高校授業料無償化・就学支援金支給制度
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この項目では、日本の民社国連立政権の元で進められた政策について説明しています。
根拠となる日本法律については「高等学校等就学支援金の支給に関する法律」をご覧ください。

この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。Wikipedia:法律に関する免責事項もお読みください。

高校授業料無償化・就学支援金支給制度(こうこうじゅぎょうりょうむしょうか・しゅうがくしえんきんしきゅうせいど)は、日本の教育制度において公立高等学校などの授業料を無償化し、また私立高等学校などに就学支援金を支給して授業料を低減することを目的とした制度であり、日本で2010年度から実施されている。

根拠法令は、高等学校等就学支援金の支給に関する法律(旧称:公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律)であり、この法律の通称は高校無償化法(こうこうむしょうかほう)である。目次

1 概要

1.1 外国人学校の扱い

1.2 対象となる在学者

1.3 導入前後の比較


2 効果

3 国の負担

3.1 問題点


4 都道府県個別の対応・法案に対する提言など

4.1 私立高校の無償化・地方自治体の無駄削減による財源負担の提言

4.2 年限超過者への対応

4.3 その他


5 法案の設立までの経緯

6 脚注

7 関連項目

8 外部リンク

概要

高等学校中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部、専修学校高等課程、各種学校の高校相当課程の生徒、および高等専門学校の第1学年から第3学年に在学している学生の数に応じ、学校設置者に対し授業料の全部または一部相当額を支給する。支給額は、国公立高校の場合は授業料相当額、私立高校や高専などの場合は保護者の所得によって国公立高校授業料の2倍までである。

国公立全日制高校は年11万8800円、国公立定時制高校は年3万2400円、国公立通信制高校は年6200円を授業料相当額とみなし、国から高校設置自治体に支給されるため、結果的に授業料は無償となる。私立高校は通常年11万8800円、年収250万円未満程度(市町村民税所得割額が非課税[1])の世帯は23万7600円、250?350万円程度(市町村民税所得割額が18,900円未満)の世帯は17万8200円が就学支援金として国から設置者(学校法人など)に支給されるため、授業料は低減される。なお、収入は支給額の基準となるが、預貯金や借入金の額は無関係である(日本の制度上、貯蓄額の把握は困難であるため)。なお、私立高校の場合、課程による金額の差はなく、定時制・通信制でも全日制と同じ額が支給される。

類似の制度としては、義務教育費国庫負担制度がある。高校授業料無償化・就学支援金支給制度は私立学校へも授業料一部相当額が支給されるが、義務教育費国庫負担制度は私学への授業料の給付はない。なお、私学助成金はこれらの制度とは別に行われている。
外国人学校の扱い詳細は「朝鮮学校#朝鮮学校の高等学校等就学支援金対象除外に関する問題」を参照

2010年度からの無償化では、各種学校となっている外国人学校のうち、「文部科学大臣が定めるところにより、高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして、文部科学大臣が指定したもの」も対象になっており、朝鮮学校高級部は他のインターナショナルスクール同様各種学校として認可・開設されていることから、文部科学大臣が指定すれば就学支援金が支給される可能性があった。しかし2012年末、文部科学省は「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)や北朝鮮との密接な関係が疑われ、就学支援金が授業料に充てられない懸念がある」と表明、2013年2月に無償化の対象となる外国人学校から朝鮮学校を外すため、文部科学省令を改正した[2][3]。この改正は子どもの権利条約や憲法14条に違反しているという意見も多く、2020年2月19日に京都弁護士会は「『各種学校』である外国人学校等も幼児教育・保育無償化の対象とすることを求める意見書」を国・京都府及び京都市に提出した。[4]
対象となる在学者

年齢制限や国籍制限はないが基本的な無償期間は修業年限に準ずるため、留年をした場合は有償の期間もある。ただし、公立高校の修業年限を超えた後の授業料については、自治体の負担となるため、地域によって取り扱いに差が出る[5]
導入前後の比較

この制度の対象は授業料部分のみなので、修学旅行などの諸費用、私学の入学金などは別途掛かる。導入前までの平均的な学校教育費は、公立が34万4千円、私立が78万5千円であり、導入後にはそれから12万円?24万円が引かれる計算となる。[6]

なお、この制度が導入される以前から、公立・私立高校には多くの国費や自治体費が投入されてきた。その額は情報源により差があるが、年間一人当たり公立86万円、私立38万円とするもの[7]、公立150万円、私立33万円とするもの[8]などがある。特別支援学校の場合はこれよりもかなり高い。また、自治体によっては、条例を設けて独自に取り組んでいる場合もある。
効果

本制度の導入後、埼玉県などでは高校進学率が過去最高を記録し[9] 、全国でも経済的理由による私立高校を中退する者が過去最小を記録した[10]
国の負担

一般会計で扱われ、平成24年度の当初予算額は総額3960億2340万円(対象者362万人見込み)[11]

内訳
公立高等学校授業料不徴収交付金:2379億8600万円高等学校等就学支援金交付金:1576億8000万円
問題点

所得の高い世帯においては、この高校授業料無償化・就学支援金給付制度の恩恵は乏しく、すべての世帯に対して高校授業料無償化・就学支援金給付制度を適用するのはむしろ無駄(いわゆるばらまき政策)であり、また財源の面からみても、子ども手当と同様に、「実質的な所得税増税」とされる扶養控除配偶者控除の廃止で対応できる保障は必ずしもなく、高校授業料無償化・就学支援金給付制度も、ツケという形で将来的な消費税増税に直結する可能性がある[12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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