音楽隊_(陸上自衛隊)
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中央音楽隊(2008年4月)

音楽隊(おんがくたい)は、諸外国の軍楽隊に相当する陸上自衛隊の部隊である。陸上自衛隊の職種の一つである「音楽科」(おんがくか、: Band)の隊員で編成され、音楽演奏を主な任務とする。同様に海上自衛隊航空自衛隊にも、それぞれ音楽隊が編成されている。「音楽隊 (海上自衛隊)」および「音楽隊 (航空自衛隊)」も参照
解説
任務東日本大震災における被災者慰問演奏
(東北方面音楽隊、2011年3月29日)

陸上自衛隊音楽隊の任務は次のとおりである[1]
隊員の士気高揚のための演奏

儀式のための演奏

広報のための演奏

必要に応じ、指揮所の警備

編成

陸上自衛隊には次の21隊の音楽隊がある[2]
中央音楽隊
防衛大臣直轄。英語名称は「JGSDF Central Band」。
方面音楽隊 (5隊)
方面総監直轄。各隊の名称は「陸上自衛隊○○方面音楽隊(JGSDF ○○ Army Band)」。
師団・旅団の音楽隊(15隊)
各師団・旅団長直轄。各隊の名称は「陸上自衛隊第○音楽隊(JGSDF ○th Band)」。

祭事やオリンピックなどの大規模な行事の際は、複数の音楽隊の合同編制となる場合もある。これら以外で音楽隊を名乗るもの(「○○駐屯地音楽隊」など)は隊員の課外活動であり、音楽演奏を主な任務としている音楽科の部隊ではない。
装備・制服通常演奏服装第2種夏服
(北部方面音楽隊、2008年9月)

主な装備品は楽器人員輸送車等。音楽科の隊種標識の色。職種徽章は、リラ(古代メソポタミアエジプトギリシアなどで用いられた竪琴)の下部に桜星を配し、外側をで囲ったもの。音楽隊の隊旗の意匠は、桜色の地色に濃黄の帽章、紺青の横線[1]

音楽科隊員の演奏時の制服は、別途定められており、階級章も装飾の付いた特別なものが用いられる。
隊員の処遇
採用

音楽隊員になるためには、自衛官採用試験に合格するだけでなく、各音楽隊で実施される部隊説明会で実技を行う必要がある[3]。音楽隊員になることができる自衛官採用試験の区分は、自衛官候補生一般曹候補生および一般幹部候補生である。自衛官候補生と一般曹候補生は入隊後、採用区分別に、戦闘訓練など自衛官としての基礎教育を3か月間[4]、一般隊員とともに教育隊で受ける。一般幹部候補生は、将来の隊長候補たる幹部自衛官に必要な知識と技能を身につけるために、陸上自衛隊幹部候補生学校で約10か月間の教育訓練を受ける[5]。その後、中央音楽隊において音楽科教育を受け、修了後に各音楽隊へ配属される。

例年、300人程度の受験者の中から、陸上自衛隊音楽隊全体で30?40人程度が採用される。採用者のほとんどは音楽大学・音楽短期大学および音楽専門学校の出身者である[3]。陸上自衛隊の他の職種からの採用もあり、第10音楽隊長などを勤めた稲積英典は、高等学校吹奏楽部でサクソフォーンを覚え、駐屯地施設科から実技試験を受けて音楽隊に入った[6]
教育

陸上自衛隊では、すべての音楽隊員が理論と演奏の初・中・上級教育を受けるほか、編曲法、ドリルコンテ作成、音響機材操作など専門実務の教育も行っており[5]、音楽隊員に対して次の教育課程がある[2]

陸上自衛隊音楽科の教育課程課程名期間
音楽科初級幹部集合教育12週
上級陸曹特技課程「楽手長」10週
初級陸曹特技課程「音楽」18週
一般陸曹候補生課程後期「音楽」13週
新隊員特技課程「音楽」13週
陸士初級音楽集合教育10週・隔年

また、これら内部教育に加えて、幹部自衛官には武蔵野音楽大学東京芸術大学での研修制度もあり、それぞれ1年間、指揮作曲などの教育を受ける[5]
日常の業務

日々の訓練においては演奏訓練が主体であるが、自衛隊員として共通の訓練や体力錬成も行う[1][7]

通常の楽団では裏方に相当する業務、すなわち演奏会の企画などの事務作業から、車両の運転やステージの設営に至るまで、演奏者である音楽隊員が分担して行う[8][7]。また、陸上自衛隊の他の職種と同様に駐屯地の警衛(24時間の当直警備)も行う。音楽の前に自衛官としての任務が優先されるため、警衛勤務の直後に演奏会本番に臨むこともある[9]
定年

自衛隊の多くの職種では、1佐以下の階級の者の定年は60歳未満(2曹・3曹の54歳から1佐の57歳まで4段階)であるが、音楽の職務にたずさわる自衛官の定年は、階級にかかわらず60歳と定められている[10]
陸上自衛隊中央音楽隊

中央音楽隊
韓国・鶏龍軍文化祭り(朝鮮語版)に参加する中央音楽隊(2011年10月)
創設1951年昭和26年)6月1日
所属政体 日本
所属組織 陸上自衛隊
兵科音楽隊
人員約100名(演奏者 約70名)
所在地東京都練馬区
上級単位防衛大臣直轄
担当地域日本全国
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陸上自衛隊中央音楽隊(りくじょうじえいたいちゅうおうおんがくたい)は東京都埼玉県にまたがる陸上自衛隊朝霞駐屯地に駐屯する、防衛大臣直轄部隊の一つ。音楽科要員の教育を担当するための「教育科」が設けられているため、隊編制ではあるが各職種学校と同等の扱いを受けている。国賓等に対する「特別儀仗演奏」の任務を与えられている日本で唯一の音楽隊であり[11][12]、また、日本を代表する吹奏楽団を称する[5]。年間90回ほどの特別儀仗演奏も含めて、年間190回ほどの演奏を行っている[7]。陸上自衛隊の他の音楽隊とは異なり、警備の任務は課せられていない[7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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