風立ちぬ_(2013年の映画)
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風立ちぬ
The Wind Rises

監督宮崎駿
脚本宮崎駿
原作宮崎駿
製作鈴木敏夫
出演者庵野秀明
瀧本美織
西島秀俊
西村雅彦
スティーブン・アルパート[註釈 1]
風間杜夫
竹下景子
志田未来
國村隼
大竹しのぶ
野村萬斎
音楽久石譲
主題歌荒井由実
ひこうき雲
撮影奥井敦[註釈 2]
編集瀬山武司
制作会社スタジオジブリ
製作会社日本テレビ
電通
博報堂DYMP
ディズニー
ディーライツ
東宝
KDDI
配給 東宝
タッチストーン
公開 2013年7月20日
2014年1月22日
2014年2月21日
上映時間126分
製作国 日本
言語日本語
興行収入120.2億円[2]
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画像外部リンク
風立ちぬポスター|英語版Wikipedia

『風立ちぬ』(かぜたちぬ)は、宮崎駿監督、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画

宮崎が『モデルグラフィックス』誌上にて発表した連載漫画『風立ちぬ』を原作とする。航空技術者堀越二郎の半生と、作家堀辰雄の小説の内容が、主な題材となった[3][4]。映画のポスターには両名の名を挙げており、「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」と記されている。

キャッチコピーは、「生きねば。」

2013年9月、宮崎は本作を最後に長編アニメ製作からの引退を発表したが[5]、のちに『君たちはどう生きるか』の制作にあたっている[6]
あらすじ

飛行機に憧れている少年・堀越二郎は、夢に現れた飛行機の設計家・カプローニ伯爵に励まされ、自分も飛行機の設計家になることを志す。青年になった二郎は東京帝国大学で飛行機の設計学を学び、関東大震災が発生した際に乗車していた汽車の中で偶然出逢った少女・里見菜穂子と、菜穂子の女中である絹を助ける。

世間は世界恐慌による大不景気へと突入していた。東京帝国大学を卒業した二郎は飛行機開発会社「三菱」に就職する。"英才"と会社から評価される二郎は上司たちからも目をかけられ、企業の命運を左右する一プロジェクトの頓挫やドイツへの企業留学など仕事に打ち込んだ。

その結果入社から5年後、大日本帝国海軍七試艦上戦闘機開発プロジェクトの先任チーフに大抜擢されるが、完成した飛行機は空中分解する事故を起こしてしまう。飛行機開発において初の挫折を経験し意気消沈した二郎は、避暑地のホテルで休養を取り、そこで思いかけずに菜穂子と再会する。元気を取り戻した二郎は、菜穂子との仲を急速に深めて結婚を申し込む。菜穂子は自分が結核であることを告白したが、二郎は病気が治るまで待つことを約束して、二人は婚約する。

しかし、菜穂子の病状は良くなるどころか悪化の一途を辿る。菜穂子は二郎とともに生き続けることを願い、人里離れた病院に入院する。二郎は菜穂子に付き添って看病したかったが、飛行機の開発を捨てるわけにはいかず、そのまま菜穂子と結婚して毎日を大切に生きることを決意する。

二人の決意を知った二郎の上司・黒川の自宅にある離れに間借りして、二人は結婚生活を送りはじめた。しかし、菜穂子は日増しに弱っていく。飛行機が完成して試験飛行が行われる日の朝、菜穂子は二郎を見送ると、置き手紙を残して密やかに二郎の元を去り、サナトリウムに戻る。

ふたたび夢に現れたカプローニ伯爵は、二郎が作った飛行機を褒め称えるが、二郎は自分の飛行機が一機も戻ることはなかったと打ちひしがれる。しかし、同じ夢の中で再会した菜穂子から「生きて」と語りかけられる。
作品解説零式艦上戦闘機(ゼロ戦)名古屋・三菱航空機旧本社 大江工場軽井沢・万平ホテルそれらの夏の日々、一面にの生い茂った草原の中で、お前が立ったまま熱心に絵を描いていると、私はいつもその傍らの一本の白樺の木蔭に身を横たえていたものだった。 ? 堀辰雄『風立ちぬ』〈序曲〉冒頭の一節[7](1938年)

アニメーション監督宮崎駿が「本気」[8]の引退を覚悟して作り上げた作品である。宮崎がこれまで手がけてきた過去作とは異なり、舞台を現実世界である大正から昭和前期[9]東京名古屋軽井沢などとし[10]、実在の人物である堀越二郎の航空機設計に情熱を注いだ約30年にわたる半生に、同時代を生きた堀辰雄の実体験をもとに執筆された恋愛小説『風立ちぬ』などの内容が盛り込まれた、ズタズタになりながらも一日一日をとても大切に生きようとした人物を描き出す壮大な物語[11][12]

宮崎によれば、「この映画は実在した堀越二郎と同時代に生きた文学者堀辰雄をごちゃまぜにして、ひとりの主人公"二郎"に仕立てている。後に神話と化したゼロ戦の誕生をたて糸に、青年技師二郎と美しい薄幸の少女菜穂子との出会い別れを横糸に、カプローニおじさんが時空を超えた彩どりをそえて、完全なフィクションとして1930年代の青春を描く、異色の作品である」[9]

本作の初号試写の際に宮崎は「恥ずかしいんですけど、自分の作った映画で泣いたのは初めてです」と声を震わせながら語った[13][12]
主題

「空に憧れて飛行機に乗りたかった少年が、設計者として美しい飛行機を作りたいという夢を持つ。ところが大人になると戦争の時代になって、彼が作らなければならなかったのは艦上戦闘機だった」という主人公が辿った足跡を通して、「戦争反対を主張しながら、一方では戦闘機などの兵器を好む」という宮崎駿が抱える「矛盾」の部分に向き合い、それに対する答えを宮崎はこの映画の中で明らかにしようとした[4][14]

題名の「風立ちぬ」は、宮崎本人による命名であり(ここで長編作品として『「の」の法則』が適用されない初の例となった[4][11]、堀辰雄の小説の題名から引用されたものであるが、その原典はフランス人作家のポール・ヴァレリーの詩『海辺の墓地』の一節"Le vent se leve, il faut tenter de vivre."である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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