魚肉(ぎょにく)は、魚類の可食部分で食肉とされるもの[1]。狭義には、胴体の骨の周りの赤身・白身を指す。広義には、魚の可食部全てを指す。したがって、内臓や尾ヒレに至るまで、魚肉に含まれる。本項では後者について記述する。
上記の魚の身部分と、鶏肉や獣肉を併せた意味もあるが[1]、この記事の対象範囲ではない。 英語では、単にフィッシュ(fish)またはフィッシュミート(英: Fish・Fish meat)と呼ばれる。 サーモンなどサケ類の身はピンク色に見える。 なお赤身と白身の区別は、100 g当たりのヘモグロビンとミオグロビンの含有量が10 mg以上が赤身とされている[2]。 ※部位の後ろには、その部位名称がよく用いられる魚の名称を記す。 魚肉用の魚は従来、釣りや漁業により捕獲された天然魚か、養殖魚として確保される。アメリカ合衆国では、クロマグロなどを細胞培養する人工魚肉の技術が開発され、実用化されつつある[3]。
食用海洋哺乳類について
海洋哺乳類(トド、イルカ、クジラ等)も食用に供されることがある。
魚類ではないため、通常は除外されるが、伝統的にイルカやクジラの肉については、日本語で鯨肉と呼ばれ、魚肉に含む場合がある。詳細は「鯨肉」を参照
日本では、スケトウダラが最も多い。スケトウダラを使用する一番のメリットは、低単価で安定供給が可能であるためである。
英語
アメリカ合衆国では、魚肉加工製品に対してもフィッシュミートとも呼称される。
フィッシュバーガーのパティなどに用いられる。
アメリカ本土では一般に魚肉加工製品に、白身魚(スケトウダラ、タラ、ホキ、ナマズ)の身などを用いる。
ハワイ州では一般に魚肉加工製品に、シイラなどを用いる。
種類
赤身(赤身魚)
回遊魚などの持久力のある遅筋が多い魚に多く見られる。
長距離を泳ぐため、大量に酸素を必要とする。そのため、血液(赤血球)中にヘモグロビンが多く、身が赤く見える。
白身(白身魚)
瞬発力のある速筋が多い魚に多く見られる。
岩礁や海底、砂地などに身を潜めて生息し、獲物を捕る時や逃げる時に泳ぐ魚が多い。酸素があまり必要ないため、身が白く見える。
例外
これは、餌となる甲殻類のアスタキサンチンによるもので、これらは白身魚に分類される。
利用用途
ヒトへの利用
鮮魚 - 刺身、寿司
焼き物 - 焼き魚 (塩焼き)
煮物 - 煮魚、煮込み料理
飯物 - 寿司、炊き込みご飯、釜飯、丼物
汁物 - 潮汁、鍋料理
揚げ物 - 唐揚げ、天ぷら、竜田揚げ、カツレツ
漬物 - 粕漬け、糠漬け、麹漬け
水産加工品
乾物 - フィッシュミール、鰹節、鯖節、焼干し、煮干し
すり身
魚肉練り製品:蒲鉾、つくね、はんぺん、魚肉ソーセージ、竹輪、揚げかまぼこ(薩摩揚げ)
缶詰
農産物、畜産物への利用
肥料、飼料
部位
頭部
頭 - マグロ、タイ、サケ、タラ
かま - ブリ、サケ
胴体
赤身 - 食用赤身魚全般
白身 - 食用白身魚全般、サメ、ナマズ
脂身(トロ) - マグロ、サンマ、サバ
背身
腹身 - 腹側の身
血合い - 背身と腹身との間にある
骨(軟骨に付随した肉) - エイ
粗(アラ) - 食用魚類全般
詳細は「粗」を参照
内臓
目 - マグロ
ごろ(内臓の器官全て) - イカ
肝 - サメ、アンコウ
心臓 - カツオ、マグロ
生殖器
卵巣 - サケ、マス、ニシン、トビウオ、カジカ、タラ、スケトウダラ、カレイ、チョウザメ、ミズダコ
精巣 - サケ、タラ、スケトウダラ、カレイ
尾鰭
ヒレ - サメ、エイ、フグ
背・尾ビレ - サメ(フカヒレ)
えんがわ - カレイ、ヒラメ
詳細は「えんがわ」を参照
尾 - マグロ
その他
足(触手) - タコ、イカ
人工魚肉
脚注[脚注の使い方]^ a b 『広辞苑』第5版
^ ⇒赤身魚(,白身魚)と青魚の比較
^ 「人工魚肉、アジアで攻勢 米フィンレス・フーズが開発/魚の細胞から培養・繁殖/まずマグロ 抵抗感どう払拭」