青春の殺人者
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青春の殺人者
The Youth Killer
監督
長谷川和彦
脚本田村孟
原作中上健次
製作今村昌平
大塚和
製作総指揮多賀祥介
出演者水谷豊
原田美枝子
音楽ゴダイゴ
撮影鈴木達夫
編集山地早智子
製作会社今村プロ
綜映社
ATG
配給ATG
公開 1976年10月23日
上映時間132分
製作国 日本
言語日本語
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『青春の殺人者』(せいしゅんのさつじんしゃ)は、1976年公開の日本映画

長谷川和彦監督、水谷豊原田美枝子主演。今村プロ=綜映社=ATG製作、ATG配給。カラー / ビスタ / 132分。
概要

長谷川和彦の第1回監督作品。1974年千葉県市原市で起きた親殺し事件を下敷きにした中上健次の短編小説『蛇淫』をもとに、田村孟が脚本を執筆した。深い理由もなく、行きがかりから両親を殺してしまった青年とその恋人の末路を、突き放した視点から描く。
ストーリー

千葉県の空港近くでスナックを営む若者・斉木順は、ある日自身が普段乗っている車を勝手に持っていった両親から車を取り返しに実家に訪れる。順は、父から自身の恋人・ケイ子の悪口と共に「ケイ子と別れなければスナックを辞めてもらう」と言われてしまい激昂する。順は父を包丁で刺殺してしまい、直後に帰宅した母はその状況に悲観して息子から包丁を奪い無理心中を図ろうとしたため、彼は母をも殺めてしまう。

スナックに戻った順は、ケイ子に「オーナーである両親と大喧嘩したから今日限りで店を閉める」と言って車で彼女を家に送り届け、一方的に別れを告げて去ってしまう。夜遅く再び実家に戻った順は、懐中電灯の明かりだけを付けて両親の遺体を毛布で包んでロープで縛っていた所、ケイ子が家に来てしまう。遺体を見つけたケイ子は血で汚れた風呂場を洗うのを手伝い、順と2人で遺体を車に乗せて夜明け前の港に訪れ2つの遺体に重りを付けて遺棄する。

順はケイ子とドライブして数時間後、海水浴場でアイスキャンディーを食べていると、自身が子供の頃に両親と過ごした海辺での思い出に涙する。その時ふと順は、何事もなかったようにもう一日だけ真面目に働いてみることを思い立ち、ケイ子と2人でスナックに戻ることに。しかしスナックまであと少しと言う所で、空港建設の反対デモ取締りのため機動隊の検問に遭った順は、自責の念にかられて両親を殺したことを自供してしまう。
スタッフ

製作 -
今村昌平大塚和

企画 - 多賀祥介

監督 - 長谷川和彦

助監督 - 石山昭信、矢野広成、草水良一、杉田二郎[1]

脚本 - 田村孟

原作 - 中上健次

撮影 - 鈴木達夫

音楽 - ゴダイゴ

美術 - 木村威夫

録音 - 久保田幸雄

照明 - 伴野功

編集 - 山地早智子

製作担当 - 浅尾政行[1]

