この項目では、2009年に発表された小説について説明しています。この小説を原作とする2016年の映画については「高慢と偏見とゾンビ (映画)」をご覧ください。
高慢と偏見とゾンビ
Pride and Prejudice and Zombies
著者セス・グレアム=スミス、ジェーン・オースティン(原案)
訳者安原和見
イラストドギー・ホーナー(カバー)
フィリップ・スマイリー(挿絵)[1]
発行日 2009年4月1日
2010年2月20日
発行元 クヮーク・ブックス
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en:File:PrideandPrejudiceandZombiesCover.jpg
? 2009年の初版本カバー写真
『高慢と偏見とゾンビ』(英: Pride and Prejudice and Zombies)は、2009年にセス・グレアム=スミスが発表したパロディ小説。作品はジェーン・オースティンの『高慢と偏見』(1813年)にゾンビをマッシュアップ(英語版)したもので[3][4]、オースティンとグレアム=スミスとの共作扱いされている。作品は2009年4月にクヮーク・ブックス(英語版)から出版され、同年10月にはフルカラーの挿絵と追加のゾンビシーンが加えられたデラックス版も発売された[5]。
2016年にはリリー・ジェームズ、サム・ライリー主演で映画化された。
あらすじ「高慢と偏見#あらすじ」も参照
舞台はイングランド・ハートフォードシャー。ロングボーンに住むベネット家の5姉妹は、中国でペイ・リュウ師に鍛えられ、謎の疫病に感染したゾンビたち[注釈 1]と戦う毎日を送っていた。自分の楽しみを邪魔されないことが至福という父・ベネット氏に対し、母・ベネット夫人は、屋敷が限嗣相続であることを嘆き、5人の娘たちを裕福な男性の元へ嫁に出すことしか考えていなかった。
ロングボーンの隣家であるネザーフィールドに、親友で戦士のダーシーを連れて独身の資産家ビングリーが引っ越してきた。姉妹の長女ジェーンは舞踏会でビングリーに見初められるが、一方の次女エリザベスは、高慢で付き合いの悪いダーシーが自分をけなしているのを聞いてしまい反感を覚える。その夜ゾンビがネザーフィールドを襲撃し、ベネット姉妹の戦いぶりに感心したダーシーは、エリザベスに興味を抱くようになる。
ある日、限嗣相続人のコリンズ牧師がロングボーンを訪れる。妻を求めて現れたコリンズはエリザベスに求婚するが[注釈 2]、口が上手いだけの彼に反感を覚える彼女はこれを拒絶する。同じ頃メリトンに向かった姉妹は、ゾンビ対策で屍体処理に訪れた国民軍の士官で、ダーシーに怪我を負わされたとけなすウィカムに出会う。求婚を断られたコリンズは、代わりにロングボーンの近所に住むシャーロット・ルーカスに求婚する。エリザベスはシャーロットに失望するが、彼女は疫病に感染したことを明かし、結婚は束の間の幸せなのだと語る。
ビングリー家一行は突然ネザーフィールドを引き払い、ロンドンに向かってしまう。ジェーンはガードナー夫妻とロンドンに向かうが、ビングリーからは便りのひとつも寄越されない。コリンズ夫妻に会うためケントに向かったエリザベスは、レディ・キャサリンから邸宅ロージングズ・パークでの食事会に招かれ、道場では彼女肝いりのニンジャたちを撃退してみせる。彼女はフィッツウィリアム大佐から、ダーシーがビングリーとジェーンの仲を引き裂いたと聞かされ激怒する。姉の復讐に燃えるエリザベスにダーシーは思いを打ち明けるが、ジェーン・ウィカムへの仕打ちと自身の高慢さを指摘され拒絶される。翌朝ダーシーは全てを打ち明ける手紙を渡し[注釈 3]、エリザベスは偏見で目が曇っていたことに気付く。
エリザベスがケントから戻った後、リディアはフォースター夫人とブライトンへ、エリザベスはガードナー夫妻とダービーシャーへ向かうことが決まる。エリザベス一行はダーシー邸のペンバリー(英語版、フランス語版)を訪れ、丁度戻って来たダーシーと出会う。エリザベスはダーシーの物腰が変わっていることに気付き、彼の妹ジョージアナとも交流する。ダービーシャー滞在中に、リディアがウィカムと駆け落ちしたことが明らかになり、エリザベスはロングボーンへ引き返す。リディアは肢体不自由になったウィカムと結婚するが、ダーシーが駆け回ってこの一件を収めたことが分かる[注釈 4]。駆け落ち騒ぎの最中、疫病感染したシャーロットを殺し、これから自殺するつもりだとするコリンズの手紙が届く。
ウィカム夫妻が聖職者学校のあるキルケニーへ向かった後、ビングリー家がダーシーを連れてネザーフィールドに戻ってくる。ビングリーはジェーンに求婚して受け入れられる。数日後レディ・キャサリンがロングボーンを訪れ、エリザベスに対してダーシーの妻には娘のアンが相応しいと主張する。ふたりは決闘を行うが、エリザベスはダーシーと婚約してくれるなというレディ・キャサリンを突っぱねる。ロングボーンで再会したダーシーとエリザベスは、高慢さも偏見も無い素直な心で話し、結婚を決める。最終章では、登場人物それぞれのその後が描かれる。
登場人物「高慢と偏見#登場人物」も参照
ベネット家とその親戚
エリザベス・ベネット(英語版)
本作の主人公。ベネット家の次女で、20歳[8]。愛称はリジー、イライザ[9]。姉妹の中で最も優秀な女戦士。勝ち気な性格が災いし、高慢なダーシーを毛嫌いしていたが、ウィカムの過去を知ったことがきっかけで考えを改め、最終的にダーシーと結ばれる。
ジェーン・ベネット
ベネット家の長女で、姉妹きっての美人[10]。もうすぐ23歳になる[11]。人を疑うことの無い純真さを持ち、控えめな性格。ビングリーに見初められ、1度は引き裂かれかけるが、結婚する。
メアリ・ベネット
ベネット家の三女。器量はあまり良くなく、それを補うように読書で知識を付けているが、エリザベスにしてみれば少し退屈な人物[12]。
キティ・ベネット