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「サバ」のその他の用法については「サバ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

サバ
大西洋産サバの一種 Scomber scombrus
分類

:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:条鰭綱 Actinopterygii
:スズキ目 Perciformes
亜目:サバ亜目 Scombroidei
:サバ科 Scombridae
:サバ属 Scomber
グルクマ属 Rastrelliger
ニジョウサバ属 Grammatorcynus

英名
Mackerel
下位分類群
本文参照

サバ(鯖、青花魚、?、英: Mackerel)は、スズキ目サバ科サバ属(Scomber)・グルクマ属(Rastrelliger)・ニジョウサバ属(Grammatorcynus)などに分類されるの総称。世界各地で食される。日本近海ではマサバ(真鯖)、ゴマサバグルクマニジョウサバ(二条鯖)の計4種が見られる。
日本産サバ類

生物学的側面は各記事を参照。

サバ属 Scomber

マサバ S. japonicus - 腹側は無地の銀白色、背中は斑点列。

ゴマサバ S. australasicus - 腹側に黒い斑点が多数、、背中は斑点列。

大西洋サバ(通称ノルウェーサバ) S. scombrus - 腹側は無地の銀白色、背中は曲線模様。日本近海には生息しておらず、冷凍品がノルウェーから輸入されている。


グルクマ属 Rastrelliger

グルクマ R. kanagurta - 背中は斑点列。日本では南西諸島だけで漁獲される


ニジョウサバ属 Grammatorcynus

ニジョウサバ G. bilineatus- 側線が背側と腹側に分岐する。南西諸島で稀に漁獲される

Grammatorcynus bicarinatus (Quoy & Gaimard, 1825), shark mackerel


漁獲全世界の漁獲高

日本の太平洋各地で水揚げされるサバは秋が旬で、「秋サバ」と称される。太平洋沿岸を回遊するサバは、伊豆半島沖で春頃に産卵し、餌を食べながら北上する。特に北海道沖での海域はプランクトンが豊富にありサバは丸々と太るが、脂肪分は皮と身の間などに貯められ、身に均等に回っていない。このサバが産卵のために南下を始める時期が9月-10月頃であり、その時期のサバは脂肪が身に入り込み、身も締まって風味は格段に上がる。特に八戸沖で水揚げされる「戻りのサバ」は最良とされている。北上するサバと南下するサバとでは脂肪含有率が全く違うが、脂肪含有率の多い順は北海道沖→八戸沖→三陸沖常磐沖→銚子沖→伊豆沖となる。九州沿岸で水揚げされるサバは、冬がであり俗に「寒サバ」とも称する。真鯖の漁場が韓国の済州島辺りになってきている。

大西洋サバ(通称ノルウェーサバ, S. scombrus)は秋が旬である。アイルランド沖で春先に産卵し、孵化した幼魚は餌をとりながらノルウェー南部海域を目指す。ノルウェー南部海域にはルンベと称される浅瀬があり、そこには海草が生い茂り波も静かでプランクトンが豊富である。幼魚時期にそこで成長し、回遊ができる体になってから北上を始める。ノルウェー北部海域にはプランクトンが豊富にある海域があり、索餌行動をして丸々と太ったサバは産卵のため南下を始める。程よく脂も抜けて、身もしまり風味が良くなる時期が、9月中旬から10月中旬である。特にオーレスンド沖で水揚げされる戻りのサバが最良とされている。脂肪含有率の目安は、8月漁獲サバ:約30 - 32%、9月中旬 - 10月中旬漁獲サバ:約28%前後、1月漁獲サバ:約24%、3月漁獲サバ:約16 - 18%となる。

漁業の対象としてだけでなく、食用としての価値や引きの強さから、個人的な釣りでも人気が高い。
日本の漁獲および輸出入

2016年度の日本の漁獲量は約49万トンで、1位の中国(約50万トン)に次ぐ世界2位である[1]。このうち半分の約25万トン(2018年度)を海外に輸出している。一方、日本への輸入は約7万トン(2018年度)であり、そのうちの9割がノルウェー産である。

県別にみると、2017年度の水揚量の1位は「茨城常磐のマサバ」[2]で有名な茨城県で、125,522トン[3]福井県では1974年には12,697トンの水揚げがあったが、2017年には203トンになった。

ヨーロッパ諸国では漁獲されるのは大型がメインとなるが、日本では漁獲されるのは小型のサバがメインである。しかし2018年に漁業法が改正されたことを受けて状況は変わりつつある[4]

