首都圏ICカード相互利用サービス
[Wikipedia|▼Menu]
関東のPASMO・Suica加盟事業者利用可能駅ではどちらのカードも共通で鉄道乗車に使用可能である。(小田急電鉄 藤沢駅・カード専用改札機)

首都圏ICカード相互利用サービス(しゅとけんアイシーカードそうごりようサービス)[1]は、東日本旅客鉄道(JR東日本)等が発行するICカード乗車券「Suica」と、パスモが発行するICカード乗車券「PASMO」について、お互いのエリア内の交通機関を相互に利用可能とし、合わせて電子マネー機能を含めた、双方が提供する主要なサービスを相互に共通利用できるサービス。2007年3月18日にサービスを開始した。
概要

首都圏の民鉄・バス事業者がパスネットバス共通カードの後継となるICカード乗車券として「PASMO」を導入するにあたり、当初よりJR東日本が先行導入していたICカード乗車券「Suica」との相互利用を念頭にシステムを構築してきた。この成果として、SuicaとPASMOでは、センターシステム系の仕様を共通化し、両者のシステムを「ICカード相互利用センター」で接続。機器仕様やソフトウエアも両者で共通化し、様々な乗車パターン(機器動作総当たり件数約40万件、運賃判定検証パターン約12億3千万通り)に対応できるよう共通化を進め[2]、2007年のPASMO新規導入日からサービスを始めている。

共通利用可能な内容は以下のとおり[1]で、単なる共通利用だけではなく、双方の独自サービスについても共通化を進めている。利用に当たっての手続きなどは必要ない。

Suica・PASMO利用可能エリアの相互乗り入れ

Suica・PASMOのいずれにも「バス定期券」「連絡定期券」を搭載可能

ただし、Suica(地域連携ICカードも含む)にPASMO鉄道線エリアで完結する定期券を、またPASMOにSuicaエリアで完結する定期券を搭載することはできない。


Suica・PASMO双方のエリアで「チャージ(オートチャージ含む)」「バス利用特典サービス」を利用可能

Suica加盟店・PASMO加盟店双方で電子マネーを共通利用可

導入当初は、IC乗車券としては、JR東日本ではSuicaの首都圏エリアのみに限って導入され、PASMOは対象事業者99社のうち52業者に導入、その後エリア拡大という手法をとった。このため、Suicaを導入していた仙台・新潟地区で自動改札機の投入口付近などに「PASMOはご利用になれません」と書いたステッカーが貼付されていた(2008年(平成20年)3月29日より仙台・新潟地区でも導入されている)。

2008年から2010年にかけ、各地方のICカードと相互利用サービスの拡大を続けていたが、2013年(平成25年)3月23日に交通系ICカード全国相互利用サービスが開始され、KitacaTOICAICOCASUGOCAPiTaPamanacanimocaはやかけんとSuica・PASMOとが、それぞれのエリアで一斉に相互利用可能になった。また、PiTaPaを除いて電子マネー機能の相互利用も可能になった。

なお、PASMOエリアのうち関東鉄道常総線および竜ヶ崎線)と千葉都市モノレールは従来通り Suica と PASMO でのみ利用可能であるほか、「オートチャージ」[3]及び「バス利用特典サービス」[4]もSuica・PASMO限定のサービス(他の8種のカードに非対応、及び他の8種のカードエリアで利用不可)となっており、交通系ICカード全国相互利用サービス開始後も「首都圏ICカード相互利用サービス」のスキームが現存する形となっている。
利用方法
鉄道での利用

Suica・PASMOいずれのエリアでも、改札機にSuica・PASMOをタッチすることで、入金(チャージ)残額から自動的に運賃を差し引く。連絡割引等についても自動的に適用される(ただし、重複する場合は最も割引額の大きい方のみの適用となる。また、改札を通る必要のない駅で改札を出場した場合、改札出場後30分以上経過した場合には適用されない)。なお、一度に精算できるのは4事業者分までである。途中一度も改札口を通らない場合は圏内で最大6事業者までの連続乗車が可能だが、運賃計算上5事業者以上になる場合は窓口での精算となる。

SuicaとPASMOはICカードの1枚使用が前提であり、磁気券で可能だった自動改札機への2枚投入や他の乗車券類との併用が自動改札機ではできない。一部事業者間の連絡改札口や新幹線の連絡改札口では磁気券+ICカードの同時使用が可能で、この場合入場時の乗車券に関係なく磁気券を挿入してからICカードをタッチする。なお、自動精算機では定期券情報・入場記録のないものに限り不足賃の支払いに使用可能である(JRでは、入場時のICカードと別のICカードの併用が可能)。

定期券で券面の区間外を利用する場合も出場時に自動精算される。なお、券面区間を経由して区間外の駅同士の相互発着となる場合は、区間外運賃の合計と区間内も含めて通しで計算した場合の運賃を比較して低廉である方の運賃を差し引く。

