骨格
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

その他の用法については「スケルトン」をご覧ください。
ヒトとウマの骨格標本。シドニーのオーストラリア博物館の収蔵品。

骨格(こっかく、骨骼とも書く)とは、関節で結合した複数のおよび軟骨によって構成される構造のことを指す[1]。転じて、基本的な構造一般をいう表現に使われる場合もある。
概要アンモナイトの殻も骨格の一種に含まれる[2]

骨格は、大きく分けて2種類あり、脊椎動物が体内に持つ骨を中心とした構造体である内骨格と、昆虫等の節足動物が体表を覆う外骨格である[3]カメ甲羅[4]貝類貝殻も、骨格の1種に含まれる[2][5]

骨格には2つの役割がある。1つは本来は柔らかい体組織を、骨格が支柱となって支えることである[5]。もう1つは体組織の保護であり、脊椎動物の場合は頭蓋骨胸郭心臓などの重要な臓器を守っている[3]。外骨格は体全体を覆い防御することが第1の機能であり[6]、陸上に棲む種では乾燥から身を守ったり[5]、硬い殻を持つ卵を産む生物へカルシウムを供給するなど[7]、その生態や生活環境などに応じた様々な役割も持つ。

また骨格は生物の身体で最も固く、リン酸カルシウムなどの無機物を豊富に含む組織であるため、化石として残りやすい。化石によって骨格が判明した場合には、既に絶滅した生物が、どのような体躯を持ち、どのように生活していたのかを把握する手がかりを与える[8]
ヒトの骨格ヒトの骨格を示した図

進化の過程において、ヒトの身体は骨格と骨格筋が協調して働く機能を獲得し、直立二足歩行や、手の指先の細かな動きなどを得た。骨格と骨格筋の2つを合わせて、運動器ともいう[9]。人体の骨格は約200個の骨で形成され、約680個の骨格筋が接続している[9]。近年、動きに人間らしさを追求するため人型ロボットに応用されるケースが増えている。
骨の連結

ヒトにおいて、他の骨とつながっていない骨は唯一舌骨だけである。その他の全ての骨は、必ず何らかの骨と連結しており、骨格を形成する。連結した複数の骨が完全に接合して動かない部分は、骨結合という。これ以外は、互いがつながる部分が可動性を持ち、曲がるためや、回転するための構造を有する。

線維性の連結には、靭帯結合・縫合・.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}釘植(ていしょく)の3種類がある。靭帯は幅を持つ繊維による結合で、強靭である。この幅が特に広い場所は骨間膜といい、脛腓靭帯結合や前腕骨間膜(英語版)などが相当する。縫合とは頭蓋骨の板状の骨の間に見られる連結であり、多くの膠原繊維束によってつながっており、接合線がギザギザになる場合が多い。釘植は歯根と歯槽骨の間にある連結で、間に結合を行う組織である歯根膜がある[9]

軟骨による連結には、(通常の)軟骨結合と繊維軟骨結合がある。成長期のほとんどの骨には硝子軟骨による結合(骨端軟骨)がある。胸骨にある柄体軟骨結合は、成長後も残る軟骨結合の1つである。繊維軟骨結合は、恥骨椎体の結合にあり、繊維質の隙間に軟骨質がある円盤状の構造である[9]

一般にいわれる関節は、滑膜性の連結に当てはまる。2本の骨の間に関節包で囲まれた関節腔があり、その中に粘度が高い滑液が満ちている。関節包は滑液を生成する滑膜と、それを包む緻密で頑丈な結合組織系の繊維膜が覆う。関節の可動性は、接する骨の面を保護する軟骨と、滑液が生む弾力性と滑りによって、実現している。関節包は関節の動きを制限する物で、股関節などでは一部が厚い構造を持ち靭帯を形成する。また、関節の動きには骨の端部が様々な形を持ち、部位によっては凸凹が合わさった構造も見られる。人体の場合は2つ以上の関節が組み合わさった構造や複雑な形状を持つ部分が複数箇所に見られ、例えばの関節は3つ以上の骨が介在する[9]
骨格の部位

ヒトの骨格は、大きく体幹骨格(軸骨格)と体肢骨格(付属骨格)に分けられる。さらに前者は頭蓋骨脊柱胸郭肋骨)、後者は上肢下肢に分類される[1][10]
頭蓋骨

体幹の最も上にある頭蓋骨は、を保護するだけでなくといった感覚器呼吸器および消化器の入り口を備える。そのため複雑な形状を持つ。15種類計23個の骨が組み合わさっており、そのほとんどは縫合による固い結合で、可動する部分は下顎骨や舌骨などわずかである[11]。頭蓋骨は大きく、上部にある脳を包み込む部分の脳頭蓋(神経頭蓋)と、眼窩鼻腔口腔のような臓器がはめ込まれたくぼみを持つ顔面頭蓋(内臓頭蓋)に分けられる。ヒトは前者が発達している特徴を持つ[11]

脳頭蓋は、前頭骨1個、頭頂骨2個、側頭骨2個、後頭骨1個、篩骨1個、蝶形骨1個の6種計8個で成り立ち、円形の屋根に当たる頭蓋冠と、床に当たる頭蓋底を作る。特に頭蓋冠では、それぞれの骨がギザギザの縁をかみ合わせた縫合を持っている。頭蓋底は脳の形状に合わせたような凸凹と、つながる血管や神経が通るための孔がたくさん空いている[11]

顔面頭蓋は9種計15個の骨で成り、うち6種は対になっている。主要な骨は1対の上顎骨と1個の下顎骨である。上顎骨は頬骨と脳頭蓋の前頭骨との間で眼窩前面を、対の間と鼻骨鼻腔前面を作る。口腔は上部に上顎骨・口蓋骨と、下部に下顎骨との間で形成される[11]
脊柱

脊柱は32~34個の椎骨が連結した、体幹を支える骨格である。頚部の7つの骨は頚椎、胸部の12個は胸椎、腰部の5個は腰椎、骨盤の部分を仙椎尾椎に分ける。成長すると仙椎は5個の骨が癒着して1個の仙骨に、尾椎は3~5個が癒着して1個の尾骨になる[12]。そして脊柱全体はS字状に湾曲し、二足歩行をするためにかかる下方向の荷重を分散している[13]

椎骨は、3種類の方法で接合されている。椎間円盤は縦に積まれた椎骨の間にあり、軟骨性結合の役を担う。中心にはゼリー状の髄核があり、その周囲を繊維軟骨が層状に取り囲んでいる。髄核の約8割は水分で、脊椎のねじれや屈伸または圧力を、液体の流動性で吸収し、可動できる状態にする。脊柱全長のうち1/4は椎間円盤の厚みである[12]。椎骨と椎間円盤の前後には、それぞれ縦靭帯が密着し、縦方向の連結を行う。椎弓の間は、弾性繊維が豊富なため黄色に見える黄色靭帯で縦連結される。その他、棘突起部の縦連結は棘間靭帯と先端にある棘上靭帯でつながるが、これは頚部で幅が広くなるため項靭帯ともいう[12]。さらに、各椎骨にある関節突起は上下が対になり、椎骨の間に関節を形成する[12]

脊柱は、文字通り柱として体を支える役割を有する。そして、その中には中枢神経である脊髄が収まり、これを保護する役割も持つ。また、複数の突起部分は筋肉とつながっており、体幹を動かす役目も持つ[12]
胸郭

胸郭は37個の骨で形成された釣鐘状の骨格で、心臓を鳥かごのように取り囲んでいる。胸骨と12個の骨から成る胸椎、12対の骨の集まり肋骨に分けられる[14]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:66 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef