響_?小説家になる方法?
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響 ?小説家になる方法?
ジャンル
青年漫画
漫画
作者柳本光晴
出版社小学館
掲載誌ビッグコミックスペリオール
レーベルビッグコミックス
発表号2014年18号 - 2019年21号
発表期間2014年8月22日 - 2019年10月11日
巻数全13巻
話数全114話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画映画
ポータル漫画映画

『響 ?小説家になる方法?』(ひびき しょうせつかになるほうほう)は柳本光晴による日本漫画作品。『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて、2014年18号から2019年21号まで連載された。コミックスの累計発行部数は233万部を突破している[1]

2017年マンガ大賞2017大賞を受賞[2]

2018年9月14日、『響 -HIBIKI-』のタイトルで実写映画が公開[3][4]
あらすじ

文芸業界が出版不況に苦しむ中、現状の厳しさを嘆く小論社の文芸雑誌「木蓮」編集部に、応募要項を一切無視した新人賞応募作が届く。誰にも読まれることなく破棄されるはずだったその作品に一人の編集者が目をとめたことから、文芸の世界は変わり始める。
第1巻 - 第4巻:新人賞受賞

作者の連絡先さえない新人賞応募作が木蓮編集部に届いた。「鮎喰響」という作者の名前しか分からない『お伽の庭』は、紛れもない傑作だった。作者が分からないことには出版できない。文芸誌編集者・花井ふみはどうにかこれを世に出そうと響を探して奔走する。

作者の響は高校に入学したばかりの15歳の少女だった。どこまでも自分の考え、やり方を貫き周りと衝突してしまう。文芸部で本の並べ方を部長の祖父江凛夏と言い争いになり、本棚を倒してしまう。

『お伽の庭』はそんな自分の価値観を確かめるために書いた作品であったが、彼女には並外れた感性と才能があった。一時は要項不備のためお蔵入りしかけるが、高名な小説家・祖父江秋人を父に持つ凛夏を通じて響と花井は接触し、『お伽の庭』は木蓮新人賞を受賞した。

響は小説を通じ様々な人々と出会うが、その姿勢は変わらない。無難な作品しか書けなくなった芥川賞作家に正面からつまらないと言い放ち、喧嘩を売ってきた新人賞同期受賞者を授賞式の壇上で殴打する。騒動を起こしながらも、その圧倒的な才能で人々の生き方を変えていく。
第4巻 - 第6巻:芥川賞・直木賞同時受賞

凛夏は二世・現役女子高生作家として小説家デビューして『四季降る塔』を発表し、20万部発行され一躍有名人になる。しかし響は正直にその作品をつまらないと言い喧嘩になってしまう。凛夏は芥川賞候補作の発表で響に勝負を持ちかけるが、響の『お伽の庭』が芥川賞・直木賞に史上初・最年少ダブルノミネートされる[注 1]一方、凛夏は候補に挙がらなかった。嫉妬が爆発し凛夏は思わず友達でないと響に暴言を吐いてしまうが、響はそれを本心じゃないと理解していて、2人は仲直りする。

史上最年少・史上初のダブルノミネート、さらに同時受賞まで成し遂げてしまった響の周囲は騒がしくなるが、響は賞に興味を示さず一切の取材を拒否し、ここでも彼女は自身の姿勢を変えない。しつこく付け回す週刊誌の記者のカメラを壊して自宅に乗り込んで脅迫し、フードで顔を隠して出席した受賞会見では花井に暴言を吐いた記者にマイクを投げつけ、フードを引き剥がそうとした記者を蹴り飛ばした挙句会見場の窓から逃走してしまう。その帰りに芥川賞受賞を4度目のノミネートで逃し、絶望で踏切自殺しようとした山本春平と出会う。駄作しか書けないから自殺するという山本に、響は自殺させないために線路内に留まり、非常停止ボタンを駅員が押し、寸前で電車は止まる。響の言葉に押され、山本は生きて小説家を続ける決意をした。
第6巻 - 第8巻:テレビ局襲撃

4月を迎え、響は2年生になった。『お伽の庭』は発売から2か月で170万部刷られ社会現象とまでなったが、響がその作者であることを知る者は凛夏、そして文芸部新入部員・柊咲希らごく一部であり、世間で「響」の素性は謎のままだった。一方響の性格・行動は変わらず、喧嘩を売ってきた新入部員を半殺しにするなど彼女らしく過ごしていた。

以前響はラノベを執筆している文芸部員・関口花代子に、アドバイスのつもりでヴァンパイアをテーマにした小説『眠る月』を執筆していた。この小説を花代子は気に入り、出来心でラノベ大手のNF文庫新人賞に無断で投稿してしまう。『漆黒のヴァンパイアと眠る月』と花代子によって改題されたこの小説は大賞を受賞し、アニメ化まで決まって騒動になってしまった。盗作であるため取り下げと賞の辞退を申し出る響と花代子だったが、アニメ化のプロデューサー・津久井は花代子が不用意に「響ちゃん」と口にしたことと文体から『お伽の庭』の作者「響」だと見抜き、そのキャラに惚れ込んで響をアイドル化しアニメをゴールデン枠に持ってくることを企てる。彼女の性格を見越して無許可でドキュメンタリー番組を作成する津久井であったが、それを知った響は番組を潰すと宣言。収録現場にテレビ局の社長を人質にとって乗り込み、収録を中止しなければ社長の指を折ると脅迫する。無関係な社長を傷つけず、津久井を欺くために本当に自身の指を折り、ついに番組を中止に追い込んだのであった。
第9巻 - 第11巻:高校文芸コンクール

『漆黒のヴァンパイアと眠る月』は「響」の2作目として出版され、初版だけでも30万部になった。凛夏も2作目『竜と冒険』を発表。前作よりも好評だったが、またしても芥川賞ノミネートはならなかった。親友・響の真摯な慰め言葉に、凛夏は素直に感謝することができた。

『お伽の庭』の芥川賞・直木賞同時受賞から1年が過ぎ、山本が5度目のノミネートでついに芥川賞を受賞した。一方、文学部全員で応募した高校文芸コンクールに、響は2時間で書き上げた短編小説『11月誰そ彼』で最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞した。期日ギリギリまで粘って描き上げ、自信を持って臨んだが入賞もできなかった咲希は、芥川賞受賞会見で「何年も努力して書き続け、ただ小説のことだけ考えて、そうやって俺は芥川をとれた」と答える山本に、涙が溢れた。

一方、高校文芸コンクールの審査員たちは『11月誰そ彼』の作者・鮎喰響が「響」であることに気づいており、それは総裁選を控えた文部科学大臣・加賀美祥吾にも伝わる。話題作りのためそのことを世間に明らかにしようとする加賀美を、響は表彰式の壇上で殴り倒す。凛夏は響の正体がばれないよう、審査員に掛け合い受賞取り消しを取り付けるが、会場から離れようとしていた響は、マスコミの目前で一昨年・昨年の最優秀賞受賞者・藤代琴子に捕まってしまう。表彰式を誇りに思い、それをぶち壊しにした響を許せないという琴子に対し、響は自分の非を認めて謝罪し、彼女にだけ自分が「響」であることを耳打ちする。琴子は立ち去ろうとする響に思わず「私『お伽の庭』大好きです!」と声をかけてしまい、これにより謎の存在とされていた「響」の素性が世間に知られることとなった。

その後、響は『11月誰そ彼』を読んだ加賀美と和解したが、周囲にはマスコミが押し寄せるようになる。それから逃れるために行方をくらまし、卒業してフィンランドへ旅立つ凛夏の見送りにも姿を見せなかった。そして新学年になると、響の退学が伝えられる。一方、凛夏の下宿先で過ごしていた響は、退学によりマスコミ報道が自粛されるようになったことを聞くと、その日のうちに日本に戻り復学。マスコミも響に接触するわけにも行かず、手玉にとられる結末となった。
第11巻 - 第13巻:文芸新雑誌「雛菊」創刊

