駅馬車_(1939年の映画)
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駅馬車
Stagecoach

監督ジョン・フォード
脚本ダドリー・ニコルズ
原作アーネスト・ヘイコックス(英語版)
『駅馬車』
製作ジョン・フォード
製作総指揮ウォルター・ウェンジャー
出演者ジョン・ウェイン
トーマス・ミッチェル
クレア・トレヴァー
ジョージ・バンクロフト(英語版)
音楽ボリス・モロス(英語版)
リチャード・ヘイグマン(英語版)
W・フランク・ハーリング(英語版)
ジョン・レイポルド(英語版)
レオ・シューケン(英語版)
ルイス・グルーエンバーグ
撮影バート・グレノン(英語版)
レイ・ビンガー(英語版)(特殊撮影
編集オソー・ラヴァリング(英語版)
ドロシー・スペンサー(英語版)
製作会社ウォルター・ウェンジャー・プロダクションズ
配給 ユナイテッド・アーティスツ
ユナイテッド支社[1]/松竹映配[2]
公開 1939年2月15日
1940年6月29日[1]
上映時間99分
製作国 アメリカ合衆国
言語英語
製作費$531,374[3]
配給収入 $1,242,016
$708,600(北米外)
6812万円(1951年度)[4]
1億2908万円(1961年度)[5]
1億6862万円(1962年度)[6]
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『駅馬車』(えきばしゃ、原題: Stagecoach)は、1939年アメリカ合衆国西部劇映画ジョン・フォード監督。主演はジョン・ウェイン。共演はクレア・トレヴァートーマス・ミッチェル 、ジョージ・バンクロフト(英語版)。アーネスト・ヘイコックス(英語版)の1937年の短編小説『駅馬車(原題:The Stage to Lordsburg)』をダドリー・ニコルズが脚色している。
概要

アメリカの西部劇映画を語る上で欠かせない名作であり、映画史を代表する傑作として高く評価されている。主演のジョン・ウェインはこの映画に出演する9年前の1930年に「ビッグ・トレイル」で主演に抜擢されたが不評で、その後長い不遇時代を過ごし、B級西部劇映画[注釈 1] に出演しながら俳優としての実力を蓄えて、この映画の演技が認められて以降はジョン・フォード監督作品の看板俳優として主演を務めていくようになり、一躍大スターになった。

西部劇ではあるが、物語は駅馬車に乗り合わせた人々の人間模様が中心で、終盤にアパッチ襲撃と決闘という2つのクライマックスが描かれている。アパッチ襲撃のシーンは大胆なクローズアップによる撮影やヤキマ・カヌートによる見事なスタントで、スピーディーかつダイナミックなアクションシーンとなり、アクション映画史上不朽の名場面となった。1995年アメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
ストーリー

ジェロニモアパッチ族を率いて居住地を出たという情報が飛び交っていた頃、アリゾナ準州トントからニューメキシコ準州ローズバーグに向かう駅馬車が出発した。乗客は町から追放されたダラス(クレア・トレヴァー)、アルコール中毒の飲んだくれ医者ブーン(トーマス・ミッチェル)、はるばるバージニアから来て夫のマロリー騎兵隊大尉に会いにいく貴婦人ルーシー(ルイーズ・プラット(英語版))、小心者の酒商人ピーコック(ドナルド・ミーク(英語版))であった。出発の際に南部出身の賭博師ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)が「マロリー夫人の護衛」として乗り込んだ。御者(運転手)のバック(アンディ・ディバイン(英語版))とカーリー・ウィルコックス保安官(ジョージ・バンクロフト(英語版))が加わり、駅馬車は出発する。

さらに出発してすぐにトントの町はずれで銀行家ヘンリー・ゲートウッド(バートン・チャーチル(英語版))が駅馬車に乗り込んできた。彼は5万ドルを横領し、ローズバーグへ逃げて雲隠れするつもりであった。合計8名の駅馬車が砂漠にかかる時、突然銃声がして馬車が止まった。ライフルを軽々とクルリと回して現われたのは脱獄囚のリンゴ・キッドジョン・ウェイン)であった。保安官カーリーと御者バックはリンゴ・キッドとは旧知の間柄であった。リンゴが脱獄で500ドルの懸賞金がかけられていることも知っていたが、彼が父と兄弟を殺したプラマー兄弟に敵討ちをするためにローズバーグへ行くことも予知していた。そしてカーリーはリンゴがローズバーグに行くことを予想してこの駅馬車に乗ったのだった。「リンゴがプラマー兄弟と決闘しても殺される」に決まっていると考え、ライフルを取り上げてリンゴを逮捕した。リンゴの父とは同じ牧童仲間で父親代わりであったカーリーにとって、逮捕することがリンゴを安全にする方法であった。また皮肉なことに同乗した飲んだくれ医師ブーンは、かつてリンゴの殺された弟を治療したことがあった。

