この項目では、水生生物のえらについて説明しています。そのほかについては「エラ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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やノートページでの議論にご協力ください。えら(鰓、腮、顋)とは、
水中で生活する動物が、水中の溶存酸素を取りこみ、体内の二酸化炭素を排出して呼吸(ガス交換)を行うための器官。
人のあごの両横のはし[1]。
この項では1について解説する。 もともと生命は海中で誕生したとされる。動物が小さくて動きも鈍いうちは皮膚から直接酸素を取り入れるだけでこと足りていたが、やがて動物が大型化し、行動も活発になるにつれ、呼吸器としてえらができ、小さなえらで多くの酸素を一度に取り込めるよう機能的な発達をしてきた。えらは動物の種類によって様々な形があるが、糸状や葉状、弁状の器官がたくさん集まっているという構造は共通している。これは肺や腸などと同じことで、より多くの酸素を取り入れるために表面積を増やす構造をとっているといえる。 他方、水中ではプランクトンやデトリタスといったセストン(懸濁物:けんだくぶつ)を、濾過摂食や繊毛粘液摂食という方法で食べる動物もおり、そのような動物ではえらが摂食器官としての働きも兼ねており、えらが水との接触面積を増やすのは、そちらの方でも効果が大きい。 軟体動物のうち多板類と単板類では、腹面中央にある足の両側の外套膜の下に房状の鰓が対をなして前後に配列する。それ以外の類では、配置の変化が大きい。 貝類、タコ、イカなどでは、外殻はみえないが、外套膜に囲まれて外部に通じている腔所である外套腔内にえらをもつ。通常、外套腔内に開口した肛門の両脇に対を成してえらがあるが、高等な腹足綱(巻貝類)のように片側だけになったものや、ツタノハガイ科のカサガイ類や狭義のウミウシ類のように本来のえら(一次えら)を失ったものもある。一次えらを失ったものには体の他の場所の体表が突出して二次えらを形成しているものがある。
概説
各動物のえら
軟体動物
タコやイカなどの頭足類は、もともと2対のえらを持っていたと考えられている。今日でも原始的な形態を保つオウムガイは2対4枚のえらを持つ。しかしタコやイカではこのえらが1対2枚にまで減少している。胴と頭の間から、えらのある外套腔へ海水を取りこみ、漏斗から水を吐き出す。敵に襲われた時は漏斗から勢いよく水を噴き出すことでジェット噴射の要領ですばやく飛び退くことができる。 えらは水棲種がほとんどである甲殻類を通じて広く見られ、多くの場合は外葉という付属肢の基部に備わった葉状の附属体から変化した部分である[2]。カニ・エビなどが属する十脚類の場合はそれが更に進んでおり、胸肢の基部から分岐したえらは全て背甲によって覆われ、精密の鰓室を構成する[3]。 そもそも昆虫類は陸上に適応した動物で、気門で取り入れた空気を気管で全身に運ぶことにより呼吸する。水生昆虫のゲンゴロウ、タガメ、タイコウチなども例外ではなく、生きるためには水面に尾部を突き出して息継ぎをしなければならない。 しかしカゲロウ、カワゲラ、トビケラ、トンボなどは、水生昆虫として水中で生活する幼虫期にえら呼吸をするため、この期間は息継ぎをせずに生活することができる。これらのえらは気管鰓と呼ばれ、薄い袋状、あるいは細かい糸状に突出した体表の突起の中に空気の入った気管が入り込んだ構造になっている。気管鰓の中の気管内部の空気と昆虫が生息する水の間で酸素と二酸化炭素のやり取りが起こり、この気管内の空気と全身の組織の間でガス交換が行われる。 カゲロウの幼虫は腹部に葉状のえら、カワゲラの幼虫は胸部に房状のえらを持つ。水中にミノムシやクモのような巣を作るトビケラ類も腹部にえらを持つが、目立ったえらを持たないものもいる。 トンボでは、イトトンボ類やカワトンボ類の属する均翅亜目が尾部に3枚の外鰓を発達させている。その他のムカシトンボ亜目や不均翅亜目のトンボは目立ったえらを持たないが、直腸の内壁の構造が複雑化して気管鰓となっており、尾部から水を吸いこみ、直腸内で気管との間でガス交換を行っている。 昆虫としては例外的に、ユスリカの幼虫(赤虫)など一部の水生昆虫は血鰓と呼ばれ、気管が中に入っておらずに血液が循環するえらを持っている。このえらを持つ水生昆虫ではえらの中の血液と体外の水との間でガス交換が行われ、酸素や二酸化炭素は血液によって運搬される。 現生の鋏角類では、カブトガニ類のみえらを持っている。平板状の蓋板の裏側に配置され、それが書物のようにみえることから、書鰓(しょさい)と呼ばれる。なお、陸棲の鋏角類であるクモガタ類の一部、例えばクモやサソリの後体の腹面に前述の書鰓に相同と思われる書肺(しょはい)という呼吸器を持つ[4]。 ホヤやナメクジウオ、脊椎動物といった脊索動物のえらは咽頭の両側に何対かのスリット(鰓裂・さいれつ)が開いたものが基本形である。鰓裂と鰓裂の間の部分を鰓弓(さいきゅう)と呼ぶ。鰓弓どうしが向かい合った面には弁状や糸状の突起が密生しており、その中に血管がたくさん入り込んでいる。口から取り入れた水をこの鰓裂に通過させる時にガス交換が行われる。ホヤやナメクジウオ、かなりの魚類では同時に水中のプランクトンなどをろ過し、食物として消化管に取り込む。 魚類のえらはガス交換に加え、浸透圧調節、アンモニア排出の3つの役割を果たしている。 ヌタウナギやヤツメウナギなどの無顎類では、頭部の後ろに鰓孔(さいこう)が1-7対あり、それぞれにえらを備えている。口腔内と鰓孔はつながっていない。 サメやエイなどの軟骨魚には5-7対の鰓裂がある。鰓裂は皮膚が背側から腹側に向かって縦に裂けるようにして形成され、口腔内とつながって換水を行うことができる。軟骨魚類の場合は鼻の穴とは別に、目の後ろに噴水孔(ふんすいこう)という穴があり、ここから水が出入りする(軟骨魚綱参照)。水族館などで生きたエイ類を観察すると、硬骨魚のように口をパクパクすることはないが、目の後ろにある噴水孔が開閉するのがわかる。 硬骨魚では1対の鰓蓋(えらぶた、さいがい)が発達し、4対のえらを覆っている。口と鰓蓋を交互に開閉させることで水流を起こし、呼吸が効率よく行われる。硬骨魚のえらは、血管が通っている赤い弁状の器官が鰓弓にたくさん並ぶ構造となっている。この赤い部分を一次鰓弁(さいべん)といい、この一次鰓弁の両脇に無数の二次鰓弁と呼ばれるヒダがある。実際にガス交換が行われているのは、この二次鰓弁上である。 大型の軟骨魚は鰓でプランクトンを濾し取って食べる。硬骨魚の鰓弁の反対側には鰓耙(さいは)という櫛(くし)状の器官がある。これはイワシやアユなどのプランクトン食性の魚で特に長く発達しており、吸い込んだ水の中から餌のプランクトンを濾しとる役割を果たす。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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