顎脚綱
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顎脚綱(顎脚類)
カイアシ類の1種(上)と鰓尾類チョウ Argulus japonicus(下)
分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
亜門:甲殻亜門 Crustacea
:顎脚綱 "Maxillopoda"

学名
"Maxillopoda"
Dahl, 1956
下位分類群


貝虫亜綱 Ostracoda

ヒゲエビ亜綱 Mystacocarida

鰓尾亜綱 Branchiura

舌形亜綱 Pentastomida

カイアシ亜綱 Copepoda

鞘甲亜綱 Thecostraca

ヒメヤドリエビ亜綱 Tantulocarda

顎脚綱(がっきゃくこう、学名:Maxillopoda)または顎脚類(がっきゃくるい、英:maxillopodan)は、1956年から2000年代まで採用された甲殻類分類群であり、貝虫類・鰓尾類カイアシ類フジツボ類などを含んでいた[1][2]。のちに多系統群と判明したため無効となり、ここに分類されていた甲殻類はお互いに別系統で、それぞれ多甲殻類貧甲殻類に再分類された[3][4]。これらは非常に多様で、全く異なる姿を取るものも多く、それ以外の甲殻類から区別できるほど共通な特徴をあげるのが難しい[5]
概説

顎脚類に含まれる甲殻類には、ごく小規模ものもいくつもあるが、特に多くの種を含むものとして、カイアシ類蔓脚類フジツボカメノテなど)がある。顎脚類が提唱される以前、蔓脚類はそもそも甲殻類であることすら認め難く、カイアシ類についても寄生性で大きく姿を変えたものも多く含まれため、これらを一群としてまとめる考えは長く出なかった。のちに化石節足動物カシラエビ類の発見によって、甲殻類の初期系統と考えられる分類群の見解が増えるにつれ、それと派生的甲殻類である軟甲類をつなぎあわせるものがあるとの考えが生まれた。その中間的位置に当たると考えられる甲殻類は、顎脚類としてまとめられた。

顎脚類は地質時代的にも古いものを含め、貝虫シタムシの化石は古生代カンブリア紀後期から知られている[6]。これは甲殻類の中では鰓脚類と並んで古い化石記録をもつものである。

しかし、甲殻類の中で顎脚類のみに共通の特徴をあげるのが難しく、1つの分類群として成立しない可能性がのちに浮かび上がる。これは2000年代以降の分子系統解析によって突き止められており、顎脚類はお互い別系統由来の甲殻類をまとめた多系統群であると判明し、無効の分類群として解体・再分類されるようになった[3][4]
形態

鞘甲類寄生性のカイアシ類のように変形の著しいものも多く、個々に適合させるのは難しいが、基本的な体の構造として以下のようなものが想定されている。

体は頭部胸部腹部に分かれる。先節と前5節の癒合でできている頭部は多くの甲殻類と同様、の前には単枝型の第1触角と二叉型の第2触角、口の後ろに1対の大顎と2対の小顎を持つ[7]。頭部以降は最多10節の体節があり[7]、これは前後で胸部と腹部にまとめられる。胸部は最多7節からなり、各節に1対の胸肢がある[7]。第1節のそれは顎脚となり、往々にしてこの体節は頭部と融合して頭胸部を形成する。それぞれの胸肢は二叉型で、最後尾は生殖関連の機能に特化して変形する例が多い。腹部は最多5節まで、付属肢はなく、最後端は肛門節で枝状肢が一対ある[7]
個別群との相違点

ただし上述のような基本構成が確認できるのは顎脚類の一部の群に過ぎない。成体でそれがほぼ完全に確認できるのは寄生性以外のカイアシ類である[7]。ヒゲエビ類では顎脚以外の胸肢が退化的な形で[7]鰓尾類ではさらに胸部が4節のみで、第1胸肢は顎脚に特化せず、腹部が肛門節のみほど退化した形で見られる[7]

鞘甲類の成体では固着性寄生性への適応から胴体の部分が大幅に単純化している。ヒメヤドリエビ類の場合、発生の過程が異なるため雄と雌では構造が異なる。鞘甲類ではキプリス幼生、ヒメヤドリエビ類ではタンツルス幼生が前述の基本形態により近い構造をもつ[7]。貝虫類では自由生活ながら胸部と腹部が癒合、数対の胸肢が欠失したと考えられる。

顎脚類の生殖孔の位置も分類群によって大きく異なる。例えばヒゲエビ類と鰓尾類の生殖孔は第4胸節にあるのに対して、カイアシ類の場合は第7胸節、鞘甲類に至っては雌雄それぞれ第1胸節と第7胸節に配置される[7]

なお、舌虫類の場合、分子系統解析や細部の形質で甲殻類であると判明したものの、成体・幼生とも甲殻類どころか節足動物であると確実に判断できる特徴がなく、分子系統解析で鰓尾類との類縁性を強く示唆した(ウオヤドリエビ類を構成する)ことがここに分類された理由となっている。
生殖と発生

一般的に雌雄異体で、体内受精を行う。単為生殖貝虫類とヒメヤドリエビ類に知られるのみ。幼生はノープリウスかメタノープリウスで生まれるものが多い。成長に連れて体節を増し、若干の変態が見られるものが多い。
歴史

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汎甲殻類

貧甲殻類

貝虫 *

ヒゲエビ類 *

ウオヤドリエビ類

鰓尾類 *

シタムシ *





多甲殻類

軟甲類

鞘甲類 *


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