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を参照してください。(2010年8月)静音パソコン(せいおんパソコン)とは、明確な定義は存在しないもののデスクトップパソコンないしその周辺機器から発する騒音を抑えた、さらには無音化したパソコン全般を指す言葉である[1]。日本語において騒音が少ない状況を表す語は「静穏」であるが、これを冠し「静穏パソコン」と表記されることは少ない。
主な騒音源である、電源・CPU・グラフィックカードの冷却用ファン音の低減をはじめとし、さらにはHDDの回転にともなう振動とヘッドの駆動音を避けてSSDにより無音化する、などが主とした静音化である。 Cray-1の、「まるで直冷式の冷凍庫に電子回路を組み込んだような」構造などで知られる通り、大量かつ高速の計算を電子的におこなう際には、大量の熱の発生がともなう。パーソナルコンピュータにおいても1990年代後半より顕著となった。 パーソナルコンピュータで使用されるマイクロプロセッサの消費電力は、当初のNMOS時代からCMOS化によって一旦は劇的に減少した。しかし、CMOSプロセッサの消費電力は、クロック周波数と集積される回路規模に比例して増える。プロセッサの消費電力はそのまま熱になる。そのため、性能向上に従って急激に発熱が問題となり、デスクトップパソコンでは486?Pentiumプロセッサの頃からCPUの強制冷却が必要になった。微細化や低電圧化によりある程度キャンセルされていたが、2000年ヒトケタ代後半には低電圧化は鈍足化し微細化ではむしろリーク電流による消費電力増が効いてくるようになった。 電源装置は、元々効率があまり良くなかった時代にはむしろ主たる発熱源であり、パソコン筐体内の冷却は昔は電源を主に設計されていた。効率は向上したが、前述のCPUや後述のグラフィックプロセッサにより、また内蔵される機器の多種多様化などにより消費電力が増加したためそれを供給する電源の発熱も増加し、電源装置の冷却の必要性は変わらなかった。また、他の機器によって熱を持った空気がトラブルの原因となることから、冷却を独立させることが重要となった。 ビデオカードに搭載されるグラフィックプロセッサも、性能向上によりCPUと変わらない程の熱を発するようになり、冷却が必要になった。 以上のように、パーソナルコンピュータでも強力な強制冷却を必要とするようになったため、その騒音が問題点となった。 特にDVDやTVなど、マルチメディア機能がパソコンに搭載されるようになって以降は、快適な視聴環境の指標としてパソコンの静音性は、性能の一指標として扱われるようになった。メーカー製パソコンにおいても、静音性のあるパソコンを製造するメーカーが近年あらわれており、具体的に音圧レベル(dB単位)を公開しているモデルのあるメーカーも幾つかある。 自作パソコン愛好家の中でも性能よりも静音性を重視する層が一派をなしており、そういった静音派向けの雑誌も販売されている。前述のような視聴覚用途以外に、俗に自宅サーバ等と言われる、住宅内で稼働させ続ける用途においても静音性を重視することがある。また、周辺機器でも、たとえばヤマハのルータのようにファンレス化している例がある。 パソコンの静音化には、パソコンの用途によってその実現性が大きく分かれる。 まず最新の性能を備えた情報の高速処理が可能なパソコンでは冷却処理の必要性のさらなる増大は避けられない状態にあるので、騒音の原因となっている空冷扇風機の音を減らさなければならない。この場合に初期には放熱板(ほうねつばん)の体面積を大きくし空冷の必要を減少させた上で扇風機の設計を変えて同じ空冷効果を少ない音で実現してきた。ただしこの場合には扇風機や放熱板が大きく場所を取る為にパソコン本体の体積の増大を生んだ。またこのために内部の部品の位置の設置に関する風通しの工夫も必要となってきた。最近では、パソコンのCPUの高速化による電力消費とそれに伴う発熱の増大に空冷の消音化では物理的に対応出来なくなってきた事もあり、空冷でなくより高価で複雑な水冷処理が施されるようになってきている。よって最近では、冷却機能そのものが最新鋭のパソコンの機能および出費の大きな部分としてその重要性が増大してきている。
