騒音計(そうおんけい、英:Sound level meter)は、音の客観的な物理的性質を数値化する装置。集音用のマイクロフォンを搭載する。この装置によって算出された数値を騒音レベルと言う。人の聴感特性を考慮した周波数重み付け特性Aが適用されていて、通常はdB(デシベル)の単位で表す。
騒音計は日本国内では計量法やJIS C 1509、国際的にはIEC 61672で規格が定められている。また、等価騒音レベルの測定方法について日本国内ではJIS Z 8731で定められているなど、検査、測定については他にも規定が存在する。 計量法で法定計量器として規定した時の区分で使われ、性能、規格により、大きく2種類に分けられる。 かつてはJISでもこの区分があったが、2005年に統合されたJIS C 1509-1では記述は削除され、計量法にのみ記述が残るようになった。これには次のような背景が影響している。 JISはIEC規格と整合を取るなどの目的で数回にわたり改正が繰り返された。一方、計量法では71条で検査に関する規定が設けられており、具体的には「特定計量器検査規則」に拠っているが、この規則は制定当時の規定内容を大きく変更することなく改正されてきたため、当初はJISと同じ水準にあったものが、両者に差がついて来た。2010年現在では検定検査規則はJISの一部の性能について規定するに過ぎなくなっている。従って、JISに適合する騒音計は基本的に検定検査規則にも合格することが出来、更に輸出対応などの関係もあって日本市場に流通する騒音計はJISにも計量法にも適合している。 日本で運用されている下記のマニュアルで騒音計を幾つかのタイプに区分し、使用を認めている。例えば「航空機騒音測定・評価マニュアル」では次の3タイプに区分し、実用的にはI型とII型を使用している[1]。 航空機騒音 騒音計を使用して調査業務を請け負う企業の一つ『ピー・シー・イー』のリーフレットによれば、環境調査により計測が依頼された場合、調査地点の決定などに1?2週間程度を要するとされている。 騒音計は次の特性を持つ。通常、騒音を測るのに使われるのは、人の聴感特性を考慮した周波数重み付け特性Aである。 音圧は正負に振動するので、マイクロフォンから得られる信号は交流信号である。これを騒音レベルにするには、時間重み特性をかける。道路交通騒音では、時間重み特性Fを使う。たとえば、同じ自動車の騒音を測っても、時間重み特性によって、レベルの変化は異なり、結果、最大のレベルは異なるので注意が必要である。 日本では騒音測定に際して一定の手順、機能を要求するためのマニュアルが各省庁で作成されていることがある。使用して良い騒音計についてもその中で規定されている。 これらの廃止はJIS C 1509の制定によるもの。JIS C 1509の特徴は電磁両立性に関する記述が規定されたことにある。
種類
計量法による区分
精密騒音計(クラス1)
普通騒音計(クラス2)
マニュアルによる区分
I型:指数応答型騒音計。A特性/S特性(slow)の騒音レベルを0.1秒以下の標本間隔で連続記録する。
II型:積分平均型騒音計。1秒間の平均騒音レベルを連続記録する。
III型:積分型騒音計。騒音暴露レベル算出に使用。
測定対象による区分
航空機騒音計
周波数重み付け特性
周波数重み付け特性A
周波数重み付け特性C
周波数重み付け特性Z
時間重み付け特性
時間重み付け特性F(従来はFastと呼ばれた)時定数125 ms
時間重み付け特性S(従来はSlowと呼ばれた)時定数1 s
マニュアル
「航空機騒音測定・評価マニュアル」の作成等について(お知らせ)
在来鉄道騒音測定マニュアル
騒音に係る環境基準の評価マニュアル
環境基本法に基づく道路交通騒音測定について規定。
廃止規格
普通騒音計 JIS C 1502 2005年3月20日廃止
精密騒音計 JIS C 1505 2005年3月20日廃止
脚注[脚注の使い方]^ 山田一郎「航空機騒音の測定と評価」『騒音制御』Vol.34,No.1.2010
参考文献
大沼保憲「航空機騒音測定の省力化に関する問題点」『航空環境研究』NO.2(1998)pp48-51
瀧浪弘章「騒音測定における測定器の使い方に関する最近の話題」『騒音制御』Vol.34,No.1.2010
関連項目
加重等価平均感覚騒音レベル
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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