連絡定期券の発売範囲は、サービス開始時に従来の磁気定期券の発売範囲に加えて多摩都市モノレールゆりかもめ・横浜新都市交通(現・横浜シーサイドライン)の3社に拡大された。なお、IC乗車券の2枚同時使用はできないため、途中改札を通らない経路で2枚以上になる場合は従来通り磁気定期券を使用することになる。なお、町田駅など連絡運輸が締結されていない駅や連絡運輸を行っている場合でも連絡改札口が設置されていない駅(または設置されていても利用者が使用しない場合)などでは2枚のIC定期券を所持することも可能ではある。2008年3月以降、発売範囲は大幅に拡大され、前述の町田駅連絡を含め、多くが発行可能となっている。

なお、Suica・PASMOのチャージ残額を使っての振替輸送には対応しておらず(定期券券面区間を利用した場合にのみ対応)、実際に乗車した交通機関の運賃が引き落とされる[5]
普通運賃の計算方法について

普通運賃は、実際の乗車経路に関わらず最も安くなる経路を自動計算する(ただし、下記のような例およびすでに購入時に経路が指定されている定期運賃を除く)。
改札外乗り換えを要する場合
東京地下鉄東京都交通局都営地下鉄)の一部の連絡駅や京成電鉄京成高砂駅金町線京成本線成田スカイアクセス線)では、同一事業者内の乗り換えにおいて一旦改札口を通って行う。この場合、60分以内に再入場しないと運賃が打ち切られ、次回入場時に乗り換え駅からの運賃が差し引かれる。また、目的地となる降車駅よりも運賃が高額となる改札外乗り換え駅を経由して乗り継ぐ場合には乗り継ぎ駅で当該駅までの運賃が差し引かれ、それより安い目的地の駅で下車した場合でも超過分は戻らない。この改札外乗り換えの駅が改札を通らずに到達した2事業者目以降となる場合には、1事業者目からこの一旦出場駅までの経路が確定することになる。同一事業者内での改札外乗換は、磁気の普通乗車券・回数券では対応する改札口・改札機が限定されている場合もある(対応していない改札機に投入すると回収される)が、ICカードの場合はその制限がなく、乗換口として指定されていない改札口同士で乗り継いでも運賃が継続される。なお、JR鶴見線南武線(支線)の連絡駅で、乗り換えに際して一度改札を出る必要がある浜川崎駅では、このルールは対応していないため、設置されている簡易ICカード改札機(読み取り機)にカードを読ませてはいけない。
通過連絡運輸の非適用
JRにおいて通過連絡運輸が設定されている区間であっても、IC乗車券で乗車した場合はJR線区間の前後のキロ程は通算されず、それぞれの区間の運賃が別個に適用される(途中改札口を1度も通らない場合は下記と同様に全区間JR線扱いとなる)ため、磁気乗車券と比べて高額となる場合がある。ただし、東京メトロ千代田線北千住駅 - 西日暮里駅間を経由してJR常磐線山手線などをIC乗車券で乗り継ぐ場合に限り3区間個別の合計した運賃から100円減額されるというルールを新たに設定している(JR[1]+千代田線[160円]+JR[2]-100円。JRの1と2のキロ程は通算されない)ため、ICカードで乗車した方が安くなるケースがある。適用区間は常磐線 亀有駅 - 取手駅間と、山手線・埼京線赤羽線区間)・京浜東北線蕨駅 - 品川駅間)・宇都宮線赤羽駅以南)で囲まれた区域の各駅[注釈 1]の相互発着で、これらの各駅のきっぷうりばに掲げている運賃表にはICカードで乗車した方が安くなる駅が記載されている。なお、この他にICカード利用エリアで通過連絡運輸を行っている区間は、東京メトロ東西線中野?西船橋間経由のみである。
他の事業者を経由して元の会社線に乗り継ぐ場合
最初に入場した事業者の駅から途中一度も改札口を通ることなく、他の事業者を経由して元の事業者の路線の駅まで乗り継ぐ場合は、入場した事業者の路線のみで乗車できる経路がある時に限り、他線経由時の運賃の方が安い場合でも全区間最初に入場した事業者の路線のみ乗車したものとする。[6]ただし、他社と改札内を共有する共同使用駅中野駅西船橋駅北千住駅綾瀬駅八丁畷駅小川町駅 (埼玉県)寄居駅下館駅)で入・出場した場合は安い方の運賃を適用する。なお、西船橋駅ではJRとJR総武線(地下鉄東西線直通)・東京地下鉄・東葉高速線の改札が分離されるとともに乗り継ぎ用の自動改札機が設置されている(運賃の計算基準は変更なし)。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:51 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef