魔術において使われる図形の「魔法陣」とは異なります。
魔方陣(まほうじん、英語: magic square)とは、n × n 個の正方形の方陣に数字を配置し、縦・横・対角線のいずれの列についても、その列の数字の合計が同じになるもののことである。特に1から方陣のマスの総数 n2 までの数字を1つずつ過不足なく使ったものを言う。
このときの一列の和は、 1 n ∑ i = 1 n 2 i = n ( n 2 + 1 ) 2 {\displaystyle {\frac {1}{n}}\sum _{i=1}^{n^{2}}i={\frac {n(n^{2}+1)}{2}}}
と計算できる。
魔方陣の歴史は古く、中国では紀元前190年前には存在していた。魔法や神話的な意味を獲得し、芸術作品の象徴として様々な場所で用いられてきた。現代では縦・横・対角線以外の形状の和や、数字の積などの単なる和以外の演算などにも一般化されている。 1×1の魔方陣は明らかである。 [ 1 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}1\\\end{bmatrix}}} 2×2の魔方陣は同じ数字を使用しない限り存在しない。 <証明> [ a d b c ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}a&d\\b&c\\\end{bmatrix}}} a + b = a + c = a + d {\displaystyle a+b=a+c=a+d} ゆえに b = c = d {\displaystyle b=c=d} したがって3×3のものが意味のあると思われる最小の魔方陣になる。 3×3の魔方陣(三方陣)は、対称形を除けば下記の形しか存在しない。各列の合計は15になる。 [ 8 1 6 3 5 7 4 9 2 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}8&1&6\\3&5&7\\4&9&2\\\end{bmatrix}}} 三方陣の暗記法として、 などが知られている。 九星などで用いられる「河図洛書」(洛書)の図は次のとおりであり、上の図の対称形になっている。九数図:朱熹『周易本義』で洛書とされた 九星図の配置4→ また西洋数秘術のサトゥルヌス魔方陣(土星魔方陣)は次の図のとおりである。 サトゥルヌス魔方陣618 4×4の魔方陣は全部で880通り存在する[2]。4×4の魔方陣では、1行と4行を交換し、さらに1列と4列を交換すると別の4×4の魔方陣ができる[2]。同様にして、2行と3行、2列と3列を交換するとまた別の4×4の魔方陣ができる[2][3]。1行と2行、3行と4行、1列と2列、3列と4列を交換すると外枠の四角と内枠の四角が交換された別の4×4の魔方陣ができる[2]。右の図は、アルブレヒト・デューラーが描いたメランコリアIの中にある魔方陣を拡大したものである。 一例を示す。 [ 1 2 15 16 13 14 3 4 12 7 10 5 8 11 6 9 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}1&2&15&16\\13&14&3&4\\12&7&10&5\\8&11&6&9\\\end{bmatrix}}} 4×4の魔方陣から別の4×4の魔方陣を作る方法1行と4行を交換、1列と4列を交換する方法 最初の魔方陣121516 1行と4行を入れ替えた魔方陣81169 1列と4列を入れ替えた魔方陣91168 最初の魔方陣121516 2行と3行を入れ替えた魔方陣121516 2列と3列を入れ替えた魔方陣115216 最初の魔方陣121516 1行と2行、3行と4行を入れ替えた魔方陣131434 1列と2列、3列と4列を入れ替えた魔方陣141343 1970年代から2億7530万5224通り(対称形などをのぞく)存在することが知られている[4][5]。 一例を示す。 [ 11 24 7 20 3 4 12 25 8 16 17 5 13 21 9 10 18 1 14 22 23 6 19 2 15 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}11&24&7&20&3\\4&12&25&8&16\\17&5&13&21&9\\10&18&1&14&22\\23&6&19&2&15\end{bmatrix}}} 6×6の魔方陣は、一般的な作り方は知られていないため、いろいろな人物が独自の方陣を発表している[注釈 1]。一例として久留島喜内による魔方陣をあげる。 [ 1 2 3 34 35 36 31 32 15 4 23 6 30 29 28 9 8 7 12 11 10 27 26 25 24 20 22 21 5 19 13 17 33 16 14 18 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}1&2&3&34&35&36\\31&32&15&4&23&6\\30&29&28&9&8&7\\12&11&10&27&26&25\\24&20&22&21&5&19\\13&17&33&16&14&18\end{bmatrix}}}
魔方陣の例
3×3の魔方陣
「憎し(294)と思えば、七五三(753)、六一坊主に蜂(618)が刺す」
「憎し(294)と思えば、七五三(753)、六一八(618)はみな同じ」
「フクシ(294)マの、七五三(753)は、ロイヤ(618)ルホテルで」
59←
72
↑11↑43↓5
3→
25→
27
↓53↑41↑1
8←
71→
56
753
294
4×4の魔方陣「サグラダ・ファミリアの魔方陣」も参照メランコリアIの中の魔方陣[1]
131434
127105
81169
⇒
131434
127105
121516
⇒
414313
571012
162151
2行と3行、2列と3列を交換する方法
131434
127105
81169
⇒
127105
131434
81169
⇒
121075
133144
86119
1行と2行、3行と4行、1列と2列、3列と4列を交換する方法
131434
127105
81169
⇒
121516
81169
127105
⇒
211615
11896
712510
5×5の魔方陣
6×6の魔方陣
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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