目次
1 概要
2 歴史
3 静音パソコンの実装方法
3.1 高性能パソコン
3.2 無音パソコン
4 脚注
5 関連項目
概要
歴史
1997年 - マイクロソフトとインテルが「PC97」を発表した。Entertainment PC97は稼動時(必須)、Basic PC97とWorkstation PC97は待機時の静音(推奨)を求めた[2]。
1998年 - 自作PCでCPUのオーバークロックが認知され始め、様々なクーラーが発売された。中には水冷式の物もあったと言う[3]。
1999年 - AMD対Intelの「クロックウォーズ」が始まった。MPEG2対応の動画キャプチャ製品が出回り始め、静音が必要なデジタル家電的なパソコンの芽が生まれた[4]。
2000年 - プロセッサが「ギガヘルツ」時代に突入した。自作PCで静音化に注目が集まり始め、静音型のHDDが主流になった[5]。
2001年 - 自作PCで静音化が人気となり、静音型のケース・電源・ドライブや吸音シート・サイレンサー・制振ネジなど様々な製品が発売された[6]。
2002年 - 自作PCで静音化が普及し、ファンレスヒートシンクやファンコントローラ、ACアダプタ化キットなど裾野が広がった[7]。またメーカー製PCにも水冷式のパソコンが登場した[8]。
2003年 - CPUの動作クロックの上昇が限界に達した。自作PCで静音化が定着し、ファンレスによる無音化が人気になった [9]。
2004年 - 自作PCでモバイルCPUや水冷キットが人気になった[10]。
2005年 - ゲーム用のハイエンドPCではSLIやCrossFireが人気になった[11]。翌年にはQuad SLIが発表され、CPUに代わってビデオカードの消費電力が増大していった。
静音パソコンの実装方法
高性能パソコン
CPUクーラー
大型ファンにより冷却性能と静粛性を両立した製品の例 手前右が標準サイズのファンCPUの高性能・高発熱化に伴って最も騒音を発するPCパーツとなっており、通常はヒートシンクに合わせて口径5cm?8cmの高速回転型の冷却ファンが固定されている。その駆動音・風きり音が最大の騒音源となっている場合が多い。CPUを低発熱型(ノートパソコン向けCPUや組み込みシステム向けCPU)に交換したり、ダウンクロック(アンダークロック)や低電圧化といった手法で低発熱化する事が可能であり、さらに大型のヒートシンクを併用する事でファンレス
電源ユニットファン
電源ユニット通常の電源ユニットには冷却用の排気ファンが取り付けられており、それを止めたり極端に弱める事は電源部の異常過熱をもたらし、発火等の重大事故を引き起こす恐れがある。大口径のファンを採用したものや、大型のヒートシンクを用いファンレスを実現した製品が静音電源として市販されている。上記のCPUファンと同じくファンの回転速度を普通から高速回転辺りにすると熱暴走を抑えつつ、静音を目指す事が出来る。また、一部製品においては水冷化されているものも存在する。そのほかにはACアダプタを使用した外部電源を採用する事もある。ゴムシートやウレタン、ファンサイレンサーというウレタン素材の円形の筒を電源に取り付ける事で振動を抑える事も出来る(熱が上がる可能性もある)、電源内部のファン自体にもゴムシートを取り付ける事が出来る(ショートしないように電源を消したり、電源コードを外したり、手袋をして作業をする必要がある)。電源ユニットには網目状の切れ込みがあるが金網状の部品(ファンガード)に取り替えると振動を抑え冷却効果が期待出来る。ファンにはドリル状のネジ(テーパーネジ)からファン専用のネジ(10cm?15cm、20cm?25cm、38cm用の長いネジ)にすると音が奮えずに静音を目指す事が出来る。CPUファンと同じくファンやヒートシンクを埃から除去する事により音を抑える事が出来る。
ケースファン
大型ケースファン外部から空気を取り入れたり、あるいはケース(筐体)内部の熱を外部に排気するためのファンで、空冷式では最も重要なエアフローの根幹となる。