韓国の地方自治
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ソウル市庁舎(後方建物は2012年から使用開始された新庁舎、前方建物は2008年まで市庁舎として使用されていた京城府庁舎

韓国の地方自治(かんこくのちほうじち)では、大韓民国(韓国)における地方自治の詳細について取り上げる。
概要

1948年7月17日に制定・公布された大韓民国憲法の96条と97条で地方自治は明記されていたが、李承晩大統領の反対で実施が見送られていた。その後、1952年に初めて地方議会議員選挙が行われたが、同年に行われた大統領選挙において地方議員を通じた大統領支持勢力を確保するために行われたものであった。1960年4月の学生革命によって李承晩大統領が退陣した後に発足した第二共和国において初めてソウル特別市の首長と議会議員を選出するための選挙が行われ、地方自治が本格導入された。しかし、翌61年5月の軍事クーデターによって地方議会が解散され、首長も任命制になったことで地方自治は中断された。以後、第5共和国時代の1984年11月に政府が一部地域における地方自治実施を模索したが、1987年6月の民主化の過程で立ち消えとなった。1987年6月29日に発表された「民主化宣言」には地方自治の実施も盛り込まれ、二年後の1989年に与野党間で地方自治実施が合意された。そして1991年に地方議会議員選挙が実施され地方議会が復活、四年後の1995年には地方自治団体長の公選も実施されたことで地方自治が1961年以来、34年ぶりに完全復活した。
地方自治制度の沿革
大韓民国建国(1948年)から1979年まで

1948年7月に制定、8月に施行された大韓民国憲法に基づき、1949年7月に地方自治法を制定した。地方自治法では広域自治団体としてソウル特別市と道が、基礎自治団体として「市」と「邑」それに「面」が設置され、それぞれ任期4年の議会を設置すると規定されていた。そしてソウル特別市と人口50万人以上の市では区を、道の下には郡を、市・邑・面及び区の下には洞と里がそれぞれ設置された。首長についてはソウル特別市と道は大統領が任命、市・邑・面は各地方議会の議員による投票で選出された。その後、1954年の自治法改正で市・邑・面の首長選出は住民による直接選挙となったが、1958年の第4次改正で再び任命制となった。

1960年4月の学生革命後の第3次改正憲法(第2共和国憲法)に置いて「地方自治団体長の選任方法は法律でもって決定し、少なくとも市・邑・面の長はその住民が直接これを選挙する」と定められ、市・邑・面の首長の住民公選を憲法で保障し地方自治をより強化した。しかし、翌61年5月に発生した軍事クーデターによって地方議会が解散された上、同年9月1日に制定・公布され10月1日から施行された「地方自治に関する臨時措置法」(以下「臨時措置法」)によって従来からの地方自治法はその効力を停止され、地方行政は官治的性格が強い制度に改められた。また基礎自治団体としての「邑」と「面」は廃止され、新たに「市」と「郡」が基礎自治団体となった。市と郡には国家公務員が配置され、首長は任命制となった。

1962年12月の第5次憲法改正(第三共和国憲法)では、地方自治団体の権能が大幅に制限され、附則によって「この憲法による最初の地方議会設置時期については法律で定める」と規定されたことで地方議会の設置も先延ばしされた。その後、1972年10月の所謂「10月維新」の後に行われた12月の第7次憲法改正(維新憲法)の附則で「この憲法による地方議会は祖国統一が成し遂げられるまで設置しない」と規定されたため、地方議会の設置は事実上閉ざされることとなった。
1979年?現在

1979年10月の朴正熙大統領暗殺事件以後、1980年10月27日に第8次憲法改正(第5共和国憲法)が行われ、地方議会設置時期に関しては附則第10条で「この憲法による地方議会は地方自治団体の財政自立度を勘案し順次設置することとするが、設置時期は法律で定める」とされた。これに従って1984年11月23日に与野党は「1987年上半期までに適当な一部地域で地方議会を一時的に構成し、条件が整い次第順次拡大実施すること」で合意し、地方議会が復活する機運が生じてきた。

1987年6月の民主化宣言に基づいた同年10月29日の第9次全面改正(第6共和国憲法)で大統領直接選挙制を軸とする民主化が実現した。この流れの中で地方自治復活の気運も高まり、1988年4月6日には地方自治法が全面改正され、これまでの臨時措置法は廃止された。この時の地方自治法改正では、地方自治団体長の公選制が明記された他、特別市と直轄市(現・広域市)に基礎自治体としての自治区が設置された。また地方議会議員選挙法も制定され、1989年4月30日までに市・郡・自治区の議会を構成、市・郡・自治区の議会が構成された2年以内に市・道の議会を構成することも定められた。しかし、第13代国会構成に伴う政治情勢の変化で選挙の実施は大幅に遅れた。

その後、1989年の定期国会にて地方議員選挙は1990年上半期以内に実施、団体長選挙は91年上半期以内に行うことで合意がなされたが、地方議員における政党推薦問題で与野党間の折り合いがつかず延期された。90年11月17日、1.地方議会議員選挙は1991年上半期に実施、2.団体長選挙は議員選挙後1年をめどに実施する、3.政党公薦は広域議会のみで許容することなどで与野党が合意、1991年3月に基礎議会(市・郡・自治区)、6月に広域議会(直轄市・道)の議員選挙がそれぞれ実施され、地方議会が61年以来30年ぶりに復活した。自治団体長の公選制は4年後の95年6月の第1回地方選挙から実施された。

地方自治法については88年の第6次改正以降、法適用過程における問題の解決や地方分権の流れを受け2007年までに合計31回の改正が行われてきた[1]。一連の法改正で、従来からの市と郡を統合した都農複合形態市の設置、「直轄市」から「広域市」への名称変更、住民直接発案制導入(条例制定権・改廃請求権・住民監査請求権)、住民召還制度(リコール)導入、人口50万人以上の市における行政範囲を拡大する特例規定、特別自治道の設置など住民自治を充実させるための制度が盛り込まれた。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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