響は、外国の小説を原語で読むためにイギリスへの留学を決意する。一方、小論社では花井を編集長として9月に文芸新雑誌を創刊することになる。その条件は響の新連載を始めることであった。新雑誌創刊の話を聞いた響は、海底都市で育った女の子が地上に出てきた話を書きたいというが、花井はいったんは、響に受験に専念してもらいたいからと、響が『お伽の庭』以前に中学3年生のときに書いた小説『ティンカーベル』を連載させて欲しいと頼む。しかしその後、絶対に受験に合格することを条件に海底都市の話の連載を依頼し、純文学の新雑誌創刊に参加したい響も受諾する。

ところが、新作の執筆に集中する響の前に人気漫画家・鏑木紫が現れ、『お伽の庭』の漫画版の連載許可を迫り、響と殴り合いになる。鏑木は担当編集の幾田を通じて『お伽の庭』の漫画版の連載の話を、響に無断で進める。さらに、『お伽の庭』漫画連載の話を聞いてアニメ化されると思い込んだアイドルグループ「檸檬畑48」のメンバー・高梨琴子が、響に主人公役の声優にキャスティングを依頼するが、漫画連載のことなど知らないという響に腹を立てて背中を蹴りとばす。しかし、響はそれらを相手にせず新作『青の城』の執筆に専念する。

その後、創刊号の原稿締め切りが迫る「雛菊」編集部に原稿がFAXで届く。響は花井に、鏑木や高梨にやられた分やり返すことを告げる。まず、番組収録中のスタジオで高梨を殴り倒す。その後、花井に会った響は、感激した花井に抱きしめられ「『青の城』本当に本当にすっごく面白かった!」と絶賛される。漫画版の原稿を入手した響は鏑木の自宅に行き、この作品は面白いと認めつつ、「喧嘩でケリをつけましょう。あなたが勝ったらこの原稿は返すし、連載もお好きにどうぞ。私が勝ったらこれはこの場で灰にする」と告げ、壮絶な格闘が始まる。体格・パワーで劣る響は様々な武器を用いて戦うが、鏑木にマウントを取られて首を絞められ、万事休したかに見えた。しかし、ポケットに隠し持っていたスタンガンで鏑木を失神させて勝利し、漫画原稿を燃やす。

ところが、書店で「雛菊」の横に並んでいる「週刊少年スキップ」に漫画『お伽の庭』が掲載されているのを見た響が鏑木に電話すると、コピーを使ったと言う。「原稿燃やすっつー約束は守ったろ」と開き直る鏑木に呆れる響は、さらに「それとも次は連載権かけて喧嘩するか? 次は一切油断しない」と言う鏑木に、「めんどくさい。もういい。好きにして」と投げやりに応える。

一方、創刊号のため通常の純文誌の3倍の3万部を刷った「雛菊」は、各書店売り切れ続出により、1万部増刷が決まり、花井をはじめ編集部内は大いに盛り上がる。
第13巻:卒業、そしてイギリスへ

文化祭も終えて、イギリス留学のためにアイエルツの試験を受けた響は、イギリスの大学に行くための「公立カレッジ」への入学に必要な総合評価5.5以上を上回る「6.0」を得て、イギリス行きを確定させた。あとは卒業式を待つだけとなった響に、元・生徒会長の塚本真希が、卒業式で答辞を読んで欲しいと依頼する。卒業生みんなにとって響と同じ学校にいたことは自慢で誇りであり、響に答辞を読んでもらうことでみんなにとって最高の卒業式にしたいと熱く訴える塚本には好感を覚えるが、面倒だからとその後も断り続け、ついに卒業式当日には雲隠れする。そして、暇だからと文芸部の部室に籠る響を、1年生部員の安達悠音と小池望唯がこのまま見逃すのはヤバいと二人で響を抱えて無理やり式場へ連れて行く。響の登場に盛り上がる生徒たちを前に観念して壇上に上がり、いったんは話をしかけるが、こういう式典の話は好きじゃないと、代わりに塚本に向かって「私は明日からイギリスで暮らす。今は明日が楽しみで仕方ない。先のことしか考えられないの」と答辞に代えて語る。最後に皆に向かって、心がこもってなくて悪いんだけどと前置きして「3年間ありがとう」と締めくくって卒業式を終える。


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