高所作業車
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高所作業車 (こうしょさぎょうしゃ) (英語:AWP MEWP) とは、高所で作業を行うために、その機構を有した特殊車輌並びに建設機械である。リフト車と呼ぶこともある。作業中の高所作業車、タダノ製「スカイボーイ」,キャリアはいすゞエルフ NKR高所作業車を使って設置される街灯、ワルシャワ、ポーランド人民共和国、1977年
定義

高所作業車構造規格により、高所作業車は以下の三項目を満たすものと定義されている[1]

2m以上の高さに上昇できる作業床(作業員が作業時に乗る場所)を持ち、昇降装置、走行装置等により構成される。

作業床の上昇、下降などに人力以外の動力を使用する。

不特定の場所に自走できる。

主な用途

電力電話会社などでの電気設備(配電線)等の整備・保守、引込線の取り付けなど

信号機街灯などの保守

建設現場における溶接塗装・耐火被覆・配線・配管・ダクト・保温工事等あらゆる高所作業

空調設備メンテナンス

造園街路樹整備

空港や格納庫等での航空機整備

高層住宅での引越し(家財の搬入・搬出)

広告塔ネオンサインの設置および照明器具のメンテナンス

道路高速道路の標識の設置およびメンテナンスや橋脚の補修メンテナンス

監視カメラ防犯カメラの設置およびメンテナンス

ドラマ映画の俯瞰撮影

造船工事の「無足場工法」に使われている[2]

内装工事、大型店舗の商品陳列、駅プラットホームの蛍光灯交換[2]

太陽光・発電所など不整地現場で

林業 (造園・木材伐採)

など。(動画) 日本の高所作業車
高所作業車の分類

トラック式高所作業車。豊橋市神野新田町にて2005年5月撮影作業中のトラック式高所作業車。豊橋市神野新田町にて2006年4月撮影自走式高所作業車。豊橋市神野新田町にて2005年4月撮影ロンドンの美術館テート・モダンで展示作業用に使用されている高所作業車(シザーリフト)。

構造による分類方法と、走行方式による分類方法がある。
構造による分類

高所作業車の構造として、以下の方式が挙げられる。
ブーム式
クレーンのようなブームを備え、その起伏(昇降)・伸縮・旋回による構造。ブームの先に作業床としてバスケット(カゴ)が取り付けられており、作業者はバスケットに乗って作業に従事する。尚、バスケットよりも広く、重荷重に対応したプラットホームを有した機種や、ブームの一部が屈折する機構を有する機種も存在する。主に作業床高さ8m以上のトラック搭載型又は自走式(後述)でよく見られる。ブーム式高所作業車には、さらに「電気・通信工事用」と称されるカテゴリーが存在する。電気・通信工事は一般に活線に近接する場所で行われることから、感電事故防止のため、バスケットおよびバスケットに最も近いブームが絶縁素材で作られているのが最大の特徴である。
垂直昇降式
プラットホームが垂直に昇降する構造。主に作業床高さ2?10mクラスの自走式(後述)でよく見られる。昇降機構がマストブーム式(ブームが直立)のものとシザース式(はさみ状に交差する支持脚を組み合わせ昇降するもの)がある。一部の消防本部・局で保有している「レスキュータワー車」はこれを消防用自動車に改装したもので、狭くて通常のはしご車が使えない場所での高所救出に使用される。
走行方式による分類

高所作業車は走行方式によっても以下の2種類に分けられる。
トラック搭載式
トラックに高所作業のための機構が組み込まれ、公道走行が出来る。拠点から拠点への高速移動が可能。
自走式
1980年代の半ばごろから、造船業界で高所作業車が導入され始めた。当時の造船業界では船体に沿って作業足場を組み立てる工法だったが、「無足場工法」を高所作業車メーカーが提案し、「ホイール式」という新しいタイプの高所作業車が開発された。「ホイール式」は、造船所の敷地内を移動できればいいため、トラック式の必要はない。必要なものは、巨大な船体をカバーするための高い揚程と、作業姿勢のまま船体に沿って移動できる自走能力である。また、「無足場工法」は建設工事業界にも導入され、不整地や狭隘な場所での走行に有利な「クローラ式」が用いられた。この「ホイール式」、「クローラ式」を合わせて「自走式」という
[2]
屋内工事向け

足場の組み立てに苦労していたオフィスビルやデパートなどの内装工事に垂直昇降型の自走式高所作業車が導入された。1987年に登場した屋内工事向け高所作業車には以下の特長がある[2]

作業用エレベーターに載せるために小型軽量化

密閉された屋内で使用するため、動力源はディーゼルエンジンではなく蓄電池を使用する構造

床面にタイヤの跡を残さないように、白ゴムを材質としたゴムタイヤを装備

小型軽量化を実現するために、垂直昇降型を採用

室内の天井に作業員の手が届けば良い程度の揚程

作業床を上昇させたまま走行可能

高所作業車特有の構造

複数の動力源と作業床平衡装置[3]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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