高機動車
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高機動車
基礎データ
全長4.91m
全幅2.15m
全高2.24m
重量2.64t
乗員数10名[注 1]
装甲・武装
備考諸元は生産時期により若干異なる[1]
軸距:3.395m
輪距:前1.795m 後1.775m
登坂能力:60%
旋回半径:5.6m
燃料搭載量:108L
変速機:ロックアップ機構付4速AT[注 2]
機動力
速度125km/h[注 3]
エンジン水冷直列4気筒OHV4バルブターボディーゼル インタークーラー付き
170ps/3,000rpm
行動距離443km
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高機動車(こうきどうしゃ)は、陸上自衛隊が装備している人員輸送用車両である。また、同車をベースとした様々な派生車両が存在する。

防衛省は略称をHMV(ハイ・モビリティ・ビークル)、広報活動用として愛称を「疾風(はやて)」としているが、部隊内では「高機(コウキ)」とも呼ばれている。アメリカ軍ハンヴィーを捩り「ジャンビー」や「ジャパニーズハマー」と呼ばれた時期もある[注 4]
概要

1990年代初頭に陸上自衛隊に採用された人員輸送用自動車。開発・納入はトヨタ自動車、製造は日野自動車が担当している。

自衛隊専用で市販はされていないが、劇用車として民間企業が所有している車両は存在する[2]。また、本車両をベースとした民生用バージョンのメガクルーザー(BXD20V)が市販され、JAF、通信会社、地方公共団体(消防隊、救急隊)などが主に災害対策車として保有している。陸自が開発に加わっていること、陸自内部での使用要望が多いこと、陸自ほどの過酷な使用は想定されないことから、航空自衛隊海上自衛隊では高機動車ではなく民間用メガクルーザーをベースにした車両を装備している。

メーカーが制定した型式は15B型エンジン車がBXD10(1 1/2tトラックとしてはBXD30)、N04C型エンジン車がXCD10(1 1/2tトラックとしてはXCD30)。

現在では配備が進み、ほとんどの普通科部隊に配備されている。価格は一両あたり約770万円[注 5]で、基本型と派生型を含めてこれまでの製造台数は累計3,000両を超え、現在も調達が続いている。

普通科部隊の小銃小隊1個班(10名)の輸送や、火砲、トレーラーなどの牽引にも使用される。本車輌をベースとした派生型も多数存在している。

2000年以降ETC普及に伴い演習場へ移動する際に高速道路を使用する事の多い九州本州の部隊から随時ETC機器類の取り付けが行われた[注 6]

自衛隊車両の比較図1/2tトラック1 1/2tトラック3 1/2tトラック高機動車軽装甲機動車96式装輪装甲車輸送防護車
画像
全長4.14 m5.49 m7.15 m4.91 m4.4 m6.84 m7.18 m
全幅1.76 m2.22 m2.48 m2.15 m2.04 m2.48 m2.48 m
全高1.97 m2.56 m3.08 m2.24 m1.85 m1.85 m2.65 m
重量約 1.94 t約 3.04 t約 8.57 t約 2.64 t約 4.5 t約 14.5 t約 14.5 t
最高速度135 km/h115 km/h105 km/h125 km/h100 km/h100 km/h100 km/h
乗員数6名19名22名10名4名10名10名



開発

1993年から各試験のデータ収集用として装備実験隊に十数両、普通科教導連隊に3個中隊分(連隊本部使用分を含め計30両程度)及び第1空挺団普通科群の各中隊で運用分が実験的に配備された。翌年の1994年には部隊での運用実験を兼ねて当時最も訓練が厳しく装備品の部隊実験がさかんに行われていた第2師団の各部隊に配備が開始。第9普通科連隊に数両[注 7]の他、第3普通科連隊本部管理中隊に2両、対戦車中隊に1両、第25普通科連隊(車番は06-0118まで)の各中隊に9両ずつ配備され、第26普通科連隊(車番は06-0157まで)にも各中隊9両ずつ配備が行われた。

なお、重迫牽引車に限っては、120mm迫撃砲 RTとの同時納付である観点から当初は必要数の半分を各連隊の重迫中隊へ納入し、事後製造と納入が軌道に乗ってからは残りの必要数が各部隊へ納入されている。

1994年に第2師団への部隊実験配備が完了後は1995年春に第1師団第1普通科連隊へ納入が開始され、以降は本州の普通科連隊を中心に全国の部隊に配備が開始された。

2010年春をもって全国の普通科連隊への配備が完了し、事後は車両損耗更新用に逐次入れ替え用として納入の他に特科部隊や施設科部隊・通信科部隊へ必要数が納入されている。

現在は初期型・中期製造型の一部が耐用年数の規定[注 8]到達による廃車となり、現在普通科連隊に配備されている高機動車は2014年の段階で3000番台が納入されている[注 9]
特徴
基本構造側面
直線状のフレームと、ドライブトレインの様子が分かる初期型の高機動車と初期に導入された高機動車用トレーラーの組み合わせ牽引状態の確認と車番から第2師団部隊に初期型が配置されている事が確認できる。

人員運搬や物資運搬など多用途に利用可能な、マイクロバスとトラック両方の性格を併せ持つ車両。災害派遣など、一般道路を使用する際は、73式小型トラック73式中型トラックなどと共に使用される。

非装甲車両(ソフトスキン)として設計されており、ボンネットはFRP製で、防弾構造になっていないが、一般的な積層方法で製造されるメガクルーザーに対し、高機動車では真空成型となっている。ラジエーターも一般の自動車同様、垂直に置かれている。

一部車両は運転席と助手席の間のスペースにエアコン装置を装着している[注 10]。初期生産型はシートのリクライニング機構が省かれていたが、後の改良でリクライニングシートとオプションでCDプレイヤー付きラジオが設定された。

固定武装は無いが、銃架ロールバーに取り付ける事で、普通科隊員が装備している5.56mm機関銃MINIMIを据え付けて射撃する事ができる。

現在生産されている73式中型トラックと本車のシャーシは、4WSの有無、ホイールベース、ばねレート以外は共通となっている。
エンジン

当初、ダイナ/トヨタ・トヨエースなどに使われていた総排気量4,104ccの直列4気筒直噴ディーゼルエンジンである15B型に、ターボインタークーラーを装備した15B-FT型(155馬力、排ガス記号KC相当の短期規制適合)を搭載していた。


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