麻雀の得点計算
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御注意

本稿ではいわゆる点数計算(局単位の和了点の計算)について解説しています。半荘を通した点棒のやり取りや半荘終了時の集計については下記のページをご参照ください。

麻雀の点

ウマ (麻雀)

箱 (麻雀)

本項では、日本で幅広く使用されているルールにおける麻雀の得点計算(マージャンのとくてんけいさん)について、和了によって獲得される得点の計算、およびその計算方法とメカニズムを、和了点に関する周辺ルールも含め概説する。麻雀に関しての文脈では、これら和了点の計算は単に点数計算と呼ばれる。
概要

麻雀というゲームは通常、1局1局の和了や振り込みによって勝敗を決するのではなく、半荘終了時の最終的な持ち点の多寡によって勝敗を決する。持ち点の変化は主に和了によって生じるが、和了の際の点数の決定は歴史的な経緯により複雑な計算を必要としている。ベテランならば瞬時に計算することもできるが、初心者には正しく計算することさえ難しい。この点数計算の複雑さは、麻雀を学ぶ際の足枷の1つになっている側面がある。コンピュータを利用した麻雀環境ではこれら点数計算はすべて自動化されているものの、終盤のゲーム運びや戦略を考える上で、点数計算はやはりマスターしておいたほうが有利である。

19世紀後半から20世紀初頭の麻雀の歴史の初期においては、現在よりも役がずっと少なく、飜の付く役は役牌混一色清一色がある程度で(他にいくつかの満貫役(今でいう役満)があった)、当時は符を稼ぐことがメインで飜は1飜といえども取得するのは困難であった。その後、アルシーアル麻雀に至る過程で飜の付く役の数が増えたが、その段階でも立直ドラなどはまだなく、満貫が最高点だった。

立直やドラ、跳満以上の階層などが発達し、符が10符単位に切り上げとなり、更に役も増え、場ゾロも付くなどといった変化を経た現代の日本麻雀では、点数の要素としては飜がメインとなった。現代の日本麻雀においても標準的なルールでは符と飜で点数を計算するが、麻雀の歴史の初期の要素を引き継いだ符計算は、煩雑な上に微調整程度のものとなっており(2符の差が順位に響くような局面もなくはないが)、5飜以上(当然役満も)では符は関係なくなる。

実際コンピュータ麻雀でも、和了時に各役・ドラ(飜の付く役・ドラ及び役満)及びそれぞれの価値は必ず表示されるが、符計算の内訳が表示される麻雀ソフトは一部に限られる。そのため近年では後述のように、符計算を廃止したルールも一部のフリー雀荘やサークルで広まり始めている。世界的に見ても、麻雀の歴史の初期からの要素である符と飜の二重構造による計算法を残しているのは日本麻雀(三麻等も含む)ぐらいのもので、中国やその他海外の麻雀のルールでは、中国麻雀(国標麻将)では「点」、台湾麻雀では「台」を用いる単純な加算方式となっていたり、飜を用いるルールであっても、中国古典麻雀や現代の日本麻雀のように符を用いるのではなく、飜だけで点数が決まる方式となっていたりする。
基本的な手順

計算方法は、概ね次の手順による。
符の計算

飜数の計算

基本点の算出

各自の負担額の決定

符と飜数が決まれば点数は確定する。これをまとめたものが後掲の早見表である。

基本点とは、符と飜数の掛け算によって算出される数値のことで、例えば子の満貫8000点の基本点は2000点である。ツモ和了の場合は基本点2000点を子2人がそれぞれ支払い(すなわち2000オール)、親が基本点の2倍4000点を支払うことで合計が8000点になる仕組みである。

以下、各段階における計算のメカニズムについて詳述する。


符の計算

符とは、手牌の構成や和了の状況により計算されるもので、(飜数)とともに得点計算の二大要素である。

具体的には、以下の各項目をすべて加算し、その合計を10符単位に切り上げたものである。たとえば、合計が34符なら、切り上げて40符となる。

副底20符

面子
順子0符
刻子中張么九
明刻02符04符
暗刻04符08符
明槓08符16符
暗槓16符32符

雀頭
数牌0符
客風
自風2符
場風
三元牌
連風牌2符または4符

待ち
両面待ち0符
双碰待ち
嵌張待ち2符
辺張待ち
単騎待ち

門前加符10符
ツモ符2符

ツモ平和一律20符
七対子一律25符
食い平和一律30符



副底(フーテイ)
和了すると必ず与えられる20符。符底ともいう。

面子の構成による符
順子には付かず、刻子および槓子に与えられる。右表の通り、明刻子 → 暗刻子 → 明槓子 → 暗槓子 の順に2倍になり、么九牌の場合は中張牌の2倍になる。双碰待ち(シャンポン待ち)の場合、和了牌により出来た刻子は、ロン和了の場合は明刻子として計算され、ツモ和了の場合は暗刻子として計算される。符計算の対象となる要素のうち符数が最大となるのは、么九牌暗槓の32符である。

