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高等批評(こうとうひひょう、英語:historical criticism、higher criticism)は、文学分析の一分野で、文書の起源の批判的調査である。近代聖書学によって使われた手法で、聖書を対象とする。上層批判または高等批判ともいう[1]。
概要文書仮説の概念図
西洋古典学において新興の高等批評は、聖書、古典、ビザンティン、中世の時代の、誰によって、いつ、どこで書かれたか決定しようとした。高等批評は、共観福音書の問題、すなわち「マタイによる福音書」「マルコによる福音書」「ルカによる福音書」を調べる。高等批評は、いくつかのパウロ書簡がパウロによって書かれたという伝統的な理解を認める一方、教会の伝統を否定し(福音書の場合、書題となっている記者たちの著作とは認めない)、さらに聖書のことば自体を否定する(第二ペテロがペテロによるものでないとする)。文書仮説は、モーセ五書の起源を説明しようと試みるもので、高等批評の鍵となる仮説である。 高等批評には様々な学説があるが、この節では代表的な説を例として記述する。 聖書キリスト教会の伝統的立場 聖書キリスト教会の伝統的立場
主な説
旧約聖書
高等批評学の立場
モーセ五書 (トーラー)モーセ。前1300年ごろ文書仮説では4つの独立文書からなるとされる。J、E、D、P(各略語については文書仮説の項を参照。以下同じ)をBC450年ごろにおそらくエズラが編集したとする。
ヨシュア記ヨシュア、一部はピネハスか エレアザルJとEを使ってDが書いた。
士師記サムエルD
ルツ記サムエル後のダビデ時代の著作者が書いた。
サムエル記上サムエル、神[疑問点 – ノート]、ナタンD
サムエル記下
列王記上預言者エズラD
列王記下
歴代誌上エズラバビロン捕囚後、前450-435年
歴代誌下
エズラ記エズラバビロン捕囚後、前450-435年
ネヘミヤ記ネヘミヤバビロン捕囚後、前450-435年
トビト記(プロテスタントでは外典)前2世紀
ユディト記祭司(プロテスタントでは外典)
エステル記クネセト・ハッ=ゲドーラーがモルデカイの文書を使用無名の著作者が前460-331年に書いた
マカバイ記1聖地の敬虔なユダヤ人(プロテスタントでは外典)無名のユダヤ人著作者。前100年
w:2 Maccabees
w:3 Maccabees(プロテスタントでは外典)アレクサンドリアのあるユダヤ人が前1世紀または後1世紀にギリシア語で書いた。
w:4 Maccabeesw:Josephus(プロテスタントでは外典)アレクサンドリアのあるユダヤ人が前1世紀または後1世紀にギリシア語で書いた。
ヨブ記モーセ前4世紀の著作者
詩篇おもに ダビデ前1000-200
箴言ソロモンら後の時代の編集文書
コヘレトの言葉ソロモンヘブライの詩人が前3-2世紀に書いた
雅歌ソロモン
知恵の書ソロモン(ただしプロテスタントでは外典)アレキサンドリアのユダヤ人
シラ書シラ(ただしプロテスタントでは外典)
イザヤ書イザヤ3人の主要な著作者「歴史的イザヤ」による創作文書
エレミヤ書エレミヤw:Baruch ben Neriah
哀歌エレミヤw:Lament for Ur
エレミヤの手紙エレミヤ(プロテスタントでは外典)アレキサンドリアのあるヘレニズム ユダヤ人
バルク書w:Baruch ben Neriah(プロテスタントでは外典)マカバイ戦争時かその後に書かれた
エゼキエル書エゼキエルエゼキエルがどの程度書いたか議論している
ダニエル書ダニエル、前6世紀民話を使って前2世紀ごろ創作された
ホセア書ホセア
ヨエル書ヨエル
アモス書アモス
オバデヤ書オバデヤ
ヨナ書ヨナバビロン捕囚、前530年以降
ミカ書ミカ3章はミカが書き、残りは後の時代に著作者が付け足した
ナホム書ナホム
ハバクク書ハバクク
ゼファニヤ書(ゼパニヤ書)ゼファニヤ議論あり。後の時代の著作者
ハガイ書ハガイ
ゼカリヤ書ゼカリヤ1-8章はゼカリヤが書き、弟子たちが残りを付け足した
マラキ書マラキかエズラ第二ゼカリヤという名前の著作者
新約聖書
高等批評の立場
マルコによる福音書福音記者マルコ、ペテロの弟子、1世紀半ば無名の著作者、最初の福音書
マタイによる福音書使徒、福音記者マタイ無名の著作者が、マルコとQ資料から創作した
ルカによる福音書ルカ、パウロと交わりがあった。無名の著作者かルカが、マルコとQ資料から創作した
ヨハネによる福音書使徒ヨハネで福音記者ヨハネ無名の著作者の創作した最後の福音書で史的イエスを反映していない。