騰蛇
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騰蛇(とうだ、とうじゃ、ちんじゃ。.mw-parser-output .pinyin{font-family:system-ui,"Helvetica Neue","Helvetica","Arial","Arial Unicode MS",sans-serif}.mw-parser-output .jyutping{font-family:"Helvetica Neue","Helvetica","Arial","Arial Unicode MS",sans-serif}?音: teng she)または騰?は、中国の伝説上のまたは龍の一種。霧のなかを推進でき、足はなくとも飛行能力があるとされる。

爾雅』注釈では龍の一種とする。『本草綱目』によれば、「飛ぶ蛇」の仲間(「翼ある蛇」の仲間でない)が、のちに龍と化するとされる。
語釈

騰蛇(正字は?蛇)は、「とうだ」と読まれるが[1]、「とうじゃ」[2]、「ちんじゃ」[3]と読まれる例もみられる。

爾雅』には上音が「朕」。下音が「騰」と記される[5]
古典による描写

「?蛇」に触れている古来の文献はいくつかあるが、近代の神話学者袁珂『中国神話伝説詞典』の「?蛇」の項では、それらを列挙するにとどめ、?蛇の解釈はしていない[6]
荀子・韓非子の寓意

前漢の文献では[6]荀子「勧学篇」に「?蛇(とうじゃ)は足無くして飛ぶ」[7][8]韓非子「難勢篇」に慎子いわく「騰蛇霧に遊ぶ」[9][11]淮南子』にも同様の記述がみつかる[12]

いずれも神話が主旨ではなく、物のたとえである。荀子の文章は、?蛇のように専一(一つの物事に専念する)であれば高みに到達するが、ムササビのように5種の技をもっていても中途半端なばかりであまり高い所を究めることはかなわない、という教訓である[13]

韓非子が引いた慎到の文章は、賢い才能を持った人間が「勢い」(雲・霧)を得れば昇竜・?蛇のごとく大事をなすが、それなくしては大事をなせずミミズアリ(??)に等しい[注 1]、と説いている[14][1][11]
龍蛇の分類

晋代の郭璞(324年没)は、?蛇は龍の一種であるとし、雲霧を発生させてその中を移動することができたと注釈した[16]

明代の李時珍(『本草綱目』「諸蛇」の項)では、?蛇(とうじゃ)は「翼あるもの[蛇]」には分類されないが[注 2]、「飛ぶもの[蛇]」に分類され、同じ仲間には飛蛇(山海経)がいるとする[17]。しかしながら、「?蛇(ちんじゃ)は龍と化す」とも加えている[17]
詩歌

曹操が作詞した『歩出夏門行』の「亀雖寿」(中国語版)にも神亀[注 3]は長寿といえども、最期をむかえる。騰蛇は霧に乗じて[天翔けるも]、ついには土灰となると歌われる[12]
星座詳細は「室宿」を参照

中国の天文学占星学において?蛇は22の星からなる星官であり、二十八宿室宿に属する[18][19]
注釈^ 異文(『慎子』「威徳篇」)では蚯蚓、ミミズとつくる。
^ 有翼の例は肥?(「西山経」)とする。
^ 霊亀 (四霊)を参照。

出典
脚注
^ a b 合山究『雲烟の国: 風土から見た中国文化論』東方書店、1993年、46頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784497933881。https://books.google.com/books?id=Rc2ZAAAAIAAJ&q=%22とうだ%22。 
^ 鈴木訳 (1930), p. 438.
^ 鈴木訳 (1930), p. 441.
^  「釋魚第十六 ?,?蛇。」(英語)『爾雅註疏 卷九』。ウィキソースより閲覧。 
^ 『爾雅註疏』の「釈魚」の項[4]
^ a b 周士g (1996): ⇒摘要
^  「巻第一 勸學篇」(英語)『荀子』。ウィキソースより閲覧。 
^ 荀子、引用元:『本草綱目』「鱗部第四十三卷 諸蛇」.鈴木訳 (1930), p. 438
^  韓非子「難勢」(英語)『韓非子』。ウィキソースより閲覧。 
^ 吉田浤一「韓非の勢 : 難勢編を手掛かりとして」『静岡大学教育学部研究報告. 人文・社会・自然科学』第62巻、駒澤大学東洋学会、2012年、28頁、doi:10.14945/00006505、hdl:10297/6505。 
^ a b 『慎子』「威徳篇」(銭熙祚校)にも似た文章が見える:故に騰蛇霧に遊び、飛龍雲に乗るも、雲罷み、霧霽れれば、蚯蚓と同じ、則ち其の乗る所を失なえば也[10]"。
^ a b c 伊藤正文、一海知義『中国古典文学大系 第16巻 漢・魏・六朝詩集』平凡社、1972年、99?101頁。ISBN 978-4582312164。https://books.google.com/books?id=mhWVAAAAIAAJ&q=騰蛇。 
^ 池田精一「勸學篇」『荀子』哲学館、1880年、18?19頁。https://books.google.com/books?id=5LAtAAAAYAAJ&PP226。 
^ 諸橋轍次「 ⇒荀子非十二子篇を読む」『東洋學研究』第1巻第29号、駒澤大学東洋学会、1931年、39, 42 n(9)。 
^ 周士g (1996), p. 57.
^爾雅』の「釈魚」の項、「?(?蛇)」。郭注:竜の類なり。能く雲霧を興して、其の中に遊ぶ[12][15]


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