雀頭による符
役牌の場合のみ2符が付く。連風牌の場合4符にすることもある。

待ちによる符
嵌張、辺張、単騎の場合2符が付く。両面および双碰には付かない。

門前加符(メンゼンカフ)
門前でロン和了した場合に与えられる10符。門前でもロンあがりだと何の役もつかない代わりにつけた符なのでツモ和了の場合は付かない(ツモ上がりの場合門前清自摸和という1飜役が成立する)。

ツモ符
ツモ和了した場合に与えられる2符。役としてのツモ(門前清自摸和)とは異なり、副露した場合にも付く。
ただし、平和をツモ和了した場合はツモ符を計上せず、一律20符で計算するのが一般的である。

七対子と食い平和も一律計算
ツモ平和を一律20符で計算するのと同様に、七対子は一律25符、食い平和は一律30符で計算する。

符計算で切り上げまで計算した結果、門前ロンの場合は50符以上、それ以外の和了の場合は40符以上になることを符跳ねまたはテンパネと呼ぶ。具体的には、副底と門前加符以外の符が12符以上ある場合が該当する。
七対子

七対子は特例として、切り上げなしの25符固定の2飜とするのが一般的であり、ツモ符・単騎待ち・雀頭・門前ロンの符などは付かない。25符2飜は50符1飜に等しく、子1600→3200→6400、親2400→4800→9600と符計算なしの得点に固定されている。ただし、七対子が役として採用されてゆく際の歴史的経緯により、25符2飜以外の扱いをしているルールもある。

25符2飜とする(現在の一般的なルール)

50符1飜とする

30符2飜とする

七対子の得点計算と歴史経緯については、七対子#歴史も参照のこと。
食い平和形

門前ではないが平和の形になっているような場合(いわゆる食い平和)に、ロンで和了したときは、本来は副底のみの20符となるはずであるが、例外的に30符として計算するのが一般的である[5]
食い平和形の例
   ロン     一気通貫を副露(1飜)してロンあがりしている。本来ならば上の牌姿は副底のみの20符になるはずだが、これを30符として扱う。

もし原則どおり20符で計算する[6]場合、上例のように1飜しかない場合は子なら700点(親は1000点)となるが、最低点を1000点以上とするために例外的に30符として扱うものと理解されている。

なお、この扱いにより、符の合計が20符となるのは、上記の平和をツモ和了した場合のみとなる(ただし、この場合は少なくとも平和と門前清自摸和が成立するため、必ず2飜以上となる)。

この食い平和形の30符は、具体的な役としては上の例の一気通貫のほか、断?九(食い断ありのルールのみ)、三色同順混全帯?九混一色純全帯?九及び偶然役の河底撈魚搶槓で適用されうる。清一色も和了形としては食い平和形になりうるが、これは元々満貫以上になる飜数なので符計算の必要はない。
符計算の例

(例)  ツモ        
この牌姿の場合、「中の対子=2符」+「辺張待ち=2符」+「發の暗刻=8符」+「ツモ=2符」+「八筒の明槓=8符」+「九萬の明刻=4符」に副底20符を足し、合計で46符となる。46符は切り上げて50符として計算する。
飜数の計算

得点計算における飜数は、成立しているの飜数を合計したものである。たとえば、立直(1飜)・平和(1飜)・三色同順(2飜)の場合、4飜として扱う。

さらに、ドラが含まれる場合は、ドラ1枚につき1飜を加算する。

飜数1飜につき、基本的に点数は倍になる。たとえば、符が40符で飜数が2飜の場合、40×2×2=160点である。ただし、飜数が大きくなると点数が爆発的に大きくなってしまうため、得点の上限が定められている(満貫)。満貫については後述する。
食い下がり

一部の役には、門前時と副露時で1飜異なる飜数が設定されている。具体的には、三色同順一気通貫チャンタ純チャン混一色清一色は、副露した場合に1飜値段が安くなる。


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