飛行機
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「ひこうき」はこの項目へ転送されています。フィッシュマンズの曲については「ひこうき (フィッシュマンズの曲)」をご覧ください。
ジャンボジェット機

飛行機(ひこうき、: airplane, aeroplane, plane)とは、空中を飛行する機械である航空機のうち、前方への 推力を得て加速前進し、かつ、その前進移動と主翼によって発生する揚力滑空および浮上するものを言う[1][2][3]
概説

飛行機というのは、航空機のうち、前方への推力を得て加速前進し、かつ、その前進移動と主翼によって発生する揚力滑空および浮上するもののことである。

なお形状は似ているが、動力を持たず、牽引されないと滑空しかできない航空機は「飛行機」には分類されず、グライダーと分類される。(ただし、飛行機とグライダーの中間的なもの、小さくて非力なモーターを搭載したモーターグライダーというものもあり、それに関してはどちらに分類するかは、文脈・分野にもよるので、やや曖昧な面もある。)

第二次世界大戦期には(軍用の)ロケット飛行機というものもあったがこの推進方式は一般化せず消えてしまい、ジェット機が一般的になったので、あまり言及されない。

飛行機は他の一般的な乗り物、たとえば船、鉄道、車、自転車などと比較すると移動速度が速い、という特徴がある。それと関連するが、飛行機は「移動距離あたりの」死亡事故発生割合が、船、鉄道、車などの乗り物よりも低いというデータを提示される。航空会社はしばしばそれを根拠に「世界で最も安全な乗り物」と宣伝する。ただし「単位移動時間あたりの」死亡事故発生割合のデータで比較すると、それらは異なった順位となる。また飛行機は、一度事故が起こると、甚大な被害になる場合が多いという特徴もある。

近年では、地球温暖化対策(脱炭素)を各国政府や国連が進めており、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}飛行機による移動は航空燃料を大量に燃やすので問題だと指摘されることも増えている。[要出典]@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}さまざまな飛行機

大型旅客機 ボーイング747-400(ジャンボジェット機)

小さめのジェット機、ビジネスジェットの例、HondaJet

プロペラで推進する比較的小さな飛行機の例、セスナ172RG

軍用の飛行機の例、F-2およびSu-30MKI

エアレース用(競技用)の飛行機の例(室屋義秀が操縦したジブコ エッジ540

飛行の原理「揚力」および「航空力学」も参照

簡単に言えば飛行機は、ジェットエンジンやプロペラ等を用いて前進することで、そのに対して「対気速度」を得て、それにより自身の重量より大きな揚力を得ることで上昇する。水平飛行の時は飛行機の重さと揚力が釣り合っている場合である[4]

飛行機を支える揚力というのは、空気の流れの(あるいはの)の一種である[5][注 1]

静止した物体にある速さの風が当たる場合と、ある物体が同じ速さで反対方向に進む場合では、風の力の生じ方は変わらない[5]。例えば静止した空気の中をジェット機が250m/sという速さで飛べば、250m/sという、ものすごい速さで風が前方から機体に当たってきている。風の力というのは風速2乗比例しており、台風の風速50-60m/sの風ですら家屋を破壊するような巨大な力を持っていることを思えば、ジェット機に働く風の力の大きさを想像できるようになる。翼の揚力は、同じ迎え角であると、速度の2乗に比例して増加する、また同一の速度であると、迎え角が大きくなるほど揚力は増加する。飛行機は、ある高さを保って水平飛行を続ける時は、揚力が重力とつりあい、かつ、推進装置の推力と飛行機全体に働く抗力がつりあうようにしなければならない。よって(水平に飛ぶ時は)、高速で飛ぶ時は迎え角を小さくし、低速で飛ぶ時は迎え角を大きくして、揚力と重力がつりあうように調整して飛んでいる[5]

なお、上記の説明だけだと、「翼の迎え角をどんどん大きくしてゆくと速度を落としても水平飛行可能」ということになるが、実際には迎え角がある限界に達した段階で失速という現象が起きる[5]。よって飛行機には安全に飛行できる最小速度というものがあり、それを「最小速度」や「失速速度」と呼んでいる[5]。それは例えば、ジェット輸送機だと一般に200-250 km/h程度になる。つまりこの場合、(かつての)新幹線の最高速度程度以上の速度は出さないと安全に飛べないのである[5]
構成・構造

平凡社世界大百科事典』(1988年版)では、飛行機の構造(あるいは構成[注 2])として「推進装置、操縦装置、胴体降着装置」を挙げている[6]。『飛行機の基本と仕組み』によると、飛行機を形作っている部品の数は、大型旅客機であるエアバス等の場合300万点を超えるが、構造物として大別すればいずれの飛行機も胴体・主翼・尾部の3つの部位に分けられる[7]

