この項目では、調味料「ぎょしょう」について説明しています。魚料理「うおびしお」については「うおびしお
」をご覧ください。魚醤(ぎょしょう)は、魚類または他の魚介類と塩を主な原料にした液体状の調味料。魚醤油(うおしょうゆ)、塩魚汁(しょっつる)とも呼ばれる。 魚を塩と共に漬け込み、自己消化、好気性細菌の働きで発酵させたものから出た液体成分が魚醤で、黄褐色 - 赤褐色、暗褐色の液体である。熟成すると、特有の香りまたは臭気を持つが、魚の動物性タンパク質が分解されてできたアミノ酸と魚肉に含まれる核酸を豊富に含むため、濃厚なうま味を有しており、調味料として使えば料理に塩味を加えるとともに、うま味を加える働きが強い。また、ミネラル、ビタミンも含んでいる。上澄み液をすくい取り加熱殺菌して製品とする場合もあるが、独特の香りや臭いは加熱に弱いため、炒め物、焼き物、煮物の調理には未加熱の分離液を選んで用いる人もいる。 魚醤はアジア、特に東南アジアの沿岸部を中心に、東アジアの日本、中国なども含め、いくつかの文化圏で用いられており、特にタイを始めとする東南アジアでは、塩を除けば、ほぼ唯一の塩味の調味料で、非常に多くの料理に用いられる。また、これらの文化圏の中には、米飯を加えてなれずしを作る伝統を残している地域・民族もある。 その起源に関しては、カンボジアのトンレサップ湖付近とみられている[1]。 日本では、近代的な食生活において、塩分濃度が高く風味が独特な魚醤は、醤油やうま味調味料の普及により一般家庭での使用は減っているが、いくつかの地方には魚醤を用いる文化が残っており、郷土料理などに利用されている。主なものでは、秋田県でしょっつる(塩汁)、奥能登でいしる(魚汁)、香川県でいかなご醤油が製造され、地元を中心に使用されている。この他1990年代後半ころから伝統的製法とは異なる製法が開発され、商品が製造販売されている(新製法の項目参照)。また、伊豆諸島でくさやを製造する際に用いられるくさや液も魚醤の一種であるとも考えられる。また90年代以降のタイ料理やベトナム料理の普及に伴い、後述の東南アジアの魚醤が比較的容易に入手可能になっている。 東南アジアでは、タイのナンプラー (??????, nam pla)、ベトナムのヌクマム (n??c m?m ニョクマム、ヌォクマムなどとも) が世界的に有名である。他にも、フィリピンのパティス (patis)、カンボジアのトゥック・トレイ (???????, tuk trey)、ラオスのナンパー (nam paa)、ミャンマーのンガンピャーイェー (ngan-pya-ye)、インドネシアのケチャップ・イカン (kecap ikan) などがある。中国の広東省やマカオの魚露(ユーロウ)も地元で広く使われている。これらの言葉の多くはおおむね「魚の水」という意味である。しかし、福建省福州では?露(キエロウ)といい、廈門のケーチャップ(鮭汁)の「鮭」と同じく塩辛を意味する語「キエ「魚偏に奇」」と、「露」を組み合わせている。 また、魚醤と同様の製法で作られ、液体を漉した後の物をすりつぶして固めたペースト状の調味料も用いられているが、オキアミを用いることが多く、シュリンプペーストと呼ばれる。タイのカピ(????, kapi)、インドネシアのトラシ (terasi) や、マレーシア、ブルネイのブラチャン (belacan)、フィリピンのバゴオン (bagoon)、カンボジアのプラホック (??????, prohok)、ミャンマーのンガピ (ngapi) 、中国の蝦醤(固形のものは蝦膏)などがある。 歴史的には、古代ローマにおいてもガルム(ラテン語: garum)と呼ばれる魚醤が使われていた。
概要
種類