黒い落葉/黄昏のビギン
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「黒い落葉/黄昏のビギン」
水原弘シングル
A面黒い落葉
黄昏のビギン
リリース1959年10月
規格シングルレコード
録音1959年
日本
ジャンル歌謡曲
レーベル東芝レコード/東京芝浦電気
作詞永六輔
作曲中村八大
水原弘 シングル 年表

黒い花びら
(1959年)「黒い落葉/黄昏のビギン」
(1959年)「暗い慕情」
(1960年)


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「黒い落葉/黄昏のビギン」(くろいおちば/たそがれのビギン)は、水原弘シングル。1959年10月に東京芝浦電気(現・東芝)の音楽事業部、東芝レコード(現・ユニバーサル ミュージック合同会社)から発売された。
概要

1959年、中村八大は東宝映画『青春を賭けろ』の音楽監督に名乗りを上げるが、当時ジャズ奏者から転身したばかりの中村は無名で、東宝側からオーディションとして翌日までにロカビリー音楽を10曲用意するよう要求される。中村は偶然出会った放送作家の永六輔をつかまえて、自宅マンションで一夜一昼かけて映画のメイン楽曲『黒い花びら』などの10曲作り上げ、見事音楽監督の座を射止める。その10曲の題目は明らかになっていないが、佐藤剛は、この10曲の中に黄昏のビギンが存在した可能性が高いと分析している[1]

「ビギン」というのは仏領マルティニクのダンス音楽で、これがパリに持ち込まれることによりジャズのスタンダードナンバー『ビギン・ザ・ビギン』が誕生した[2]。1950年代前半のジャズブームに沸く日本でもコンサートで度々演奏され、当時ジャズバンド『ビッグ・フォー』として一世を風靡していた中村も何度も演奏した[3]。後年中村は「女の子がショート・パンツで走り回る姿が浮かんでくる」と述べており[4]、当時踊り子として出演していた子役の役者を指しているものと推測される。

前述のオーディションの楽曲制作は、永が10曲分の歌詞を、中村が10曲分のメロディをそれぞれ作成して、原稿を突き合わせて訂正と編曲を行う、という手順で行われた。その段階で、「たそがれ」で始まる歌詞とビギン調のメロディが組み合わさることになり、これが「黄昏のビギン」の原型になったのではないか、というのが佐藤の推理である[1]

1959年8月、東宝映画『青春を賭けろ』と『檻の中の野郎たち』が連続公開された。後者の作品の劇中に、ミッキー・カーチス守屋浩山下敬二郎が「黄昏のビギン」の原型となった曲(メロディは同じだが歌詞は一部異なり、曲名などはノンクレジット)を歌うシーンがある[5]。これに中村が更に手を加え、同年末公開の『「黒い落葉」より 青春を吹き鳴らせ』の劇中で水原弘が歌唱した[6]。同曲は水原のシングル「黒い落葉」のB面として発売される[7]

「黒い落葉」は1959年の東芝レコードの流行歌レコード売上で年間2位を記録した[8]。同社の年間1位も同じく水原の「黒い花びら」であった[8]

「黄昏のビギン」は発表後しばらくの間は世間の耳目を集めるには至らなかったが、キャバレーなどのマイナーな世界では「隠れた名曲」として歌い継がれていた。川崎でスナックを経営していた大島東(坂本九の兄)の証言によれば、発売当時は客のリクエストに応じてレコードでよく流しており、A面の「黒い落葉」よりも流す頻度は高かったという。また当時多かった流しの歌手もよく同曲を披露しており、全国の大衆酒場などでは需要があったという[9]

1991年、ちあきなおみのカバーアルバム『すたんだーど・なんばー』に黄昏のビギンが収録されることとなり、服部隆之が編曲を担当する。中村は「このアレンジが一番好きだ」とコメントした。アルバムの先行シングルとして単独でリリースされた。同年10月から半年間、京成電鉄スカイライナー」のCMに使用された。翌1992年6月10日、中村が没する。9月11日、ちあきの夫の郷^治の死をきっかけにちあきが表舞台から姿を消す[10]

同年10月10日公開の『死んでもいい』のワンシーンで楽曲が流れ(予告編では全編流された)、同作が映画賞を多数受賞するとともに再び楽曲が注目される[11]。1993年には本曲をモチーフにした諸井薫の同名の小説が小説現代6月号に掲載され[12]、12月には水原版が『君こそわが命』と両A面シングルとして再版される[13]

1999年にはちあき版がネスレ日本「ネスカフェ・プレジデント」のCMに起用、2003年まで4年のロングランとなる。芸能界を10年間不在にしていたちあきへの関心も相まって楽曲の知名度も上昇し、2000年2月、『かもめの街』とのカップリングで再版された[14]。これをきっかけに様々なアーティストによるカバーがなされ、「黄昏のビギン」は文字通りのスタンダード・ナンバーになった。
水原弘のシングル「黒い落葉/黄昏のビギン」
概要

A面の「黒い落葉」は前作(「黒い花びら」)同様、作詞は永六輔、作曲は中村八大のコンビ。「黒い落葉」は水原弘の黒いシリーズの第2弾として制作された。

B面の「黄昏のビギン」は、永六輔と中村八大の共同作詞[注釈 1]であり、中村八大が作曲している。永六輔は自身のラジオ番組で、この曲が自分の曲の中で一番好きなこと、作詞は中村が行い、自らは頼まれて名前を貸しただけであることを明かしている。「黒い落葉」をモチーフとして、日活和田浩治岡田真澄主演で『「黒い落葉」より 青春を吹き鳴らせ』という題名で映画化した[15]。この映画には水原自身も出演し、劇中で「黒い花びら」、「黒い落葉」、そして「黄昏のビギン」の3曲を歌唱している。

「黄昏のビギン」は、後にちあきなおみを始めとして、多くの歌手によってカバーされている(後述)。
収録曲

(全作曲・編曲:中村八大
黒い落葉作詞:永六輔

黄昏のビギン作詞:永六輔・中村八大

ちあきなおみのシングル「黄昏のビギン」

「黄昏のビギン」
ちあきなおみシングル
初出アルバム『すたんだーと・なんばー』
B面黒い花びら
かもめの街 (再発売)
リリース1991年6月21日
2000年2月2日(再発)
2005年12月7日(再発)
規格8cmCD
カセットテープ
録音1991年
日本
ジャンル歌謡曲
レーベルテイチクレコード


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