なお上記は飛行機の代表的な構造についての説明であり、それとは異なった構造の機種もある。例えば、B-2爆撃機のように胴体と尾翼を持たない全翼機も(少数ではあるが)実用化されている。
機体の構造
詳細は「機体」を参照飛行機における機体の構造、1. トラス構造(帆布) 2. トラス構造(波板金属板) 3. モノコック構造 4. セミモノコック構造

機体(つまり推進システムを含まない部分)の構造の種類としては、トラスビーム、ロッド、チューブ・ワイヤなどから構成された固定骨組み構造に外板として羽布を張り、羽布は基本的に強度を負担せず、固定骨組み構造が強度を負担するトラス構造がその一種である。このほか、アルミニウム合金の外板の内側にフレーム(助材)の骨組み構造部材を取付けたモノコック構造、アルミニウム合金の外板の内側にフレーム(助材)やストリンガ(縦通材)、ロンジロン(強力縦通材)の骨組み構造部材を取付けたセミモノコック構造がある[注 3][注 4]また、2枚の板状外板の間に芯材を挟んでサンドイッチ状にした板を外板に使用して、強度および剛性を大きくして、軽量化を図り、補強材の使用をこれまでより少なくして工数を大きく削減できるサンドイッチ構造があり、主に主翼に取付けられている動翼のスポイラーフラップ補助翼などで使用されている[8][注 5]

主翼詳細は「主翼」を参照大型ジェット旅客機の主翼と各装置類、1ウイングチップ・2補助翼(低速用)・3補助翼(高速用)・4フラップトラックフェアリング・5前縁フラップ(クルーガ・フラップ)・6スラット・7後縁フラップ(内側)・8後縁フラップ(外側)9スポイラー・10スポイラー(エアーブレーキ用)

主翼は、クッタ・ジュコーフスキーの定理により翼の上下に空気の循環が生じ、見かけ上、翼の下側より翼の上側のほうが空気の流れが速くなる断面形状をしている。(「翼の上面は下面より膨らんでいるが、上側を通る気流と下側を通る気流は同時に翼後端に到達するので経路の長い上側の気流の方が速くなる」という俗説は誤り。そもそも上側の気流と下側の気流が同時に後端に到達するという前提に根拠がないし、背面飛行や紙飛行機の飛行などを説明できない。)ベルヌーイの定理より、空気の流れが速い上部の圧力は下部より下がり、この圧力差により飛行方向に対して上向きの力(揚力)を発生する。一般に、低亜音速機に用いられる翼断面形(翼型)は上側が膨れた状であるが、飛行速度や用途によって様々な翼型がある。翼型と翼平面形(上から見た主翼のカタチ)は飛行特性に大きな影響を与える。効率的に揚力を発生させるには細長い平面形状が適する。主翼の縦と横の比率を「アスペクト比」(「縦横比」とも)と呼んでおり、翼幅2/翼面積で表される、アスペクト比が大きいほど、主翼に発生する揚抗比(揚力と抗力の比)が大きくなり、主翼の翼端渦により発生する誘導抗力が小さくなる。そのため、高く遠くへ飛ぶ飛行機は、主翼のアスペクト比を大きく設定した細長い翼が有利である[9]東京大学教授の鈴木真二によると、ライト兄弟の時代からアスペクト効果は理解されていたという[10]。ただし、あまりアスペクト比を大きくすると強度の問題等が出てくる

翼を長くすると揚力の面では優位であるが、当然の結果として翼の付け根の負荷が増大することは避けられない。高速で飛ぶ飛行機の主翼には、高速での空気抵抗が少ない後退翼が採用される。つまり、後退角を付けると主翼の前縁に音速付近での直角方向速度成分が少なくなり、衝撃波の抗力を少なくできる利点がある(この利点から主翼以外にも後退翼が採用される)。さらに揚力と速度の間の関係から、超音速機は速度が速い分翼が小さくて済む。このため、超音速機はではアスペクト比が極端に少ないデルタ翼やオージー翼が採用される。逆に揚力の面を重視する場合、例えば航続距離世界記録機の航研機や、高々度の極狭い速度領域を飛行するスパイ偵察機「U-2」ではアスペクト比(縦横比)の大きい翼が採用される[11]

翼の構造には、強度と軽量性を両立させるため、後述する胴体と同じくセミモノコック構造が採用されることが多い[12]

