韓流
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韓流
各種表記
ハングル:??
漢字:韓流
発音:ハルリュ
日本語読み:かんりゅう
ローマ字転写:Hallyu
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韓流(かんりゅう[1]、ハンリュー[1]: ??, : Korean wave)は、1990年代後半から2000年代以降に東アジアで起こった韓国大衆文化の流行を指し、台湾、中国、日本、そして世界へと広がり続けている[2][3][4][5][6]

2000年には音楽デュオ・クローン(英語版、朝鮮語版)の楽曲「初恋」が台湾でヒットし、音楽においても注目され始めた[6]。また、日本では2003年頃から韓国ドラマ冬のソナタ』放送が契機となって始まった[7][4][8][9]。ドラマ、映画、音楽などの韓国大衆文化の高まりにより、韓国のブランドイメージの上昇と関心向上、外交への貢献などの波及効果などがあった[10][11]

なお、韓国では韓流に対応する日本の大衆文化の流行を指す言葉として日流(イルリュ、??)がある。ただし、よく使われる表現ではない。また日本で中華文化圏の大衆文化の流行を指す言葉は華流(ファーリュー)[12]と呼ばれる。
発音

日本語読みは本来ならば「かんりゅう」であり、普及当初はNHKをはじめとする多くのメディアも採用したが、ファンを中心に中国語の「ハンリウ(Hanliu)」や朝鮮語の「韓(ハン、?)」の発音に合わせ「ハンりゅう」という読み方が広まり、次第にメディアも用いるようになった[13]。韓国内でも中国語に合わせ「ハンリュ」と発音する向きはあるが、標準語の発音は「ハルリュ(??)」である[14]
韓流振興の概要

1997年のアジア通貨危機によって韓国がIMF危機と呼ばれる国家的経済危機に陥ると、韓国は経済再建の戦略として文化産業振興を掲げて、1998年に金大中大統領の『文化大統領』宣言に基づき、1999年、法律的な土台として『文化産業振興基本法』が制定され、2001年にコンテンツ産業を専門的に支援するための中心的な政府機関となる「韓国文化コンテンツ振興院」が設立され、文化産業の育成と輸出振興のための助成が行われた。韓国内各地の大学にも実用音楽科や映像学科、また専門学校も多数設立され、K-POPや韓国ドラマブームの担い手が育つこととなった[15][16][17][18]。日本のテレビドラマの価格上昇や香港映画の衰退などの追い風も受けて、韓国の俳優や音楽など大衆文化に対する人気が高まってブームが形成された[19][20][21]。この現象が台湾で「韓流熱風」と言い表され、2001年には日本でも「韓流」という言葉が用いられるようになり、韓国に逆輸入された[11]
投資

K-POPを対象としたETFの発行で、アメリカ合衆国の投資家らは韓国のエンターテインメント産業に触れることになっており、「KPOP and Korean Entertainment ETF(KPOP ETF)」で、テーマ投資戦略を個人投資家などに提案するアメリカ金融市場のトレンドを継続し、ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange)で取り引きを始めたKPOP ETFは、日本の証券コードに相当するティッカー・シンボルは「KPOP」で、韓国取引所(Korea Exchange)に上場しているエンタテインメントやインタラクティブ・メディア事業を行う企業に投資できるようになっている[22]
アジアでの評価・影響

1990年代末期から、韓国のテレビドラマや映画がアジア各国へ輸出されているが、韓流商品の2012年の売上高はアジアが99%(うち日本が80%). でアジア(特に日本)に集中している. 後には、中国への輸出が増加し、日本での売上高は減少した[23]。また、韓国の芸能人は高い収益を目的に、韓国の国威掲揚や海外ファンとの交流なども兼ねてアジアに進出している[24]。2011年11月、韓国の海外文化広報院は日本、中国、ベトナムなどアジアの8地域に84の韓流ファンクラブがあり、会員231万人が所属していると公表した[25]。新韓流の主役であるK-POPは、アジア諸国や北米・欧州でもファンが増え、第25回韓国ゴールデンディスク大賞では70万人のアジアのファンが投票に参加したと発表している[26][27]
台湾

