鴉天狗カブト
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『鴉天狗カブト』(カラスてんぐカブト)は、寺沢武一による日本漫画作品。戦国時代日本をベースとした異世界を舞台に、鴉天狗であるカブト親子の活躍を描いたアクション漫画である。アニメ化もされた。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
作品解説

悪の権化・黒夜叉道鬼と、それを倒すことを宿命付けられた男・鴉天狗カブト。太古の昔より時代を超えて続く2人の男の戦いを描いた時代劇アクションである。ラストは現代の東京に舞台が移り、カブトと道鬼の姿が描かれ2人の戦いが永遠に続くことを示唆するものとなっている。

物語は二部構成となっており、第一部にあたる「NINJAカブト」を集英社の漫画雑誌『フレッシュジャンプ』(以下、FJと表記)にて、1987年5月号から同年12月まで連載。第二部よりタイトルを「鴉天狗カブト」に改題し、1988年5月号から1989年1月号まで同じく『FJ』において連載した。単行本刊行時にはそれぞれ1巻ずつにまとめられ、全2巻で刊行されている。初代カブトが主人公の第一部「NINJAカブト」は単行本刊行時に「鴉天狗カブト 臨の章」に改題され、二代目カブトが主人公となる第二部には、単行本刊行時に「兵の章」という副題が付けられた。第一部は初代カブトと四神と呼ばれる四人の仲間達による五人組のグループヒーロー的作風だが、第二部では二代目カブトが四神の力をも受け継ぐという設定となり、四神に相当するキャラクターは登場しない。

原作者・寺沢武一の公式サイトの紹介で“中世日本をベースにした異世界ファンタジー作品”としている。実際、厳密な時代考証などはなく、第二部では万窟城という城が登場するが、劇中では上杉謙信が朝鮮出兵の先陣として建てた城という設定で登場するといった具合である。作中の時代設定では戦国時代としながらも、衣装や小道具も戦国時代というよりは江戸時代のものが出てきたりする。また、『西遊記』の孫悟空をモチーフとした敵が登場するなど、日本の戦国時代以外の要素も盛り込まれている。
あらすじ
第一部 臨の章(NINJAカブト)
時は戦国時代、人々の血が多く流されたこの時代に一人の暗黒魔道士が魔界の門を開け、悪しき鬼たちをこの世に呼び込んだ。その男の名は黒夜叉道鬼。道鬼は悪しき鬼たちを率い、天下を支配せんとしていた。だが、闇の裏には常に光がある。鴉天狗カブトはこの異変にいち早く気付き、父がその力と呪いを持て余して封印した魔剣「飛龍」を復活させ、さらには全国に散らばる四人の仲間である「四神」を自らの元へ集結させる。緒戦で敗北を喫したものの、最終的にカブトと四神の活躍によって道鬼は倒された。
第二部 兵の章
カブトたちの戦いから時は流れた。復活を遂げた道鬼は、自身の軍団を率いて
山本勘助率いる武田軍を壊滅させる。父の異変に気づいた勘助の娘・静は鴉天狗を祭る神社で救いを求める祈りをささげる。そこへ現れたのはここを住処とする盗賊でカブトに瓜二つの青年、二代目・鴉天狗カブトであった。カブトが静から父・勘助の異変について話を聞いていると今度は彼を追う捕り方・金色のお竜が現れ、さらには復活した魔界の鬼たちの襲撃を受ける。静とお竜を連れてその場を脱出したカブトは、勘助の救出作戦を提案する。カブト達三人は勘助が国境に築いているという城に潜入するが、城は道鬼の手に落ちており見つかってしまう。お竜は捕らえられ、カブトは静を連れて脱出を図るが彼女は死に、自身も瀕死の重傷を負う。死を覚悟したカブトだが、四神の魂を宿したことで一介の盗賊から天狗の将として復活を遂げる。カブトは道鬼に対決を挑むも、道鬼はお竜を解放すると“あと九十九日でこの世は地獄と変わる”との言葉を残してカブトの前から消えた。この世の滅亡まであと九十九日…天狗の将として復活を遂げたカブトは、世界を破滅から救うべく行動を開始するのだった。
登場人物

