この項目では、鳥について説明しています。
迷彩やステルス等の概念については「カモフラージュ」をご覧ください。
その他の用法については「カモ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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同じ漢字で表記することもある鳥については「アヒル」をご覧ください。
その他の用法については「鴨 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
カモ(鴨、鳧、英: Duck, quacker)とは、カモ目カモ科の鳥類のうち、雁(カリ)に比べて体が小さく首があまり長くないものの総称。分類学上のまとまった群ではない。冬羽(繁殖羽)では雄と雌で色彩が異なるが、カルガモのようにほとんど差がない種もある。 日本では主にカルガモ、オシドリなどが通年生息し、日本全国の河川や湖などで見られる。日本では多くが冬鳥であるため、冬季にはマガモ、コガモ、オナガガモ、スズガモなど多種が見られる。
概要
日本語と異なり英語の duck などヨーロッパの言語では、基礎語彙のレベルでは野生の鴨(英: wild duck)と家禽のアヒル(英: domestic duck)を区別しないので、翻訳に際して注意が必要である。バリケンも鴨の範疇に入る。雄は drake ともいう。中国語(?/鴨、y?)においても、日常会話では認知的に両者を区別していないため注意が必要である。
利用
食材鴨肉料理シンガポールの鴨飯
鴨肉は食用とされ、日本料理では鴨鍋やじぶ煮、すき焼き、鴨南蛮、焼き料理などに使われる。生食は避けるべきという意見もあるが、新鮮な鴨肉をたたきで提供する店もある[4]。現代ではアイガモを養殖して食用にすることが多く、国内消費の9割は輸入で賄われている[4]。鴨には臭みが強く食用に適さない種もある。鴨鍋はネギのほか、セリと煮ることもある[4]。
鴨は日本では古代から好んで食べられており、各地の貝塚から発見される鳥の骨の中で最も多いのがマガモの骨である。奈良時代の『播磨国風土記』には「鴨の羹」が登場する。しかし時代が下るに連れ、貴族や支配階層の間では雉や鶴などが好まれるようになり、鴨は庶民が食べる下等なものとされていった。
肉食が一般的でない明治維新前の日本で、鴨を含め庶民向けとされる野鳥類は生類憐れみの令など一時の例外を除き肉食禁断令の対象外で、一部の地域で食用とされた数少ない鳥獣類であった(「日本の獣肉食の歴史#江戸時代」参照)。江戸時代の井原西鶴は、町民にとって鴨膾などの鴨料理は「いたり料理」、最も贅沢な料理の典型と書き残している[5]。
今日、鴨肉の名称で流通しているものの多くはアヒル(家禽化したマガモ)の肉であるが、アイガモ(アヒルとマガモの交配種またはカルガモとアヒルの交配種)や野生のマガモなどもしばしば食用とされる。脂が載る冬が最も美味しく、旬の季節である[6]。
海外でも牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉と並びよく食される。市場では高値で取引されるため、北京ダックなど高級食材として扱われている。鴨肉を用いた料理としては鴨飯などが挙げられる。鴨の卵も鶏卵と同じように使われる。血は、固めて鴨血という血豆腐で提供される[7]。
カモは渡りを行う場合、あらかじめ肝臓に脂肪を蓄えて、脂肪肝になる。それを人工的に強制して得られる食材がフォアグラである。 食用や採卵のほかには、合鴨や家鴨が愛玩、羽毛採集、アイガモ農法などの用途で家禽化されている。羽毛は軽量で保温が高くジャケットや掛け布団に利用される。 アイガモやアヒルと野生の本種の間で遺伝子汚染がかなり進んでいるため、野鶏などと同じように、家禽と交雑が進み遺伝的に純粋なものはいなくなるのではないかといった懸念をする研究者もいる[誰?]。
家禽
放流と生態系の破壊問題
鴨が使われる語句
ことわざ・慣用句
鴨が葱を背負ってくる(かもがねぎをせおってくる)
鴨鍋にネギを入れると臭みがとれて美味しくなる事から、いいことが重なってやってくること。また「鴨」は利用しやすい人を指すことから、食い物にしやすい人がこちらの利益になる材料を持ってやって来ることもいう。転じて、詐欺や悪質商法を行う者がターゲットを「カモ」と揶揄することがあり「カモる」「カモが来た」などと用い、ターゲット側は「カモにされた」「カモられた」などと用いる。略して鴨葱「カモネギ」とも言う。
従兄弟同士は鴨の味(いとこどうしはかものあじ)
いとこ同士の夫婦の仲はとても睦まじいということ。いとこ、いとこ婚の項を参照。
隣の貧乏鴨の味(となりのびんぼうかものあじ)
人間の、他者の不幸を見て喜ぶ心情のさまを表す[8]。