青年海外協力隊
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青年海外協力隊(せいねんかいがいきょうりょくたい、: Japan Overseas Cooperation Volunteers, JOCV)とは、日本国政府が行う政府開発援助 (ODA) の一環として、外務省所管の独立行政法人国際協力機構 (JICA) が実施する海外ボランティア派遣制度である。募集分野には農林水産人的資源保険医療などがあり、さらに120以上もの職種に分かれている。2019年9月末現在までに92ヶ国、計45,294名の隊員が派遣されている。[1]
沿革

1954年日本コロンボ・プランへの参加を経て、1957年に構想がスタート。1961年アメリカ合衆国による海外ボランティア平和部隊創設、同年の日本平和部隊構想といった流れを経て、1965年に発足した。最初の派遣国は東南アジアラオス。当初は海外技術協力事業団(1971年に国際協力事業団、後の国際協力機構に統合)により実施されていた[2]

関連事業として、1990年にはより高い年齢層を対象としたシニア協力専門家(後にシニア海外協力隊に改称)が、1996年には中南米日系人社会をターゲットとした日系社会青年ボランティア・日系社会シニア・ボランティア(後に日系社会青年海外協力隊・日系社会シニア海外協力隊に改称)が開始されている。2000年には派遣隊員数が2万人を突破、2018年6月末現在まででは、派遣国が計91ヶ国、派遣隊員数は延べ43,864名となっている[1][2]。2013年には熊本県から初の親子で同じ国に派遣される隊員が誕生し、親子や兄弟で協力隊経験者という例もある。

2016年には、アジアのノーベル賞とも呼ばれるラモン・マグサイサイ賞を受賞している[3]
活動内容

派遣国からの要請に基づき活動を行う。アフリカでの井戸掘りといったイメージを持たれることが多いが、実際の活動内容は派遣国・職種により大きく異なる[4] 。例えば、コミュニティ開発[5]であれば地方の村落を回っての生活改善や産業育成の支援、教師PCインストラクターなら指導法の教育や実際の授業、家畜飼育であれば農家への飼育方法の教授、といったことを行う[6]

活動目的としては下記の3点が掲げられている[7]
開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与

友好親善・相互理解の深化

国際的視野の涵養とボランティア経験の社会還元

派遣国

2013年7月末現在の派遣国は71ヶ国、これまでの累計では計88ヶ国となる。高中所得国であるメキシコから、最貧国の一つであるバングラデシュまで、派遣国は多岐に渡る。地域別ではアジアアフリカがそれぞれ派遣者総数の約3割を占め、ついで中南米が2割、中東オセアニアが各1割弱である。ヨーロッパ(旧東側諸国トルコ)への派遣も行っていたが、全体に占める割合は僅かである。国別では、マラウイが計1,599人で最も多く、次いでフィリピンケニアタンザニアと続いている[8]

また、同じ国であっても開発が遅れた地方の農村や都会のスラムから、逆に発展した首都の官公庁や大学まで、派遣先は隊員ごとに大きく異なる。

地域ごとの主な派遣国と累計人数[8]アジア中東アフリカ中南米オセアニアヨーロッパ
国人数国人数国人数国人数国人数国人数
1位 フィリピン1,526人 モロッコ927人 マラウイ1,599人 ホンジュラス1,140人 パプアニューギニア592人 ブルガリア250人
2位 マレーシア1,275人 シリア565人 ケニア1,510人 パラグアイ1,069人 フィジー493人 ハンガリー135人
3位 バングラデシュ1,168人 ヨルダン499人 タンザニア1,453人 ボリビア850人 サモア473人 ルーマニア116人
4位 ネパール1,093人 チュニジア349人 ザンビア1,290人 グアテマラ592人 トンガ393人 ポーランド103人
5位 スリランカ868人 エジプト220人 ガーナ1,183人 ドミニカ共和国563人 ソロモン諸島344人 トルコ2人
地域全体19ヶ国11,156人6ヶ国2,628人26ヶ国12,404人22ヶ国8,244人10ヶ国3,262人5ヶ国606人

職種

大きく8つの分野に分けられる。2013年7月末現在では、人的資源分野が派遣者数全体の半分を占めており、過去の累計でも4割に達する。ついで計画行政保険医療がそれぞれ2割弱を占める。かつては農林水産鉱工業といった分野の割合も大きかったが、現在では1割以下に低下している。各分野の中では、コミュニティ開発[5]が計2,595人で最も多く、次いで理数科教師[5]日本語教育看護師と続いている[8]。日本語教育やコミュニティ開発は特別なスキルを持たない参加者の受け皿となっている[9]

なお、以下の表も含め、本項目における名称・分類はJICAのものに従っている。

分野ごとの主な職種と累計人数[8]職種人数職種人数職種人数職種人数
計画行政公共公益事業農林水産鉱工業
1位コミュニティ開発[5]2,595人電気通信558人野菜栽培1,379人自動車整備1,316人
2位コンピュータ技術1,380人建築555人稲作栽培681人電気電子機器758人
3位統計74人土木519人家畜飼育652人工作機械234人


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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