魔王ダンテ
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『魔王ダンテ』(まおうダンテ)は、永井豪漫画作品。
概要

1971年に『週刊ぼくらマガジン』連載。同誌の休刊により連載は打ち切られ未完となるが、その悪魔の立場を逆転させた視点は、後年の永井の代表作『デビルマン』に発展した。

1994年には風我明作画による『真・魔王ダンテ』(『ぼくらマガジン』版のリメイク漫画)刊行。また、原作版『デビルマンレディー』にも魔王ダンテが登場する。

2002年には『月刊マガジンZ』に永井自身による同題のリメイク作品の連載を開始し完結を迎えている。同年にはそれを基にした全13話のアニメ『魔王ダンテ』がAT-Xで放送された。
あらすじ
ぼくらマガジン版

高校生・宇津木涼は登山中、氷に閉じ込められていた巨大な悪魔・魔王ダンテを復活させるが、その餌食とされる。しかしそれに対する涼の怒りは凄まじく、逆にダンテの体を乗っ取ってしまう。平凡な生活に戻り、自身の存在に悩む涼だが、現代社会に隠れ住む悪魔を虐げる、神の教えを守る者たちへ疑問を持つようになる。

そして悪魔メドッサによって、悪魔と呼ばれるものたちの事実を知らされる。超古代恐竜の生息する地球で平和に繁栄していた先住人類の街ソドム(ソドムとゴモラに由来)に、宇宙から「神」と名乗る不定形エネルギー生命体が飛来、自分たちの入れ物としての人間の肉体を要求した。そしてそれを断った先住人類に対し、「神」はその分身である牛頭馬頭などに人間の五体をバラバラにして生かす等活地獄など、あらゆる地獄を発生させて人類を殺戮する。それに対抗した科学者・ダンテは自分が発明した飛行兵器で神に挑もうとするが、「神」の分身、そして偶然居合わせた翼竜ティラノサウルスに襲われ、死にかかるが「神」を倒すまでは死ねないという怒りが、兵器、「神」、翼竜・ティラノサウルスなどと合体し巨大な悪魔「ダンテ」が誕生する。そして同様の合体現象が次々と起こり、悪魔が続々と誕生。神は方法を変え、ゴモラを洪水で滅ぼし、世界各地に棲息していた類人猿に分散寄生し、彼らを現在の人類として進化させ、「神」の敵として「悪魔」を殺し続けてきたのだ。

しかし現代、既に神はその記憶と共に力の大部分を失い、悪魔のほうが優勢となっていた。記憶を取り戻したダンテ=涼のもとに、続々と生き残っていた悪魔たちが集結してくる。自分たちの敵である「神」=人類を滅ぼす時機が来たのだ。ダンテは世界中の悪魔に向かって叫んだ。

「来い、魔王ダンテと共に!!」。(未完)
真・魔王ダンテ

ぼくらマガジン版をベースに風我明が作画を担当したリメイク作品。リイド社の「コミック恐怖の館DX」にて連載された。

独自の設定として、過去の時代設定が「6500万年前」となっており、ソドム人やゴモラ人が「外宇宙からの移民者」とされた。掲載誌からかBL的なキャラクター相関図も描かれたが、後のマガジンZ版より前に発表されてハッピーエンドで完結している。
デビルマンレディー版

地獄のコキュートスに凍っていたデビルマン世界での魔王ゼノンは顔の一部が地上にビーストとして分離活動していた。そのビースト軍団に誘惑された宇津木涼は地獄門を通り地獄で魔王ゼノンの肉体と合体、魔王ダンテとして地上に出現。当初はゼノンの意識を抑え込んで自我を保っていたダンテだが、最終的にはゼノンの意識の中に溶け込む。その後分離していたビーストと合体し魔王ゼノンとして復活する。
月刊マガジンZ版

ぼくらマガジン版をベースにして、サタンなど、後に悪魔となるダンテの友人たちのキャラクターが増えたほか、ダンテの妹が登場。転生後も涼の妹となり、神の側についた彼女との宿命的戦いがテーマとなる。最終決戦にいたり完結し、ハッピーエンドともバッドエンドとも取れる終わり方になっている。
登場人物

ここでは、「ぼくらマガジン」に連載された作品を「昭和版」、「月刊マガジンZ」に連載された作品を「平成版」、AT-Xにて放送された作品を「アニメ版」、「コミック恐怖の館DX」にて連載された作品を「真・版」、『デビルマンレディー』エピソードは「レディー版」と称する

上記の4作のうち、2つ以上に登場した人物は、「共通の登場人物」として扱う。

作中で名前が登場しなかった人物は、『永井豪ワールド 悪魔事典』(
1991年バンダイ)に準拠する。

共通の登場人物
共通の主要人物
宇津木涼(魔王ダンテ)
千葉進歩(昭和版)山岳部に属する普通の高校生。「ヒマラヤで怪獣と遭遇する夢」や「悪魔が原始人を虐殺する夢」、「自分の身体が巨大化する夢」に悩まされてきた。日本アルプスへ登山した折、魔王ダンテ(イスカリオテのユダ)に呼び寄せられ、無意識のうちにヒマラヤ山脈にテレポートする。それから催眠術で魔王ダンテに操られ、封印を司る機械を破壊し、魔王を復活させてしまう。その後は用済みとして喰われてしまうが、その精神力を持ってユダの人格を上回り、魔王ダンテの肉体を逆に自分のものとする。それ故に人間社会の敵となってしまった自分の存在に悩み続ける。実は、彼こそが「真の魔王ダンテ」である。もとは紀元前100万年前の地球首都ソドムに住む青年科学者で、神の襲来を受けて、己が開発した戦闘機と恐竜および翼竜と合体し、悪魔となって戦い続けてきた。しかし、2000年前に戦いに敗れ、身体をユダに預けると魂だけの状態になり、未来へとわたり一人の人間として転生した。(平成版)古代の地球に繁栄した国「ソドム」の天才科学者ダンテの生まれ変わり。


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