制作進行 - 榎戸耕史(榎戸耕名義)[1]平山秀幸(平山秀之名義)[1]、飯塚勇

キャスト
斉木順
演 -
水谷豊スナック『キャサリン』の雇われマスター。普段は強気な態度で責任感がなく周りの人のせいにする性格。ただし、中学時代は委員長をやるなど真面目な性格で優等生だった。気ままな行動で振り回す父や、過保護で色々と指図して子供扱いする母に反発している。
順の父
演 - 内田良平夫婦でトラック専門のタイヤ工場のような自営業をしている。順が働くスナックのオーナー。気位が高く気ままな性格で、これまでに順に気前よく家電製品などを買い与えているが、突然取り上げるようなことをしている。ちなみに順が子供の頃は、海水浴場でアイスキャンディー売りの仕事をしていた。
順の母
演 - 市原悦子これまでに夫と自宅のタイヤ工場で必死に働いている。ケイ子のことをあまり良く思っておらず陰で「あの女」呼ばわりしている。機転が利く我慢強い性格だが、順に対して過保護。心の中では「新しい服を買いたい、温泉に行きたい」など色々欲求があるが、働き詰めのせいで自身のことは後回しになっていて質素な生活を送る。
常世田ケイ子
演 - 原田美枝子順の恋人で、彼のスナックで働く。中学生の頃に左耳だけ難聴になったため左から話しかけられても聞こえない状態。子供っぽい性格で、順に対していつも甘えるような言動をしている。本人によると「中学生の頃に順が住んでいた家の庭に生えていたイチジクの実を、勝手に食べたことがバレて母に叩かれて左耳が失聴した」とのこと。
ケイ子の母
演 - 白川和子家は、海のそばにあり、過去に斉木家が近所に住んでいたためお互いのことを良く知っている。ケイ子が中学生の頃はしつけに厳しい性格だったが、現在は酒浸りで娘の服を勝手に着るなどややだらしない性格。
宮田道夫
演 - 江藤潤順の高校時代のクラスメイトで、ケイ子とも親しくしている。昔撮った学生時代の8ミリ映画の映像を自身と郁子の結婚披露宴で流す打ち合わせのため、徹と3人で順に会いに来る。
石川郁子
演 - 桃井かおり宮田の恋人で、同じく順とは高校時代のクラスメイト。ケイ子とも顔見知り。宮田とは高校時代に付き合い始めその後2人とも東京の大学に進学している。事前に言っておいた8ミリ映画の映写機を実家に忘れたと言う順を責める。
日高徹
演 - 地井武男宮田の大学の友人。大学7年生。宮田の披露宴で司会を任される。
漁師の女
演 - 女A(高山千草)、女B(三戸部スエ)ケイ子の家のご近所さん。順も中学時代に同じ地域に住んでいたため、彼のことも良く知っている。ケイ子の母の家で3人で楽しく酒を飲み、たまたま訪れた恋人同士のケイ子と順をからかう。
サウンド・トラック

2010年11月24日にサウンド・トラックが発売された。
収録曲
想い出を君に託そう(オープニング)

作詞:
奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


白い小鳥-インストゥルメンタル#1-(順とケイ子)

作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


順と父

作曲・編曲:ミッキー吉野


死体

作曲・編曲:ミッキー吉野


死者の声

作曲・編曲:ミッキー吉野


イエロー・センター・ライン-ショート・バージョン-(夕焼け-祭の街へ)

作詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


想い出を君に託そう-未発表唄入りテイク- (回想-更地にてI)

作詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


想い出を君に託そう-未発表インストゥルメンタル#1- (回想-更地にてII)

作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


想い出を君に託そう-未発表インストゥルメンタル#2- (回想-更地にてIII)

作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


おかしなウエディング (8mmフィルム「磔刑(はりつけ)」)

作曲・編曲:ミッキー吉野


白い小鳥-インストゥルメンタル#2-(ケイ子のイチジク)

作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


殺意-フラッシュ・バック

作曲・編曲:ミッキー吉野


憩いのひととき-インストゥルメンタル-(回想-海岸のアイスキャンディー売り)

作詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


マジック・ペインティング(回想-スナック開店風景)

作詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:ミッキー吉野


憩いのひととき-ショート・バージョン-(エンディング-高速道路)

作詞:奈良橋陽子 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:石川鷹彦


スティーヴ・フォックス笑い声

「想い出を君に託そう」「イエロー・センター・ライン」「マジック・ペインティング」「憩いのひととき」はゴダイゴのアルバム『新創世紀』に、「白い小鳥」はタケカワユキヒデのアルバム『走り去るロマン』に、それぞれフル・ヴァージョンが収録されている。

ライナー・ノーツには、杉本博士による解説及び長谷川和彦とタケカワユキヒデによる対談が記載されている。

このサウンド・トラックは名義上、ゴダイゴのアルバムである。
製作経緯
企画

1975年8月に長谷川の噂を聞きつけたATGの多賀祥介が「一本監督しないか」と長谷川に声をかけスタートした[2][3][4]。製作が決まってクランクインまで丸一年を要した[3]


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