高潮
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この項目では、高潮(たかしお)について説明しています。高潮(こうちょう)については「潮汐」をご覧ください。
高潮の図解。平均海面 (Mean sea level) に上乗せして、通常の満潮 (Normal high tide) 60 cmと、気象潮 (Storm tide) 520 cm(吹き寄せ効果 (Surge) 455 cm 含む)とが重なり、最大潮位 5.8 m の高潮が家に押し寄せている。

高潮(たかしお)は、台風や発達した低気圧が海岸部を通過する際に生じる海面の高まりを言う。地震によって発生する「津波」とは異なる。ただし、かつては高潮のことを「風津波」や 「暴風津波」、「気象津波」などと呼んだこともあったが、現在は「高潮」と呼ばれ,前述の3語はほぼ死語となっている[1]
概要

高潮の原因は主として、気圧の低下による海面の上昇と、向岸風による海水の吹き寄せである。これらを「気象潮」と呼び、「天文潮」すなわち潮汐の満潮が重なるといっそう潮位が高くなる。これらの効果はのように遠浅の海が陸地に入り込んでいる地形で最も顕著に現れるので、日本では東京湾伊勢湾大阪湾有明海などで、時に数千人の死者・行方不明者を出す大きな高潮災害が過去に繰り返されている[2]。これらの湾では、湾内の海水の固有振動が潮位を更に上げているとの説もある。

米国南部のメキシコ湾沿岸や、ベンガル湾に面したインドバングラデシュでは、日本よりはるかに大規模な遠浅の海が広がっているため、勢力の弱いハリケーンサイクロンによっても大規模な高潮が起こりうる。ベンガル湾奥部では中心気圧約960ヘクトパスカル のサイクロンによって最大潮位[注釈 1]7 - 9メートル、メキシコ湾奥部では2005年のハリケーン・カトリーナによって最大潮位約6メートルを観測している。

高波はの振幅が大きいことをいい、津波地震火山隕石の落下なども含む気象以外の活動が原因なので、定義上、高潮とは異なる。あくまで要因による定義の違いであり、波の性質で区別しているわけではない。台風による激しい高波でも津波ではなく高潮であり、台風による高潮であるからといって津波のような被害が出ないというわけではない。高潮は storm surge と呼ばれるのに対し、津波は Tsunami ないし earthquake surge と呼ばれ区別されるようになってきている。ただし珊瑚礁のある海岸等では台風による高潮によって波群津波が発生することもある。
高潮のメカニズム高潮のメカニズムを示した図

主な原因は、海面気圧の変化である。そもそも海面の高さ(標高)は、気圧と海水の水圧の均衡がとれた状態の水位である。1気圧(約1013ヘクトパスカル)において海抜は0メートルであり、これよりも気圧が下がると水圧が海面を押し上げる。

1ヘクトパスカル下がる毎に海面は約1センチメートル上昇する。例えば台風など熱帯性低気圧の下で気圧980ヘクトパスカルの場合、33ヘクトパスカル低いので約30から33センチメートル程度の上昇が見られる[3]
潮汐との関係

太陽引力による潮汐(天体潮・天文潮)は、高潮つまり気象潮とは独立した別の現象であるが、同時に発生すると海面がさらに高くなって被害が増大する。

低気圧・台風の中心部の接近時間と満潮の時間帯が重なると、両者を合計した分ほど海面が上昇する。一方、干潮時には両者が相殺されて相対的に低くなる。また、大潮など時期的に潮位が高いときには、さらに海面が高くなる。

通常時において外海よりも干満差が大きい内湾では、特に大きな潮位変動が起こる。
吹き寄せ効果

また、台風や発達した低気圧の下で暴風が吹き荒れる天候下で、湾などの入り組んだ地形の湾口から湾奥部へと暴風が吹きこむと、海水が吹き寄せられて湾奥部で海水面がかさ増しされる。また、風波に伴う平均的質量輸送も海岸の水位を上昇させる。

V字型の湾の場合、奥になるほど波が高くなる。また、湾の中でも水深が低い遠浅の湾の方が吹き寄せ効果は高くなる。高潮が陸地に押し寄せる方角と台風の風向きが同じ場合は、高潮の流速が暴風によって加速され、破壊力を増す。豪雨により、陸地部分が浸水を起こすと、高潮の波高をさらに上昇させる要因にもなる。
雨による海水面上昇


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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