シアン化水素
IUPAC名
シアン化水素
メタンニトリル
水素化窒化炭素
別称ヒドロシアン酸
シアン化水素青酸
ホルムニトリル
ギ酸ニトリル
識別情報
CAS登録番号74-90-8
-13.4 ℃ (259.75 K)
沸点
26 ℃ (299.15 K)
水への溶解度Completely miscible.
酸解離定数 pKa9.21
構造
分子の形直線形
双極子モーメント2.98 D
熱化学
標準生成熱 ΔfHo108.87 kJ mol−1(l)
135.1 kJ mol−1(g)
標準モルエントロピー So112.84 J mol−1K−1(l)
201.78 J mol−1K−1(g)
標準定圧モル比熱, Cpo70.63 J mol−1K−1(l)
35.86 J mol−1K−1(g)
危険性
主な危険性毒性、引火性ともに高い
NFPA 704442
RフレーズR12, R26, R27, R28, R32.
Sフレーズ(S1), (S2), S7, S9, S13, S16,
S28, S29, S45.
引火点−17.78 °C
関連する物質
関連物質ジシアン
シアン化塩素
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
シアン化水素(Hydrogen Cyanide)は、メタンニトリル、ホルモニトリル、蟻酸ニトリルとも呼ばれる猛毒の物質である。その水溶液は弱酸性を示し、シアン化水素酸と呼ばれる。
相で区別する場合、気体のシアン化水素は青酸ガスと呼び、液体は液化青酸と呼ぶ。気体、液体、水溶液のいずれについても、慣習的に青酸(せいさん)と呼ばれる。この語は紺青に由来する。
なお、シアン酸は異なる物質である。また、ドイツ語のシアン(ドイツ語: Cyan、英語: Cyanogen)はジシアンに等しい。 シアン化水素は可燃性の気体であり、爆発範囲 (5.6?40.0パーセント) を持ち、常圧における沸点が常温付近のため、気温が低いと液状、高いと気体になる。ただし液体でも揮発性が非常に高く、一部が気体として揮発してくるため、低温時でも中毒の原因となる。 なお、シアン化水素が水に溶けて、シアン化水素酸になった場合は、水分子との高い親和力により液化青酸よりも気化し難い。 シアン化水素の分子は極性を有するため、液化したシアン化水素は比誘電率が高く、18 ℃で118.8であり、極性を有した物質に対して優れた溶媒として用いる事も可能である。しかし、シアン化水素の毒性のため、溶媒としての取り扱いには細心の注意を要する。 シアン化水素の炭素原子と窒素原子は、三重結合で結合している。炭素よりも窒素の方が電気陰性度が高く、この結果、窒素の側に電子の存在確率が偏るために、分子は極性を持つ。この部分は、官能基で言えばニトリルと呼ばれる構造である。しかし、シアン化水素の場合、極性溶媒の中ではシアン化水素酸としてプロトンを電離するなど、一般的なニトリルとは性質が異なる。なお、シアン化水素酸の酸解離定数は、18 ℃において、Ka = 1.3 × 10−9である[注釈 1]。 シアン化水素酸がプロトンを電離した陰イオン(CN−)をシアン化物イオンと呼び、特に遷移金属のイオンに配位して、錯体を形成し易いため、錯体化学の分野では重要なイオンである[注釈 2]。
性質
物理的性質
化学的性質