アニメ版で登場したキャラクターには、声優も併せて記載している。
カブトと仲間たち

カブトとその仲間である四神は「天狗流忍術法」という忍術を用いる忍者である。
カブト(初代、二代目)
声:
松本保典  初代カブトは第一部・臨の章の主人公で、二代目鴉天狗を名乗る男。黒夜叉道鬼が魔界の門を開いたことを察知し、飛龍を蘇らせ、黒夜叉道鬼と戦う。普段は人間の姿だが、天狗の術法により背中に翼を生やして空を飛ぶこともできる。性格は真面目でクールと、当時の寺沢武一の漫画の主人公としては珍しいタイプ。二代目カブトは第二部・兵の章の主人公。初代カブトの息子で外見は父親と瓜二つだが、性格は大きく異なる。冗談をよく言い、おまけに当初は父から受け継いだ力を使って盗賊稼業を行っていた。だが瀕死の重傷を負った際に四神の魂を宿したことで「道鬼を倒す」という自らの宿命を受け入れ、天狗の将として復活を遂げる。四神の力を受け継いだことで初代カブトの能力だけでなく、四神の技である「四門封殺の陣」が使用可能となった。このほか「大天狗変化」で玄武の姿に変身したり、白虎の力を宿した右腕から必殺技「天狗抜刀・白虎剣」も繰り出せる。さらには青龍の力が宿る左腕を天に掲げることで竜卍船の召還も可能である。
飛龍(ひりゅう)
声:西村知道初代カブトの父が鍛えた魔剣で、自らの意思を持つ。初代カブトと二代目カブトの愛剣にしてよき「相棒」であり、魔界の鬼などへの知見も豊富である。頻繁に血を吸わないと持ち主の生気を吸うという呪いを持つため、その力を持て余したカブトの父が封印していた。空中を自由に浮遊したり静止が可能なため、飛竜だけを空中に留めてカブト自身は相手の背後に回るといった戦い方もできる。その切れ味は相当なもので初代カブトによれば「五寸むこうは太刀風で斬る」といい、石灯籠の後ろに隠れた敵を灯篭ごと斬ってしまうほど。だが魔界と人間界との通り道である鬼道界においては、力が失われてしまう。アニメのオープニング曲ではその切れ味の鋭さとともに「妖剣飛龍」と歌われている。
四神(ししん)
東西南北を守る守護神・四神の名を持つ者たち。生きてはカブトの臣、死してはカブトの鬼たらんことを誓った者達である。4人がそろうことで四神相応の一法・「四門封殺の陣」を用いて強力な結界を張ることができる。カブトと四神が集結した状態を一天四神(いってんししん)という。兵の章では二代目カブトが住処としている神社の2階に彼らの像があり、初代カブトの像とともに祭られている。アニメでは一貫してカブトの仲間として登場し、終盤の決戦ではそれぞれが窮地に陥った際、自分の体に宿る守護神の力が発動して危機を脱するという様子が描かれた。
紅天狗玄武(べにてんぐ げんぶ)
声:塩屋浩三通称:北の玄武。鋼鉄の体を持つ天狗のからくり人形で、最初に登場した四神。性格は真面目でカブトのことは「若」と呼ぶ。棒術を得意とし当初は六尺棒という鉄棒を武器としていたが、後に「雷迅風」を武器とするようになった。
地雷屋白虎(じらいや びゃっこ)
声:大滝進矢通称:西の白虎。元は九十峠を根城にしている野武士のリーダーで、九十峠の大虎と呼ばれていた。だが、カブトから召集を受け彼のもとに馳せ参じる。肉体そのものを武器としており、自分を拘束している鎖を引きちぎるほどの怪力の持ち主。これにより九十峠の盗賊・梅王(ばいおう、声:渡部猛)を返り討ちにして梅王の砦を奪い取ったほど。女嫌いで、梅王の女(声:西宏子)から言い寄られるもそれを拒否している。刀の使い手で、愛刀の鞘と銃を兼用している「赤鞘筒」という武器を使うこともある。このほか、「卍包丁」という武器も使用する。当初は虎鉄を愛刀としていたが、後に「打竜牙」を愛刀とするようになった。
青龍(せいりゅう)
声:田野恵通称:東の青龍。元は出雲の山奥で野生児のような生活をしていた少年。独楽(コマ)などを武器として使用する。後にカブトの命を受け、家宝の竜水晶をとりに里に戻って守護神である竜神と対峙し、これを斬る。竜神の力を両腕に宿したことで竜卍船を動かせるようになった。アニメ第6話では道鬼の妖術によって操られ、カブトや他の四神と刃を交えたことがあった。終盤の37話では黒夜叉四天王の闇入道を道連れに竜卍船で溶岩の煮えたぎる火口に突っ込み、死んだと思われた。だが竜卍船は溶岩の中で燃え尽きてはおらず、青龍は船内で気絶していたものの意識を取り戻し、竜卍船の操船を行い火口から脱出したことで一命を取り留めている。
朱雀(すざく)