K-POP、韓国ドラマ、韓国映画、韓国料理など、韓国のポップカルチャーはどれも台湾で人気がある[28]、台湾人は韓国に対して非常に肯定的な評価をしています[29][30]
東南アジア

シンガポール、タイで、韓国ドラマがしばしば放送されている[31]
北朝鮮

2000年代、韓国は、北朝鮮に対して「太陽政策」をとっていたため、韓国のエンターテイメントが北朝鮮国内でも視聴されていたが、2010年に、韓国がこの太陽政策を終了したため、以降、北朝鮮では、韓国のドラマ・歌謡曲などはすべて禁止されている。韓国エンターテイメント関連の視聴禁止を破った未成年の刑罰は5年未満とし、刑務所ではなく若者向けの労働収容所に送られていた。しかし、2020年には、韓国のエンターテイメントの映像を見たり配信したりすることの最高刑は、死刑まで適用可能となっている。2022年に、10代の2名の男子が、韓国ドラマ視聴の犯罪のために、数百人の衆人のなかで手錠をかけられ、12年の重労働の刑罰を言い渡される映像が、北朝鮮政府により撮影され、イデオロギー教育と「退廃的な録画」の禁止・警告目的で国内配布されている。その映像内で、韓国文化の広がりに対して「腐った傀儡政権の文化が10代の若者にまで広がっている」という言及がある。2024年1月18日のBBCコリアの取材によると、脱北者が、「アメリカのドラマを見ていて捕まっても、賄賂を払えば逃げられる。でも韓国のドラマを見ていたら銃殺される」と、話している。[32]
中国

中国では、2006年に入って自国ドラマ保護の観点から、韓国ドラマを規制する動きが表面化している。2006年10月27日付の朝鮮日報によると、KBSの放送映像物の輸出は前年比67%減となった[33]。しかし、学歴や所得水準が低い中国人に韓流ドラマの人気は高く、その理由をソウル大学メディア情報学科のカン・ミョング教授は「韓国ドラマはロジックに乏しく、視聴時に脳を動かす必要がないことが低収入・低学歴の層に受け入れられている」と分析している[34]。また、韓国の化粧品ブランド「ラネージュ」は韓流女優を前面に出した広告宣伝を積極的に行い、低価格コスメのシェアを急速に広げている[35]

また、一部の歴史ドラマ(「朱蒙」(2006年MBC)「太王四神記」(2007年MBC)「風の国」(2008年KBS2)「淵蓋蘇文」(2006年SBS)「大祚榮」(2006年KBS)など)は中国政府による高句麗渤海への歴史認識(東北工程)に反するので、中国では放送禁止となっていた。

2016年7月のTHAADミサイルの韓国配置に反発する措置として、中国で韓流スターの露出を制限・禁止する「限韓令」が出ていた。同年8月以降、テレビで韓流スターにモザイクがかけられたり、中国で映画を撮影する予定だった韓国人監督にビザがおりなかったりすることがあった。同年11月には韓国団体の中国での演出禁止、新規韓国芸能企画会社に対する投資禁止、1万人以上を動員する韓国アイドルの公演禁止、韓国ドラマ・芸能協力プロジェクトの締結禁止、韓国芸能人が出演するドラマの中国内での放送禁止などの追加措置が発動した。韓国企業・ブランド・広告モデルなど、韓国を表すあらゆる要素についても放送を禁止する条項も含まれていたという[36][37]。ただ、口頭で指示されることが多く、裏付けが難しかった[38]
欧米での評価と影響力

韓流が日本で流行すると、日本でブームになった大衆文化として韓流の付加価値が生じて韓流への注目が高まり、欧米への普及が進んだ[39]
アメリカ

2000年代の中期、アメリカにも多数の韓国テレビドラマが進出したが、アメリカ芸能雑誌「ハリウッド・レポート」と「ビルボード」の記者であるマーク・ラッセルは、韓流などというものは存在せず、「死んだと表現さえできない、最初から生きていた時もない虚像だ」と述べ、“韓流”をゾンビ・ウェーブ[40]と名付けた。


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