ヨーロッパ産は高価であるが、脂が乗っておいしいため、日本にはノルウェー産が輸入されており、日本のスーパーで販売されるサバのうち7割(2018年度)がノルウェー産である。一方、日本で主に漁獲される小型のサバは、主に缶詰(サバ缶)に加工される他、「生餌」としてブリやマグロなどの養殖魚のエサに使われる。小型のサバは脂が乗っていないので日本の消費者には好まれないが、安価であり、アフリカ諸国の人でも購入しやすいため、日本の漁獲量の半分が輸出に回され、そのうち6割(2018年度)がナイジェリアやエジプトを中心とするアフリカ諸国に輸出され、残りの4割はアジア諸国を中心に輸出されている[5]川商フーズが「GEISHA」ブランドの鯖缶を海外で販売しており、特にガーナやナイジェリアを中心とする西アフリカでは国民食とも言える人気となっている。

マサバ及びゴマサバは資源の減少のため、1997年より日本で漁獲可能量(TAC)が設定されているが、設定された漁獲可能量(2018年度は812,000トン)を実際の漁獲量(2018年度は約50万トン)が下回る状態が続いており、あまり資源が回復していない。また輸出されるサバのキロ単価でも、ノルウェー産が約195円なのに対して日本産は106円と、約半分となっており、漁獲者はあまり儲かっていない。その理由としては「未成魚の漁獲圧」、つまりノルウェーでは30cm以下のサバを食用で漁獲することができないのに、日本では「ローソク」と呼ばれる子供のサバが盛んに水揚げされていることなどが考えられている[6]

日本でサバの資源量が少なくて未成魚しか獲れず、しかも未成魚を漁獲しても安く買いたたかれるにもかかわらず、未成魚が乱獲されている理由としては、日本でサバの資源量が減少していて未成魚しか獲れず、しかも未成魚は安く買いたたかれるので、ますます未成魚のサバを大量に漁獲せざるを得ないという悪循環が考えられている。漁獲を制限するために漁獲可能量の数字が設定されるため、漁獲量が漁獲可能量の数字に達した時点で漁獲をストップするが(そのため、毎年の漁獲量は漁獲可能量と同じ数字となる)、日本では漁獲可能量がとても大きく設定されており、どれだけ漁獲しても漁獲可能量に達することがなく、乱獲の歯止めとならないのも理由の一つと考えられている[7]

日本近海のサバの資源量(水産庁による推測)は、1990年代以降に10万トン台まで落ち込んだが、2000年代以降に回復基調にあり、特に2010年代以降に大きく回復し、2016年には約72万トンにまで回復したと評価されている。その背景として、漁獲抑制と、2011年の東日本大震災で漁港が壊滅して漁獲圧が減ったことが考えられている。そのため、サバの漁獲可能量も増やされているが、それでもまだ1980年代の水準(140万トン程度)には戻っておらず、漁獲可能量の見直しが再び乱獲を招くとの批判がある。

資源管理がなされたうえで漁獲されたサバは、乱獲ではないことを証明するために海洋管理協議会(MSC)の評価を受け、パッケージに「海のエコラベル」と呼ばれる「MSC認証シール」が貼ってある。「MSC認証」の存在も日本でノルウェー産サバのブランド価値を高めている要素の一つで、日本の小売り大手のイオンでは自社ブランドで「MSC認証さば」を販売しており、2017年に500万パックを販売したと言う[8]。しかし2019年はノルウェーでもサバを獲りすぎ、MSC認証が停止された[9]
食材

サバ(生)100 gあたりの栄養価
エネルギー661 kJ (158 kcal)

炭水化物0 g
糖類0 g
食物繊維0 g

脂肪7.89 g
飽和脂肪酸2.247 g
一価不飽和2.629 g
多価不飽和n-31.94 g1.564 g

タンパク質20.07 g
トリプトファン0.225 g
トレオニン0.88 g
イソロイシン0.925 g
ロイシン1.631 g
リシン1.843 g
メチオニン0.594 g
シスチン0.215 g
フェニルアラニン0.783 g
チロシン0.678 g
バリン1.034 g
アルギニン1.201 g
ヒスチジン0.591 g
アラニン1.214 g
アスパラギン酸2.055 g
グルタミン酸2.996 g
グリシン0.963 g


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