駅馬車は最初のステーションであるアパッチウェルズに到着する。ここでトントから随行してきた護衛の騎兵隊との交代の部隊がいなかった。ジェロニモアパッチ族を率いて居住地を出た情報がある中、護衛なしで前進してローズバーグを目指すか、引き返すかの投票が行われ、ローズバーグに向かうことに決定する。

道中の馬車の中で、賭博師ハットフィールドはさかんにルーシーのために気を使い、ルーシーに銀のカップを差し出す。ルーシーはそのカップを見て「これはグリーンフィールド家の紋章では?」[注釈 2] と問う。ハットフィールドはどこかで賭けて儲けたものと云う。ダラスに対しては皆の目は冷たく、無視されている。そのことでリンゴが怒ったりしていた。また酒商人ピーコックが販売拡大の営業のため持ってきたサンプルの酒が、飲んだくれ医師に飲まれてしまう。

次のステーションであるニューメキシコのドライフォークに到着するが、ここでメキシコ人のクリスから「マロリー大尉が負傷してローズバーグに運ばれた」と伝えられてルーシーは倒れる。ルーシーは妊娠していてショックで産気づいてしまう。メキシコ人の牧童たちがジェロニモの襲撃を恐れて夜のうちに逃げ出し、クリスの妻も姿をかくしてしまう。飲んだくれ医師ブーンがコーヒーを浴びるように飲んで正気に戻り、ダラスの助けもあって無事にルーシーは女児を出産する。リンゴは道中親しくなったダラスにプロポーズし、一緒にメキシコに住もうと誘うがダラスは答えなかった。そしてダラスに励まされ、リンゴは敵討ちを諦めメキシコに逃げようとして、アパッチの狼煙を発見する。狼煙は襲撃の合図であった。リンゴはメキシコ行きを諦める。そして駅馬車はドライフォークから川の渡し場に行き、川を渡ってローズバーグを目指そうとした。

だがすでに渡し舟を含め川の渡し場全体が焼討ちにあっていた。そこで駅馬車に筏をつけてそのまま浮かして川を渡りきり、難関を突破した。渡っている間にアパッチの襲撃はなく、一同は安堵するが、渡し場でアパッチの光信号のようなきらめきを見たハットフィールドは警戒を続けていた。危機が去ったとして終着駅がもうすぐだとしてブーンが祝杯を挙げようとしたその瞬間、突然弓矢が飛び込みピーコックの胸に突き刺さった。ついに総攻撃をかけてきたアパッチ族に、駅馬車の男たちは必死に応戦する。バックは腕を打たれ、リンゴが先頭馬まで飛び移り手綱を引いた。やがて弾薬が底をつき、観念したハットフィールドは辱めを受けさせまいと最後の一発をルーシーに向けた時、アパッチの流れ弾に撃たれて命を落とす。その直後にラッパの音が聞こえ騎兵隊が到着し、危機一髪で駅馬車は難を逃れた。結局一人の犠牲者と二人の負傷者と共にローズバーグに到着する。

ローズバーグに着いてから、リンゴはカーリーに「10分だけくれ、絶対に戻るから」と云う。カーリーはライフルを渡して「弾は無いぞ」と云う。しかし実はリンゴは3発だけ隠し持っていた。ダラスにも「きっと戻ってくる」と言い残してプラマー兄弟のいる酒場に一人向かった。酒場ではルーク・プラマーがポーカーをしていて、リンゴ・キッドがやって来たと知らされて、その場に捨てたポーカーのカードはAと8の黒のツー・ペア[注釈 3] であった。ルークを筆頭とするプラマー三兄弟はリンゴと酒場の前でにらみ合う。一瞬の銃撃戦の末、酒場に再びルーク・プラマーが戻ってきた。ルークはカウンターに近付いた瞬間に床に倒れた。リンゴは無傷でダラスの元に戻ってきた。カーリーとブーンが馬車を用意していて、リンゴはカーリーにダラスを牧場まで送るように頼む。カーリーはダラスもリンゴも馬車に乗せて送っていくことにすると言う。


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