボ平内蔵助平餓鬼ノ田圃といった平坦地が点在する。黒部市愛本橋付近で山地を抜け、広さ1.2万haの黒部川扇状地[1][注釈 1]を流れる。この扇状地は黒部市、入善町にかけて広がり、その地形は海中にまで広がっている。黒部川の豊富な水量でこの扇状地は湧き水が多く、黒部川扇状地湧水群として名水百選のひとつにも選ばれている。本流は河口付近では黒部市と入善町の境界となり、日本海へと注ぐ。

富山県の七大河川(黒部川、片貝川早月川常願寺川神通川庄川小矢部川)の一。
主な支流

音谷

深谷

イシワ谷

宇奈月谷

弥太蔵谷

尾沼谷

ノボセ谷

喜々堂谷

森沢谷

黒薙川 - 黒部川四大支流の一つ。

小黒部谷 - 黒部川四大支流の一つ。

剱沢 - 黒部川四大支流の一つ。剱大滝を有する。

東沢谷 -黒部川四大支流の一つ。第四紀更新世の時の黒部川本流とされている。

赤木沢 -黒部川支流の中でも特に美渓とされる。

流域の自治体

富山県
富山市立山町黒部市入善町朝日町
自然

河口周辺は富山県指定の「黒部川河口鳥獣保護区」として鳥獣保護区に指定されている。連携排砂後、水質汚濁があったが国土交通省による2006年の水質調査結果により8年ぶりに水質日本一に返り咲いた。
気候

黒部川流域は日本海型気候であり、国内有数の多雨多雪地帯である。その地点別の降水量は過去10年間の平均では、上流に向かうほど多くなり、黒部市街地では約2,000mm、扇状地より上流の宇奈月では約3,000mm、さらに上流の峡谷地にある仙人谷では、4,000mmを超える。

また黒部川流域では、6月から7月にかけて、梅雨前線による豪雨が多いことから洪水の危険性が高く、12月から3月にかけて、降雪が多いことから雪解け水による水資源が豊富である。

黒部川上流域は、南北に縦走する立山連峰と後立山連峰にそって偏西風が吹き抜ける際に発生する雨雲が、剣岳・立山等の標高の高い山にぶつかる位置にあるために降水量が多くなっている。

毎年、3月から5月頃にかけては、日本海に低気圧が発生し寒冷前線が通過することが多く、これに応じたフェーン現象の発生もみられる。この急激な温度上昇が、流域の雪崩や山火事を発生させる原因にもなっている。

流域内の年平均気温は、仙人谷で9°C、宇奈月で12°C、黒部で14°Cとなっており、上流域の仙人谷の方がいずれも 3?5°C低くなっている[2]
歴史

江戸時代この地を領した前田氏は、防衛と技術上の問題から越中東部の常願寺川早月川片貝川、黒部川に橋を架けなかった。当時、黒部川は扇状地上でさまざまな流路に分かれて流れており、『黒部四十八ヶ瀬』[3][4]や『いろは川』と呼ばれていた[4]。昨日渡れた場所も今日は本流になり渡れずといった状況は絶えずあり、北陸道では親不知に匹敵する難所となっていた[3]。また、黒部川上流部では、立山一帯も含めて藩の取り締まり(視察)の一環として奥山廻りも行われた。

黒部川に橋がないことはあまりにも不便なため、寛永3年(1626年)に北陸街道を大きく上流に迂回した愛本の地に初めて橋を架けた。しかし氾濫の度に流失を繰り返したために、前田綱紀寛文2年(1662年)に橋脚がない全長63mもの刎橋を作らせた。この愛本刎橋は日本三奇橋の一つに数えられたという。

1880年、上流部で大町市富山市を結ぶ立山新道が開通し、黒部川は船で渡る交通システムが整備されたが、わずか2シーズンで廃止された[5]1971年立山黒部アルペンルートが開通すると観光客が黒部ダムの天端を往来することが可能となった。ダムの上流側の黒部湖には「平の渡し」という渡し船があるが、ダム湖ができる前に黒部川に架かっていた橋の機能を代替するものとして運行されている。

1970年4月1日、一級河川に指定された[6]
名称の由来

大まかに3つの説がある。

このあたりは古くは
アイヌ民族の祖先の一部が住んでおり、縄文語(後のアイヌ語と類似)の「クンネ・ペッ」(kunne-pet、黒い川)という言葉が変化したものという説がある[7]

同じくアイヌ語の「クル・ペッ」(kur-pet、魔の川)という言葉が変化したものという説がある[8]

黒部の山奥にはネズコと呼ばれる木が生えており、それの別名は黒檜(クロヒ・クロベ)と言われていたためという説がある[7]

利水「黒部川#関西電力の発電所」も参照

黒部川は水量が多く高低差もあるため、水力発電に有利な条件を備えており、大正時代には日本電力(現在の関西電力)による水力電源開発が始められた。特に上流部では急峻な山岳地帯を舞台にして、壮絶とも言える工事が行われている。なかでも黒部ダム黒部川第四発電所関電トンネルといった通称「くろよん」と呼ばれる電源開発事業は最も有名であるが、その他にも戦前期の黒部川第三発電所の建設工事では「くろよん」を上回る犠牲者を出しているなど、黒部川の電源開発は多くの人命を失い、多大な労力を払いながらの事業となった。

一方、下流の扇状地でも、大正時代より灌漑用水などを活用した発電所建設が進み、全国でも珍しい低落差発電が行なわれている。
河川施設
ダム

宇奈月ダム

出し平ダム

小屋平ダム

仙人谷ダム


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