魚竜
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魚竜類
Ichthyosauria
Ichthyosaurus communis
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:爬虫綱 Reptilia
階級なし:双弓類 Diapsida
:魚竜目 Ichthyosauria

学名
Ichthyosauria
Blainville, 1835
和名
魚竜類 (ぎょりゅうるい)
下位分類


イクチオサウルス

魚竜 (ぎょりゅう) あるいは魚竜類 (ぎょりゅうるい、Ichthyosauria)は、魚鰭類に属する爬虫類の一群である。
概要

イルカ収斂進化しており、同様の生態的地位についていて中生代の大部分にわたって生存していた。約2億5千万年前に、恐竜(約2億3千万年前に出現)よりやや早く出現し、恐竜の絶滅よりも2,500万年早い9,000万年前に絶滅を迎えた。三畳紀前期に陸棲爬虫類のいずれかより進化して水棲適応したが、魚竜の祖先にあたる陸棲爬虫類は現時点で不明である。双弓類に属するのは間違いないが、その二大系統である鱗竜形類トカゲヘビや首長竜を含む系統)や主竜形類カメワニ、恐竜を含む系統)には属さず、それらが分岐する以前の、より古い系統に発するのではないかとされる。魚竜はジュラ紀に特に繁栄したが、白亜紀に最終的に絶滅し、彼らが有していた水棲捕食者の頂点の地位は首長竜モササウルス類が占めることになった。

目名は魚竜目(Ichthyosauria)である。1840年にリチャード・オーウェンにより、「魚+ひれ足」の意味を持つIchthyopterygiaの語が提案されたが、現在その語はIchthyosauriaのひとつ上の階級名である魚鰭類として使われている。
特徴イクチオサウルスの想像図ショニサウルスの想像図

魚竜の体長は平均2 - 4メートルだが、これよりも小型のものも大型のものも存在する。ネズミイルカに似た頭部を持ち、長くて歯のあるを持つ。ただしパラオフタルモサウルスのように歯を持たない魚竜もいる。尾びれは大きくて上下に広がり、ひれによる推進力を制御するのに使われていた。

肺呼吸をするために海面に浮上する。胎生であり、実際に胎児を持つ化石や出産中に死亡した化石が発見されているが、胎生であることはこれらの化石の発見前から予想されていた。肺呼吸をする海棲生物が卵を産む場合には、海亀やエラブウミヘビ科のウミヘビのように陸に上がらなければならず、そうでなければ海面で幼体を産む必要がある。マグロのように高速遊泳に適した体つきをしており、また現生のクジラのように、深海にも潜った(藻谷亮介, 2000による)と推測される。魚竜の最効率速度は毎秒1.5メートル(時速5 - 6キロメートル前後)(藻谷亮介, 2002による)と推定される。あくまで最効率速度であってこれは現生のマグロ類とほぼ同等である[1]

体重は、体長2.4メートルのステノプテリギウスがおよそ163 - 168キログラム、4.0メートルの Ophthalmosaurus icenicus の場合には930 - 950キログラムになったと推測されている(藻谷亮介による)。

魚竜は魚ではないが、魚に似ている。古生物学者のスティーヴン・ジェイ・グールドは、魚竜は平行進化を説明するのによい例だと述べている。この群においては、構造の類似は相似であり相同ではないからである。

実際、イクチオサウルスの最も初期の復元では硬い骨格の構造を持たない背びれの存在は見逃されて省略された。その後の1890年代にドイツホルツマーデンラーガーシュテッテから回収された非常に良好な保存状態の標本がひれの跡を明らかにした。

餌については、多くの魚竜がベレムナイトと呼ばれる頭足類に極度に依存していた。一部の初期のイクチオサウルスは甲殻類を砕くことに適応した歯をもっており、恐らく魚も常食にしたと考えられている。また、数少ない大きな種は頑丈な顎と歯を持っており、自らよりも小型の爬虫類を捕食していたことが示唆されている。魚竜は大きさがとても幅広く、また長く残存したために、餌の種類も幅広かったことが考えられる。典型的な魚竜は非常に目が大きく、強膜輪で保護されている。このため光の少ない夜間でも餌を探すことができたとされている。
発見の歴史イクチオサウルスの化石

魚竜の化石は、ウェールズから出た化石の断片を元に1699年に記載された。最初の化石化した脊椎は、1708年に2度公表され、世界的な洪水の明らかな証拠と言われた。初めての完全なイクチオサウルスの化石は、1811年メアリー・アニングによって現在ジュラシック海岸と呼ばれる場所に沿った英国南部の町、ライム・リージスで発見された。

1905年、アニー・アレグサンダーの出資により、カリフォルニア大学のジョン・C・メリアム率いる恐竜発掘遠征が、ネバダ州中部から25の標本を見つけた。その地域は三畳紀には浅い海だった。標本の一部は今、カリフォルニア大学古生物学博物館に収蔵されている。他の標本は岩に埋め込まれており、ネバダ州ナイ郡のベルリン・イクチオサウルス州公園で見ることができる。

1977年には三畳紀の魚竜であるショニサウルスがネバダの州の化石になった。17メートルにもなるショニサウルスの完全な骨格を所有しているのはネバダ州のみである。1992年にカナダの魚類学者エリザベス・ニコルス博士(ロイヤル・ティレル博物館の海洋爬虫類の学芸員)は、史上最大(長さ23メートル)の化石標本を発見した。
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2016年6月)
日本で発見された魚竜ウタツサウルスの化石。宮城県歌津町(現在の南三陸町)出土。国立科学博物館の展示。
三畳紀

最も初期の魚竜は、カナダ中国日本およびノルウェースピッツベルゲン島の、初期および初中期(オレニョク期とアニス期)の三畳紀層から産出する。これらの原始的形式はチャオフサウルス、グリッピアおよびウタツサウルスを含んでいた。これらの非常に初期の原魚竜は、現在では魚竜目ではなく魚竜形類(Ichthyopterygia)に分類されるが(藻谷 1997, 藻谷 et al. 1998)、これらは三畳紀初期の終わりから三畳紀中期の始まり頃には、真の意味での魚竜へと急速に進化した。また初期の魚竜形類の出現は、三畳紀初期の海中が既に大型捕食者を支えられる程に丈夫だったことを示唆している[2][3]。そうした生態系に支えられた結果、タラットアルコンのように頂点捕食者のニッチへ収まるものもいた[3]


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