鬼畜
作者松本清張
国 日本
言語日本語
ジャンル短編小説
発表形態雑誌掲載
初出情報
初出『別册文藝春秋』 1957年4月号
出版元文藝春秋
刊本情報
刊行『詐者の舟板』
出版元筑摩書房
出版年月日1957年12月15日
装幀勝呂忠
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示
『鬼畜』(きちく)は、松本清張の短編小説。『別册文藝春秋』1957年4月号に掲載され、1957年12月に短編集『詐者の舟板』収録の1作として、筑摩書房から刊行された。
1978年に松竹で映画化され、2002年に日本テレビ系列・2017年にもテレビ朝日系列でテレビドラマ化された。 東京から急行列車で3時間を要するある地方で、32歳の竹中宗吉は、ようやく、印刷屋の主になるところまで漕ぎつけた。狐のような顔をした妻・お梅との間に、子供はなかった。商売の順調な宗吉は、ある時、料理屋の女中・菊代に惹かれる。何とか菊代を養えそうな気がした宗吉は、彼女と関係を持った。好きな女を囲う身分になれたという充足は出世感に近かった。菊代との間には、3人の子供ができた。しかしその後、近代的な印刷会社の進出や火事により、宗吉の商売は零落する。宗吉から生活費の貰えなくなった菊代が、3人の子を連れて、宗吉の家に乗り込んだため、お梅にも事態が露見する。お梅の仕打ちと女房の前に竦んだ宗吉の腑抜けぶりに、菊代は怒り、出て行ってしまう。 3人の子供が残されるが、女房の睨む中、弟は病死、妹は行方不明[1]になり、兄も命を狙われる。 本作は実話に基づいたフィクションである。検事の河井信太郎から聞いた話がベースになっており、著者による話のメモが残されている。 実際の事件は、骨董屋の男が妾に3人の子を産ませていたが、商売不振で仕送りができず、妾が子を連れて男の家に来るところから始まる。その後、本妻に子を片付けろと責められ、殺害および殺害未遂を経て、松崎町で逮捕された。男は在獄中に発狂死し、本妻は在監中であったという[2]。 鬼畜 1978年10月7日公開。製作・配給は松竹。監督は野村芳太郎。主演は岩下志麻、緒形拳。英語題名『The Demon』。DVD及びBDがリリースされている。同時上映はリバイバル公開の『砂の器』。 舞台は埼玉県・川越市。印刷屋を営む宗吉(緒形拳)は、妻・お梅(岩下志麻)に隠れ、料理屋の女中・菊代(小川真由美)を妾として囲い、7年の間に3人の子供を産ませていた。しかし宗吉の印刷屋は火事で設備の大半を失い、再建しようにも得意先の大半を大手の印刷会社に奪われ、融資の都合もつかず火の車。菊代に月々の生活費も渡せなくなっていた。生活に窮し業を煮やした菊代は3人の子を連れ、印刷屋に乗り込んできた。 愛人と隠し子の存在を知ったお梅は激怒し、子供たちの前で菊代と宗吉を攻め立てる。そして翌朝、菊代は印刷屋に子供たちを置き去りにして姿を消した。父として、なんとか子供たちを家に置いてやりたいと思う宗吉だったが、はなから「他人様の子供」など育てる気の無いお梅は、子供たちに鬼のようにつらく当たるのだった。まさに虐待そのものだったが、気弱な宗吉は子供たちに「おばちゃんの傍に行ったらだめだぞ」といい含めるのみだった。 ついに末子である次男・庄二が、お梅による育児放棄の末、衰弱死する。お梅は残りの子供も処分することを宗吉にせまり、宗吉は長女・良子を東京タワーに連れて行き、置き去りにする。さらに長男・利一をも毒殺しようとするものの果たせず、2人で涙に暮れる。 それでもお梅は譲らず、宗吉は息子を連れ、東海道新幹線に乗った。それは利一の死に場所を探すための、あてのない旅だった。やがて能登半島にたどり着き、日本海を臨む岸壁で、宗吉は利一を海に落す。利一は、漁師に助けられ命をとり止めたが、刑事達に事情を聞かれても、黙秘を貫くのだった。しかし利一の持っていた、石版印刷に使う石材のかけら(利一はこれを石蹴り遊びに使っていた)から足が付き、川越の印刷所に能登の警察が来訪。宗吉は殺人未遂の容疑で警察に逮捕される。 刑事に付き添われ、宗吉は北陸の警察を訪れる。自身を崖から突き落とした父を目のあたりにして、利一は涙を堪えながら「父ちゃんなんかじゃないやい!」「知らないおじさんだよ!」と否定する。そんな利一にすがりつき、宗吉は後悔と罪悪感で号泣するのだった。
あらすじ
概要
映画.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}が望まれています。
The Demon
監督野村芳太郎
脚本井手雅人
原作松本清張
製作野村芳太郎
野村芳樹
出演者岩下志麻
緒形拳
音楽芥川也寸志
撮影川又昂
編集太田和夫
配給松竹
公開 1978年10月7日
上映時間110分
製作国 日本
言語日本語
配給収入4.9億円[3]
テンプレートを表示
キャッチコピー
弟は、きっと星になったんだ
妹は、きっとお金持ちに拾われたんだ
でも僕だけは、父ちゃんから離れない
父ちゃんはきっとぼくを殺せないよ
抱きしめてやりたい!この感動
この悲しみに言葉はいらない!
清張・野村が現代社会に追う父と子の愛の絆
ストーリー
出演
お梅(宗吉の妻):岩下志麻
竹中宗吉:緒形拳
利一(菊代の長男):岩瀬浩規
良子(菊代の長女):吉沢美幸
庄二(菊代の次男):石井旬
阿久津(印刷工):蟹江敬三
水口:穂積隆信
貸付けの銀行員:大滝秀治
松山洋紙店店員:松井範雄
町医師:加藤嘉
パトカーの警官:田中邦衛
アパートの管理人:江角英明
主婦:檜よしえ
新幹線の車掌:三谷昇
婦警(能登南警察署):大竹しのぶ
能登の役所の福祉係:浜村純
捜査係長(能登南警察署):山本勝
捜査課長(能登南警察署):梅野泰靖
刑事(能登南警察署):鈴木瑞穂
刑事(能登南警察署):加島潤
刑事(能登南警察署):渡辺紀行