非植民地化
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1945年(第二次大戦後)時点の植民地(この図には本国も含まれている)

脱植民地化(だつしょくみんちか、英語:Decolonization)とは、植民地が宗主国からの独立を獲得する過程であり、植民地化に対立する概念である。非植民地化ともいう。

脱植民地化は独立の獲得、支配国や他の国家との統合、あるいは「自由連合」(free association)の状態を確立することによって達成される。国際連合は脱植民地化の過程においては人民の自決以外の原則はありえないことを明言している。脱植民地化は平和的かつ革命的に行われる場合もあれば、現地民による暴力的反乱を伴う場合もある。なお、厳密な意味では「脱植民地化」は帝国の崩壊による宗主国の消滅とは区別され、その時期は一般的に以下に示すヨーロッパ宗主国からの独立という二つの大きな波を指す。

18世紀末から19世紀にかけて、アメリカ独立戦争を皮切りに南北アメリカ大陸の脱植民地が起った。アメリカ独立戦争は現在のアメリカ合衆国である地域におけるイギリスの支配に対する入植者の反乱であり、その流れはラテンアメリカにおけるスペイン帝国ポルトガル海上帝国の支配体制崩壊に至った。

一方、20世紀21世紀の「脱植民地化」は、第二次世界大戦以後の、アジアおよびアフリカにおける多くのヨーロッパ諸国の植民地、保護国(従属国)の独立の達成を指すのが通常である。この流れはポストコロニアル理論と呼ばれる文芸批評運動とも連動している。1945年から1960年の間は、1947年のイギリスからのパキスタンインドの独立をはじめとして、特に活発に脱植民地化が行われた時期であった。
目次

1 方法と段階

2 広義の脱植民地化

3 脱植民地化の歴史

3.1 18・19世紀

3.2 戦間期及び第二次世界大戦中

3.2.1 西ヨーロッパ列強

3.2.2 米州

3.2.3 日本


3.3 第二次世界大戦以後今日まで

3.3.1 東欧

3.3.2 米州

3.3.3 清帝・中国

3.3.4 中華民国政府のチベット領有宣言



4 国連決議「植民地独立付与宣言」

5 脱植民地後の組織

6 立場の相違

6.1 脱植民地化と政治不安

6.2 経済効果

6.3 入植者

6.4 冷戦時代

6.4.1 共産主義者・社会主義者の反植民地主義



7 関連項目

8 参照

9 (英語版の)参考図書

10 外部リンク

方法と段階

脱植民地化は政治的な過程であるが、しばしば暴力的闘争を伴う。状況が極度に緊迫すれば、革命に続いて独立戦争が生じる場合もあるが、より一般的には大きな流れとして、交渉が決裂し、小規模な騒乱が起こり、これが警察や軍によって鎮圧され、更に過激な反乱へと拡大し、交渉に次ぐ交渉が重ねられ最終的に独立が保証されるという展開をとる。例えばフランス領インドシナでは独立戦争が発生したが、フランス領西アフリカの(マグリブ諸国を除く)一部の国では暴動と交渉の繰り返しによって脱植民地化が図られた。また稀な場合ではあるが、インドの例などでは、現地民側は非暴力の立場をとり、暴力は占領者側からの抑圧や、独立によって不利益を被ると感じる少数派現地民の政治的反抗の手段として用いられている。脱植民地化の過程は、新たに独立する国の「事実上」の政権が、国際社会より「法的」な主権国家として認められてはじめて完遂される。

独立は外部勢力からの刺激や実際的援助なしに達成することは困難ではあるが、このような援助を行う動機はさまざまである。民族や宗教を一にする国家からの被抑圧民への同情に起因する場合もあれば、強力な国家が、覇権を争ったり敵対したりしている国家の勢力を弱めたり、自身の勢力範囲を拡大するための戦略的行為として植民地の解体を試みる場合もある(アメリカ合衆国による西半球全体への戦略であるモンロー主義など)。

第一次世界大戦以後、国際世論は植民地解放賛成に傾き、国際連盟による植民地解放への制度的な集団的取り組みが行われ、国際連盟規約第22条に基づき、多くの委任統治領がおかれた。これは名目上はこれらの地域における自治政府設立の準備を目的としていたが、実際はドイツオスマン帝国を主とする敗戦国の旧植民地支配権の再配分に過ぎなかった。この再配分制度は国際連合にも引き継がれており、日本を含む第二次世界大戦敗戦国の旧植民地や委任統治領の支配の調整を行うために信託統治制度がおかれた。

ジブラルタルフォークランド諸島など一部の植民地では、植民地状態を継続することを住民投票により選択している。


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