駐屯地司令
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駐屯地司令(ちゅうとんちしれい)は、陸上自衛隊駐屯地に置かれる役職である。分屯地に置かれるものは分屯地司令(ぶんとんちしれい)と呼ばれる。また、航空自衛隊基地・分屯基地においては基地司令・分屯基地司令(きちしれい・ぶんとんきちしれい)と呼称する。なお、海上自衛隊にはこれらに相当する役職は置かれていない。(類似の職名に「基地隊司令」や「基地業務隊司令」などがあるが、これらは当該部隊の部隊指揮官であり、駐屯地司令・基地司令とは異なる)。すべての駐屯地司令・基地司令は部隊長との兼任であり、専任の司令は存在しない。

以下、本項において陸上自衛隊の駐屯地司令・分屯地司令について扱うが、航空自衛隊の基地司令についてもほぼ同様の任務を有するため、本項でとりまとめて扱う。
任務

駐屯地司令の任務は、自衛隊法施行令( 昭和29年6月30日政令第179号)第51条によって定められており、「防衛大臣の定めるところにより、駐屯地の警備及び管理、駐屯地における隊員の規律の統一その他大臣の定める職務を行う。」ものとされている。航空自衛隊基地司令の任務については#外部リンクの「基地司令及び基地業務に関する訓令」を参照のこと。
権限

駐屯部隊へ要望事項等を掲げる他、駐屯地司令として駐屯地の規則等を取り決める事ができる。また規則を取り決める際は駐屯地幕僚会同を開き幕僚の意見を踏まえて改正している。他には日課時限の変更も駐屯地司令の裁量で変更が可能であるが、ただしこれには方面総監の許可が必要である。
司令等に充てられる自衛官

原則として、駐屯地司令は当該駐屯地に所在する部隊等(当該駐屯地に臨時に駐屯するものを除く。)の長のうち自衛官の順位に関する訓令(昭和35年防衛庁訓令第12号)第3条の規定により最上位にある自衛官をもって充てるとされている[1]。ただし、上級司令部の所在地では、原則を厳格に適用すると駐屯地司令が非常に高位で繁忙な指揮官たる将官クラスが担当することになってしまうため、以下の例外がある[2]
市ヶ谷駐屯地中央業務支援隊

方面総監部の所在する駐屯地:方面総監部幕僚長[注 1]

師団旅団司令部の所在する駐屯地:副師団(旅団)長

駐屯地司令職を兼務する部隊・機関(学校・病院・補給処等)の長は陸将[注 2]から2佐までの階級を持つ自衛官である(指揮権の関係・基幹部隊が中隊[注 3]の場合を含む)が、かつては高知駐屯地のように着任時3佐職が充てられる場合もあった。また、中央即応集団司令部が座間駐屯地に設置されていた間は、同司令部幕僚長が駐屯地司令に指定との規定もあった。
特記事項

原則論は自衛官の順位に関する訓令
[3]の上位者と定めているものの、実情は方面総監部・師団(旅団)司令部所在駐屯地を除けば全て駐屯地の基幹部隊の長または同類の部隊が複数所在する場合は駐屯地司令職務指定部隊の長に着任した自衛官が兼務しており、必ずしも駐屯地に所在する部隊長の名簿上における最先任者が兼務するわけではなく、駐屯部隊長の中で名簿による序列では下級者の部隊長が司令職を兼務する場合も存在する[注 4][注 5]

建前上駐屯地の基幹部隊・司令職務担任部隊の長が司令職を兼務するため、例え連隊・群等複数の1佐職の部隊が所在する場合は序列や階級が所在部隊長の間で下級の位置にあっても駐屯地司令職の辞令が出される。常に所在部隊長の最先任者が司令職を兼務するように厳格に運用してしまうと、それぞれ部隊長が定期異動等による交代の度に序列上最先任者の部隊長に司令職兼務の辞令を出さなければならないことから、部内外への無用な混乱の回避と事務手続きの関係上、基本的に駐屯地の歴史や部隊の特性を考慮し予め司令職を兼務する部隊は駐屯地司令職務担任部隊として予め指定されている。

連隊(師団隷下)と群・隊等(幕・方面直轄)の2つが同じ駐屯地に駐屯する場合、直轄部隊と師団隷下部隊である連隊のうち上位は陸幕・陸上総隊・方面直轄部隊である部隊であるが、師団隷下部隊長である連隊長が駐屯地司令職を兼ねる駐屯地もある[注 6]。さらに海外に派遣する可能性が高い部隊の長を司令職にすると、派遣時に「駐屯地司令職務代行」を別途その都度指定しなければならない事情を考慮し指定する例もある(宇都宮駐屯地など)。

また、駐屯部隊が1個中隊程度の規模の場合、駐屯地司令を兼務した中隊長の階級は2佐という状況も発生する(3佐職たる中隊長(部隊指揮官)と駐屯地司令業務を兼任するための処置であり、原則として司令職は部隊規模が中隊規模であっても2佐以上が指定される[注 3]

駐屯地業務隊長が駐屯地司令職を兼務することは、防衛庁(現・防衛省)の所在していた檜町駐屯地及び市ヶ谷駐屯地の中央業務支援隊の二例のみである[注 7]

師団以上の司令部がある駐屯地では、駐屯地司令を兼務する陸将補よりも上位の陸将補が在籍する場合もある(東千歳駐屯地など)が、規則に基づき序列上は上級者である方面直轄部隊長である将補よりも副師団長(将補(二)ないし1佐(一))が駐屯地司令を兼ねる場合がある。


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