『髪結い伊三次捕物余話』(かみゆいいさじとりものよわ)は、宇江佐真理による時代小説のシリーズ。シリーズ第1作「幻の声」は、1997年にオール讀物新人賞を受賞した作者のデビュー作で、同作を表題作とする『幻の声』は第117回直木三十五賞候補となった。
作者の死去により第16作『擬宝珠のある橋』を最後にシリーズ未完となる。目次 オール讀物新人賞を受賞したデビュー作「幻の声」から続くシリーズで、2014年10月現在、14冊が刊行されている。連作短編仕立てとなっており、1冊に5 - 6編が収録されている(第14作『月は誰のもの』はシリーズ初の長編)。1999年には「髪結い伊三次」のタイトルで中村橋之助主演でテレビドラマ化されたほか、NHKラジオ第1放送「新日曜名作座」でオーディオドラマ化されている。 主人公は髪結い床(店舗)を持たない廻り髪結いの町人・伊三次(いさじ)で、北町奉行所同心・不破友之進(ふわ とものしん)の小者としての裏の顔を持つ。芸者の恋人・お文(おぶん)と所帯を持って髪結い床を持つ夢を叶えるため、仕事に励みながら、小者として様々な事件の解決の糸口を見つけていく。 宇江佐は、「(このシリーズは)編集者がもう要らぬと言わない限り、書かせていただくつもりである」「伊三次とともに現れた小説家なので、伊三次とともに自分の幕引きもしたいと考えている」と述べている[1]。 登場人物は、1冊ごとに1歳年を取る形を取っていたが、マンネリ打開のため、また伊三次シリーズの最終回を書いてから死にたいという宇江佐の強い思いから、シリーズ第9作『今日を刻む時計』で一気に10年を経過させた[2]。第1作『幻の声』で25歳だった伊三次は、お文と所帯を持ち、子どもをもうけ、物語の中心も次第に子どもたちに移っていき、『今日を刻む時計』では42歳となった。 #タイトル単行本書誌情報
1 概要
2 シリーズ一覧
3 登場人物
3.1 主要人物
3.2 伊三次・お文の関係者
3.3 不破家
3.4 同心、与力、岡っ引き
3.5 龍之進の朋輩
3.6 その他
3.7 松前藩
4 テレビドラマ
5 オーディオドラマ
5.1 放送日程
5.2 スタッフ
6 脚注・出典
7 外部リンク
概要
シリーズ一覧
(文藝春秋)文庫本書誌情報
(文春文庫)文庫巻末解説収録作(初出)
(特記のない限り『オール讀物』)
1幻の声1997年4月
ISBN 4-16-316870-22000年4月7日
ISBN 4-16-764001-5常盤新平
幻の声(1995年5月号)
暁の雲(1995年10月号)
赤い闇(『別冊文藝春秋』216号)
備後表(『別冊文藝春秋』219号)
星の降る夜(書き下ろし)
2紫紺のつばめ1999年2月
ISBN 4-16-318320-52002年1月10日
ISBN 4-16-764002-3中村橋之助
紫紺のつばめ(1997年10月号)
ひで(1998年1月号)
菜の花の戦(ひさ)ぐ岸辺(1998年3月号)
鳥瞰図(1998年6月号)
摩利支天横丁の月(1998年10月号)
3さらば深川2000年7月
ISBN 4-16-319340-52003年4月10日
ISBN 4-16-764003-1山本一力
因果堀(1999年2月号)
ただ遠い空(1999年5月号)
竹とんぼ、ひらりと飛べ(書き下ろし)
護持院ヶ原(『別冊文藝春秋』229号〈1999年秋号〉)
さらば深川(1999年12月号)
4さんだらぼっち2002年1月
ISBN 4-16-320660-42005年2月10日
ISBN 4-16-764005-8梓澤要
鬼の通る道(2000年6月号)
爪紅(2000年9月号)
さんだらぼっち(2000年12月号)
ほがらほがらと照る陽射し(2001年3月号)
時雨てよ(2001年6月号)
5黒く塗れ2003年9月
ISBN 4-16-322160-32006年9月5日
ISBN 4-16-764006-6竹添敦子
蓮華往生(2001年9月号)
畏れ入谷の(2002年3月号)
夢おぼろ(2002年6月号)
月に霞はどでごんす(2002年9月号)
黒く塗れ(2002年12月号)
慈雨(2003年3月号)
6君を乗せる舟2005年3月
ISBN 4-16-323790-92008年1月10日
ISBN 978-4-16-764008-8諸田玲子
妖刀(2003年9月号)
小春日和(2003年12月号)
八丁堀純情派(2004年3月号)
おんころころ……(2004年6月号)
その道 行き止まり(2004年9月号)
君を乗せる舟(2004年12月号)
7雨を見たか2006年11月30日
ISBN 4-16-325500-12009年8月4日
ISBN 978-4-16-764010-1末國善己
薄氷(うすらひ)(2005年3月号)
惜春鳥(2005年6月号)
おれの話を聞け(2005年9月号)
のうぜんかずらの花咲けば(2006年1月号)
本日の生き方(2006年4月号)
雨を見たか(2006年7月号)
8我、言挙げす2008年7月14日
ISBN 978-4-16-327220-72011年3月10日
ISBN 978-4-16-764014-9島内景二
粉雪(2007年1月号)
委細かまわず(2007年4月号)
明烏(あけがらす)(2007年7月号)
黒い振袖(2007年10月号)
雨後の月(2008年1月号)
我、言挙げす(2008年4月号)
9今日を刻む時計2010年7月15日
ISBN 978-4-16-329330-12013年1月4日
ISBN 978-4-16-764016-3
今日を刻む時計(2008年12月号)
秋雨の余韻(2009年4月号)
過去という名のみぞれ雪(2009年7月号)
春に候(2009年10月号)
てけてけ(2010年1月号)
我らが胸の鼓動(2010年3月号)
10心に吹く風2011年7月29日
ISBN 978-4-16-380670-92014年1月4日
ISBN 978-4-16-790001-4
気をつけてお帰り(2010年5月号)
雁が渡る(2010年7月号)
あだ心(2010年9月号)
かそけき月明かり(2010年11月号)
凍て蝶(2011年1月号)
心に吹く風(2011年3月号)
11明日のことは知らず2012年8月9日
ISBN 978-4-16-381580-02015年1月10日
ISBN 978-4-16-790272-8
あやめ供養(2011年6月号)
赤い花(2011年8月号)
赤のまんまに魚(とと)そえて(2011年10月号)
明日のことは知らず(2011年12月号)
やぶ柑子(2012年2月号)
ヘイサラバサラ(2012年4月号)
12名もなき日々を2013年11月15日
ISBN 978-4-16-382800-82016年1月10日
ISBN 978-4-16-790543-9
俯かず(2012年6月号)
あの子、捜して(2012年8月号)
手妻師(2012年10月号)
名もなき日々を(2012年12月号)
三省院様御手留(2013年2月号)