高機動型ザクII
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高機動型ザクII(こうきどうがたザク・ツー、ZAKU II HIGH MOBILITY TYPE)は、「ガンダムシリーズ」のうち宇宙世紀を舞台とした作品に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。

アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国軍の量産型MSであるザクIIを宇宙戦用に特化した機体で、背部と脚部に増設された大型の推進器を特徴とする。黒い三連星ドムより以前に搭乗していたとされ、メディアミックス企画『モビルスーツバリエーション (MSV)』ではほかにもジョニー・ライデンシン・マツナガなど多くのエース・パイロットが乗機としたとされる。
設定の経緯

みのり書房刊のムックガンダムセンチュリー』(1981年9月)で、ザクのバリエーションの一つとして記載された文字設定が初出である。シャア専用ザク(S型)を上回る機動性をもつ、黒い三連星が使用したエースパイロット専用の機体とされた。"MS-06R" の型式番号で紹介され、この時点では固有名称はなかった。

その後、講談社刊の『SFプラモブック1 機動戦士ガンダム REAL TYPE CATALOGUE』(1982年4月)に大河原邦男によるデザインが掲載された(詳細は後述)。さらにホビージャパン社刊の『HOW TO BUILD GUNDAM 2』に掲載されたストリームベースによる情景模型作例が大反響を呼び、プラモデルを中心としたメディアミックス企画『MSV』でも第1弾(1983年4月)として商品化された。『MSV』では詳細な設定が創作されるとともに、黒い三連星以外にも本機を駆るアニメ本編には登場しないエースパイロットや発展機であるR-2型なども設定され、プラモデルもバリエーション機やスケール違いで(1/144、1/100、1/60、さらに1/30のバブルキャスト(発泡スチロール製)モデルも)多数商品化された。

それまでゲーム内での映像としての登場はあったが、アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(2015年4月)で初めて映像作品への登場を果たした。ただし、同作品は原作アニメおよび『MSV』などとは一部異なる独自の解釈がなされており、黒い三連星がルウム戦役で本機に搭乗していることなど、それまでの設定とは相違点がある(詳細は後述)。
デザイン

モデラー集団「ストリームベース」の小田雅弘は、『センチュリー』に記載されたMS-06R(以下R型)をどうにかして立体化させたいと考えていた。1981年秋にストリームベースが『HOW TO BUILD GUNDAM 2』の内容構成を依頼された際には、黒い三連星によるR型の活躍を真っ先に情景案として候補に挙げており、まだ形の定まっていないR型が連邦軍の艦艇を撃沈する企画検討用スケッチも描かれた[1]

そして、このR型のデザインを大河原邦男に発注が可能となる幸運な境遇に恵まれた[1]。小田のイメージでは、大推力のロケット・エンジンと分かる大型のランドセルと、リック・ドムに引けを取らない強靭で大型のフォルムが必要と考えたが、特徴的なビジュアルをラフスケッチに起こすことができず、大河原には「大ぶりのザク」といった程度のシルエットと文章説明でしか伝えられなかった[1]。また、R型と並行してMS-06G(以下G型、のちの陸戦高機動型ザク)のデザインも発注しており、こちらは小田によって詳細なラフスケッチが大河原のもとに送られた[1]。陸戦型であるがこちらも大柄で、脚部の装甲は装着されず[1]自動車のラジエーターのような凹凸やスリットなどの意匠が盛り込まれていた[2]

ところが大河原の完成原稿では、R型とG型のイメージがミックスされたデザインになってしまった。原稿ではR型とG型のどちらかであるかは明記されていなかったが、カラーリングは黒い三連星を彷彿させるものであったことから、必然的にこのデザインがR型のものとなった[1]

R-2型は『MSV』の企画の中で、リック・ドムとの競作エピソードを強調するため、シルエットが似たものになるよう[3]イラストレーターの増尾隆幸によって脚部にフレア・アーマーが追加された[4]
設定解説

ザクII F型 (MS-06F) をベースとして、ザクIIの陸戦能力をほぼ完全に廃し、宇宙空間用に特化された高機動型。背部・脚部以外は従来のザクIIとほぼ同じ形状だが、フレームやジェネレーターなどの内部構造は大幅な設計変更が加えられており、事実上別のMSとなっている。

大幅に向上した推力に比例して推進剤の消耗が激しく、稼働時間はS型以上に短くなっている。このため制御が難しい機体となってしまったが、それに見合う性能の高さから熟練のエースパイロットたちからの人気は高く、配備の希望が殺到した。

いくつかのバリエーション・タイプがあり、特にR-2型はザクII F型の後継機種となる次期主力機コンペティションでリック・ドムとその座を賭けて争い、さらにR-3S型は後のゲルググの直系の試作機に位置づけられる。バリエーションにRD-4型も含める見解もあるが、後述のように問題視する見方がある。R型の総生産機数は派生型を含めて78機とするのが定説だが、100機あまりとする説もある[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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