声:鶴ひろみ通称:南の朱雀。元は京都で琴を弾いて暮らしていた若い女性。針を使った技を得意とし、必殺技は天狗流・九十九針。笛の名手でもあり、針を仕込んだ吹き矢として用いることもある。青龍が竜水晶をとりに里帰りし、白虎と玄武が打竜牙と雷迅風を使いこなすべく旅に出た後はカブトと行動をともにしていた。忍者装束はミニスカート風の着物と網タイツという、多くのフィクション作品で見られるくノ一スタイルである。兵の章で彼女の衣装が竜卍船の中に残っていたのを見て、二代目カブトは父である初代カブトの恋人のものではないかと推測していた。アニメでは兵の章におけるお竜の役回りも担当し、終盤となる36話では黒夜叉四天王の夜叉姫と女同士で死闘を演じることとなる。鬼面城内から水中へと戦いの場が移る中、窮地に陥るも守護神である朱雀の姿に変化させ夜叉姫に体当たりして相討ちとなったかにみえたが、最終回で生きていたことが明らかになった。
お竜(おりゅう)
通称:金色のお竜。兵の章で登場する女性の捕り方。十手と分銅鎖を手に盗賊だった二代目カブトを追って神社にやってきたところ、そこに居合わせた山本勘助の娘・静と瓜二つだったことから成り行きでカブトの提案した勘助救出作戦に協力することとなる。それをきっかけにカブトと行動を共にすることとなり、当初は彼を快く思っていなかったが次第に惹かれていった。竜卍船でカブトと行動を共にするようになってからは、船内に残されていた朱雀の服を着用している。また、容姿も朱雀とそっくりである。アニメでは登場しない。その結果、勘助救出作戦で勘助が築城しているという出城に潜入した際に道鬼の呪術で背中に地竜(声:千葉一伸)を宿される、武蔵伊豆の山を住処としていた鬼猿たちにより黒エビの生贄としてさらわれる、道鬼の呪法で操られ清元寺を襲撃したあとにカブト達と対決するといった劇中の役回りはいずれも朱雀に置き換えられた。
白竜(びゃくりゅう)
声:峰恵研山城・鞍馬山に住む二代目カブトの剣術指南役。鳥のような顔と背中に小さな羽をもつ。自分の元を訪れたカブトに天空の異変を伝え、道鬼の野望を食い止めるべくカブトと行動をともにすることとなる。アニメでは天空の異変を伝え、朱雀に宿った地竜を抑え込む場面までの登場に留まる。
道鬼と魔界の鬼たち
黒夜叉道鬼(くろやしゃ どうき)
声:
徳丸完魔界の門を開け、この世に悪しき鬼を招き入れた暗黒魔道士。妖剣「女紋獣」を愛剣とし、魔城「鬼面城」を居城とする。妖術などを駆使してカブト達の前に刺客を差し向け、彼らを亡き者にしようと図る。臨の章の最後、初代カブトとの決戦で城と運命を共にするも兵の章で復活。山本勘助に成りすまして鬼面城を再建し、この世を闇に陥れようと企む。なお「道鬼」とは、勘助の法号である。
黒夜叉四天王(くろやしゃしてんのう)
カブトに四神がいるように、道鬼には四天王がいる。ただし劇中に登場したのは3体までで、二代目カブトにそれを指摘されていた。羅童は兵の章より登場。アニメでは4体目が登場し、名実ともに「四天王」となっている。
夜叉姫(やしゃひめ)
声:安藤ありさ女の姿をした鬼で、強力な火炎を操る。臨の章では目立った活躍はなかったが、兵の章において四天王の一体として再登場。その後、五光星の魔人・天道星を宿した巨木(巨木魔人)と一体化して二代目カブトと戦うこととなるが、カブトの白虎剣で巨木魔人は粉砕され、粉砕された巨木の下敷きとなって死亡した。アニメでは巨木魔人とは一体化せず、36話にて打竜牙で地竜の呪いから解放された朱雀と対峙。水中戦となり朱雀を苦しめるが、守護神の力を発動させた朱雀の体当たり攻撃で死亡。水死体となった彼女の手には朱雀の笛が握られていた。
九頭鬼(くとうき)
声:笹岡繁蔵阿修羅のごとく3つの面を持ち、両肩、両胸にそれぞれ1つと腹部に1つ、さらに頭のてっぺんに面が1つで9つの面がある。面獣と呼ばれる無数の面を飛ばして攻撃し、面を相手の顔に被せることで被せた者の自我を奪ってコントロールできる。臨の章では潜水艦「大亀甲」を利用して風魔水軍を壊滅させた。カブト達の乗る船を沈めて乗員を連行し、彼らに面を被せて海底での労働に使役させていた。兵の章でも登場するが、目立った活躍はなかった。
羅童(ラドウ)
声:加藤精三甲冑に身を包んだ巨漢の鎧武者。武器は手にした槍と背中に収納している6本の剣・餓鬼道剣。餓鬼道剣は空中に浮遊させて自分の周囲に展開し、相手を攻撃することが可能。剣の中に命を奪った相手の魂を封じることもできる。山本勘助の娘・静を殺し二代目カブトを窮地に追い込むが、大天狗変化で鋼鉄の体を持つ玄武の姿に変身したカブトに倒される。


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