麦わら帽子
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「ストローハット」はこの項目へ転送されています。カクテルについては「ストロー・ハット (カクテル)」をご覧ください。
紳士用麦わら帽子婦人用麦わら帽子伝統的なウクライナの麦わら帽子

麦わら帽子(むぎわらぼうし、麦藁帽子)は、あるいは藁様の素材(様々な植物由来あるいは合成素材)で編んだ帽子

麦わらは麦稈(ばっかん)ともいい麦稈帽子(ばっかんぼうし)[1]あるいは単に麦稈帽(ばっかんぼう)ともいう。また、麦わらは英語ではストロー(Straw)ともいいストローハット(Straw hat)ともいう。

丸い山形をしており、日除けのつばが広い。あご紐が付けられる場合もあるほか、男女ともにリボンが巻かれたり飾りが付けられたりすることもある。に日よけとして用いられる。夏の野良仕事や海水浴などによく用いられるため、夏の風物詩ともなっている。そのため「麦わら」や「麦わら帽子」は夏の季語になっている。
歴史と産地

麦わら帽子は中世後から欧州およびアジアにおいて夏季に着用されており、中世から今日に至るまでほとんど変化していない。『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』の著名な暦の縮小版で全ての階級の男性によって着用されている様が多数描かれているのを見ることができる。

手工芸で製作される麦わら帽子の製造方法は時代によって多少異なるものの「近世工業の中で最も美なるもの」と称された[1]
ヨーロッパ

かつて麦わら帽子はイギリスのベッドフォードシャーやハートフォードシャーが有名な産地であった[2]

近世工業としての麦わら帽子の製造はイギリスのダンスタブルに始まったといわれている[3]。しかし、当時は未だ麦稈を割いて編む方法が発明されていなかったため麦稈はそのままの形(丸稈)で利用されていた[3][2]

麦稈を割いて製造する方法(割稈)が考案されると先を争うようにこの製法が普及した[2][3]。のちにイギリスではダンスタブルに代わりルートンが麦わら帽の生産で名声を博すようになった[2]

その後、イギリス国内へはイタリアリヴォルノ(レグホーン)の麦わら帽が輸入されるようになり流行した(レグホーン帽)[2][3]。ルートン製の帽子は世界のいたるところに販路を有していたが欧州諸国の関税障壁によって打撃をこうむることとなった[4]。大陸諸国で主な生産国となったのはスイスドイツ、イタリアなどである[3]
日本

日本の麦わら帽子は、町役人の河田谷五郎が外国人の帽子を手本に作った(1872年)のが始まりとされる[5]。工業的生産については、昭和3年に「麦わら帽子製造用環縫ミシン」をブラザー工業が販売したことが有名である。

大日本帝国海軍では明治時代に下士卒夏服の帽子として用いられた時期もあった(日本海軍の軍服参照)。

戦前の日本では、紳士用の正装としてカンカン帽パナマ帽が共に夏に愛用されていた。

麦わら帽子の国内2大生産地としては、埼玉県岡山県が挙げられる。現在も麦わら帽子を手がける専業メーカーが存在している。

特に埼玉県春日部市は、麦わら帽子を伝統手工芸品の1つとしている。同市では昔から麦農家が多く、真田紐を副業として作り始めたことから天然草の麦わら帽子を製造するようになったと言われている。埼玉県の歴史を語るうえで重要で「埼玉県立歴史と民俗の博物館(埼玉県さいたま市大宮区高鼻町4-219)」でも紹介されている。

日本国内でもう1つの産地として有名なのは岡山県である。麦わら(麦稈真田)のかつての主産地であったことから、歴史博物館などが存在する。かもがた町屋公園(岡山県浅口市鴨方町鴨方240)や浅口市立鴨方図書館(岡山県浅口市鴨方町鴨方2244-13)では、麦わら帽子のつくり方やその歴史的資料の展示を行っている。
その他の産地モコロトロが描かれたレソトのナンバープレート

麦わら帽子の一種であるモコロトロ(mokorotlo)は、バソト人とレソト人の、そしてレソト国民の象徴である。モコロトロはレソトのナンバープレートにも描かれている。

また、マダガスカルもラフィア(やしの木の葉)の生産地であり、1980年代よりヘレンカミンスキーによって代表的な生産地のひとつとなった。

なお、同じ天然草の帽子としてはエクアドルパナマハットも有名である。
素材と形態

日本語で言う「麦わら帽子」は、原料である麦わらを漂白、または染色し、平たくつぶした7本の茎を真田紐(さなだひも)のように編んだものを材料とし、それを専用のミシンで渦巻き状に縫い合わせて作った帽子(ブレードハット:braid hat)を指し、ストローハット(straw hat)とも呼ばれる。


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