風流夢譚
[Wikipedia|▼Menu]

風流夢譚
作者
深沢七郎
日本
言語日本語
ジャンル短編小説
発表形態雑誌掲載
初出情報
初出『中央公論1960年12月号
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示

『風流夢譚』(ふうりゅうむたん)は、深沢七郎短編小説。挿絵は谷内六郎の版画[1]
概要

『風流夢譚』は、中央公論1960年12月号に掲載された(発売は11月10日)[1][2][3]。夢譚(=「ゆめのはなし」の意)と言うように、全体的にシュールな展開で、主人公が見たの話であるという設定ではあったものの、「ミッチー」「美智子妃殿下」「昭憲皇太后」「ヒロヒト」などの呼称も見られ、「左慾」による天皇皇后皇太子皇太子妃の処刑の場面が登場し、主人公が皇太后を殴る・罵倒するといった内容であったため[4]名誉を傷つけるものとして宮内庁民事訴訟を検討するなど、発表当初より物議を醸した[5][1]。この、皇室を冒涜しているような「毒のある革命幻想譚」に対し[3]、「不敬」だという抗議が日に日に強まり、右翼団体中央公論社に直接押しかけるなど、社では出版業務に支障が出るまでになった[3]

しかし『風流夢譚』は意図された支離滅裂なストーリーであり、革命らしき騒動が起きた都心の人々や皇居前の出来事が描かれているが、最後までなんだかわからないことが進行中という夢の中の世界が劇画風に語られ[4][2]60年安保の批判的パロディや、挫折後のシラケた世相への皮肉であったり、皇后のスカートに英国製の商標が付いているなど、皇室批判あるいは野卑表現であったりと、作者が諷刺や滑稽小説を企図した作品であった[2][3][6]。反響としては、諧謔に捉えた「他愛のないもの」という少数意見もあったが、大半は「悪趣味」、「反人道的」、「生理的に受けつけられない」といった類の批判的な意見であった[6]

中央公論社では、当初は(内容の如何に関わらず)言論の自由表現の自由は守るという立場であったが、右翼団体の度重なる強い抗議や圧力が強まったため、次号に読者諸賢に深く遺憾の意を表わす「謹告」を掲載し、竹森清編集長と橋本進次長が更迭となった[1]。しかしその後、右翼少年が中央公論社の嶋中社長宅に侵入して社長夫人や家政婦を殺傷する「嶋中事件」が起こる事態となり、社は「お詫び」を全国紙に掲載して全面謝罪し、竹森にも退社処分となった[1]。嶋中社長は「くだらない小説」で載せる気はなかったと『風流夢譚』を酷評した[注釈 1]

一連の批判に衝撃を受けた深沢七郎はしばらく筆を絶ち、1か月間都内で警護されつつ身を潜めた後に記者会見を開き、「下品なコトバ」を使い「悪かったと思います」と謝罪し、世間から姿を消して1965年(昭和40年)まで地方を転々とし放浪(逃亡)生活をすることになった[6][5][3]。この死傷者を出した暴力事件により、言論・表現の自由が脅かされたという抗議が各所で起った[6][1]。当事者でなく、その家族らが殺傷されるというテロ行為への恐怖心から、出版の自主規制を余儀なくされることにもなった[1]

このような事情から、発禁になったわけではないのに、この小説は長く出版できずに海賊版が流布された。インターネット普及後はネット上で海賊版として公開されている。心ならずも人命が失われたことから、深沢は生前には復刻を拒否し、全集等にも収録させなかった。しかしその死後、著作権継承者の承諾を得て2012年に志木電子書籍から電子出版された[注釈 2]
あらすじ.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:29 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef