頭蓋骨縫合早期癒合症
Child with premature closure (craniosynostosis) of the lambdoid suture
頭蓋骨縫合早期癒合症(とうがいこつほうごうそうきゆごうしょう、英:craniosynostosis)とは、頭蓋骨縫合が早期に癒合した結果生じる頭蓋の変形と、それにともなうさまざまな臨床症状を合わせたものの総称。「狭頭症(きょうとうしょう)」ともいう。 正確な調査はなく、1万人に1-2人ほどの割合で発症するとされているが、欧米では2000-3000人に1人との調査もあり、日本における発見率の低さが目立っている[1]。 上述した通り、日本では頭蓋骨縫合早期癒合症の発見率が低迷している。 発見率低迷の背景として、欧米と日本における沿革の違いがある。 欧米では、うつ伏せ寝が乳幼児突然死症候群の危険因子であることが判明したため、うつ伏せ寝の文化から仰向け寝の文化へと一大転換が図られた。しかし、その結果として乳幼児の頭蓋変形が飛躍的に増加し[2]、頭蓋変形に対する医学的な研究が発展するとともに社会的な意識も高まり、頭蓋骨縫合早期癒合症の発見率も上昇した。 他方、日本では、そもそも仰向け寝の文化であったことに加えて[3]、下記のような誤解が蔓延しているため、頭蓋変形に対する意識が高まらず、頭蓋骨縫合早期癒合症の発見率も低迷している。 頭蓋変形に対する関心の高まりと専門外来の普及が求められている[5][6]。 向き癖などにより乳幼児の頭蓋が変形してしまう位置的頭蓋変形症(英:positional skull deformity)との鑑別が必要である。 非症候性頭蓋縫合早期癒合症(英:nonsyndromic craniosynostosis)は、癒合する箇所によって以下のように分類される。 症候性頭蓋縫合早期癒合症(英:syndromic craniosynostosis)は、以下のような原因が考えられる。 外科手術を行うのが一般的である。 軽度三角頭蓋(英:mild trigonocephaly)に外科手術を行うべきか否かについて賛否が割れている。 下地武義 通説は、外科手術について否定的である。日本児童青年精神医学会理事会は、以下のような見解を表明している[12]。1.従来、発達障害に対する本術式の有効性は認められていない。 2.これまでの報告では発達障害の診断・治療効果の判定・予測されるリスクなどの検討がきわめて不十分であり、現時点では発達障害の治療として実験的治療と言わざるをえない。 3.さらにこの手術には発達障害の治療としてはさまざまな倫理的問題も指摘されており、本学会の倫理検討委員会において調査中である。 ? ⇒2005年12月 軽度三角頭蓋の外科手術に関する見解 また、日本自閉症協会も以下のような公式見解を表明している[13]。
疫学
問題点
背景
「頭の形は遺伝で決まる」という誤解
「頭の歪みは自然に治る」という誤解[4]
「いびつ頭は健康に影響しない」という誤解
解決策
診断
種類
非症候性頭蓋縫合早期癒合症
長頭長頭とは、矢状縫合が早期癒合することによって発症する。この長頭の亜型に舟状頭がある[7][8]
短頭短頭は、両側の冠状縫合が早期癒合することによって発症する。
三角頭三角頭は、前頭縫合が早期癒合することによって発症する。
斜頭斜頭は、片方の冠状縫合や人字縫合が早期癒合することによって発症する。
尖頭(塔状頭)尖頭は、複数の縫合が早期癒合することによって発症する。
クローバーリーフ頭蓋クローバーリーフ頭蓋は、複数の縫合が早期癒合することによって発症する。
症候性頭蓋縫合早期癒合症
クルーゾン症候群(英:Crouzon syndrome
アペール症候群(英:Apert syndrome
ファイファー症候群(英:Pfeiffer syndrome
アントレー・ビクスラー症候群(英:Antley-Bixler syndrome
カーペンター症候群(英:Carpenter syndrome
ゼーツレ‐コッツェン症候群(英:Saethre?Chotzen syndrome
治療
頭蓋形成術
内固定式骨延長法
外固定式骨延長法(多方向性頭蓋延長術、MCDO法)[9]
内視鏡支援下頭蓋開溝術[10]
軽度三角頭蓋の外科手術をめぐる論争
学説
肯定説
否定説
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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