翼桁(ウイング・スパー): 翼の翼幅方向の曲げ荷重せん断力を主に受け持つ部材。小型機では片翼につき1本が多い。大型機では2?3本のものや、もっと多くのものがあり、補助的なものはストリンガと呼ばれる。

翼小骨(ウイング・リブ): 桁と直交する薄い板で、翼型をしており、翼型を保持する上で必要である。外板およびストリンガからの空気力を翼桁に伝える役目を持っているが、翼型を保持するのみで空気力を翼桁に伝える役目を持たない補助小骨がある。翼幅方向に多数が配置される。

外板(スキン): リブの表面を覆う薄い板。ねじり荷重を受け持つ。

翼桁・翼小骨・外板によって応力外皮構造であるトーション・ボックス構造を構成している。トーション・ボックスとは、ねじり荷重を機体に伝達する箱状の構造であり、曲げ・せん断力・ねじりに強くなっている。種類としては、1つの桁に前縁外板を取付けた構造の単桁応力外皮構造、前桁と後桁を横に配置して、その間の上下に外板を取付けた構造の2本桁応力外皮構造、前桁と主桁と後桁を横に配置して、その上下に外板を取付けた構造の3本桁応力外皮構造、2本桁応力外皮構造と3本桁応力外皮構造にストリンガを外板の内側の翼幅方向に取付けることでストリンガと外板に曲げ荷重を負担させるマルチストリンガ構造がある。翼桁は機体胴体内にある主翼の荷重を胴体に伝達する構造部材のキャリスル・メンバに、補助桁は機体胴体内にある取付け金具にそれぞれ取付けられるが、中・大型機では、キャリスル・メンバをトーション・ボックス構造にしており、左右の主翼をこれに取付けている。また、翼に発生する揚力などの空気力は、 外板→ 翼小骨 → 翼桁 → 胴体と伝わる。

翼桁の太さ・外板の厚さと材質はその部分にかかる応力に応じて設定され、翼の先端近くでは桁は細く外板は薄く設定される。最近ではこれらの構造を大きな金属槐から直接削り出す工法も採用されている。飛行中は主翼を上に曲げる方向に揚力が働くため、下面外板には引っ張りに強い素材、上面外板には圧縮に強い素材を選定する。戦闘機のような薄翼では、各場所にかかる応力に応じて素材を組み合わせて使う複合材料が多用される。

主翼内部のトーション・ボックスを耐燃料性シーラントにより密閉構造にして燃料タンクに使うことが多く、この方式をインテグラルタンクと呼ぶ。また主翼にエンジンや主脚などの降着装置を装備することが多い。攻撃機などでは主翼に兵装爆弾ミサイル増加燃料タンクをずらりとぶら下げているが、いずれの場合も主翼には充分な強度が要求され、脚や兵装の取り付け部は充分な補強が実施されている。

現代の飛行機は、特殊な場合を除き主翼は左右各1枚(単葉)である。主翼後部(後縁部)にはエルロン(補助翼)や、主翼の前部と後部には、離着陸の低速時に揚力を増大させるフラップやスラットなどの高揚力装置が装備される。主翼上面には、着陸滑走時や飛行中にエアーブレーキを掛ける際や主翼の揚力を減らすためのスポイラーを備えるものもある。また、また、主翼と胴体の結合部での渦の発生による抗力の増加を防ぐためのフィレットや主翼端での渦流の発生による抵抗を減らすためのウイングレットを装着するものもある。
操縦装置(補助翼、昇降舵、方向舵)

飛行機の操縦装置は、機体の3軸まわりの姿勢(ピッチングヨーイングローリング)を変化させるための主操縦翼面である補助翼・昇降舵方向舵を操作する主操縦装置と、エンジンおよびスロットルの操作や、フラップ、エアーブレーキ、タブスポイラスラットといった補助操縦翼面を操作する副操縦装置とに分けられている。後者はそれらを操作した場合の表示装置が必要である[注 6]人力操縦装置の索操縦系統での操縦翼面(補助翼、昇降舵、方向舵)の動き。操縦席から操縦翼面の間は2本の索による往復式で動かされている

また、操縦装置の種類は人力操縦装置、動力操縦装置、ブースター操縦装置、フライ・バイ・ワイヤ操縦装置に大別される。人力操縦装置は小・中型機で使用されており、操縦席と操縦翼面の間を索(ケーブル)、滑車、またはロッド、レバー等を利用したリンク機構で繋ぎ[注 7]、操縦翼面を人力だけで操作するものであり、工作や整備が容易で、信頼性が高い長所がある。


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