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霜が降りた朝地面の物体に霜が付いている霜が付いた落ち葉霜が付いたバラの花模様ができた窓の霜

霜(しも、: frost[1])は、0以下に冷えた物体の表面に、空気中の水蒸気昇華し、結晶として堆積したものである[1][2]

なお、地中の水分が凍ってできる霜柱とは異なる(#類似の現象)。
霜の発生機構と様相

霜が付くためには、物体が0℃以下に冷えて、かつ空気の湿度が高まり氷過飽和となる必要がある。言い換えると、物体表面の温度が、そこに触れている空気の温度に湿度を加味した霜点温度(温度が0℃以下のときの露点温度のこと)よりも低くなるときである[2][3][4]。なお、物体表面が0℃以上では、湿度が高まって水過飽和になるとを生じる[3]

地面そのものや地面に生える草ののほか、屋外のさまざまな地物に付着する[5]。特に、樹木など地面からある程度離れた高い所にも付着する霜を樹霜と呼ぶほか、建物などの内部にできる霜は内部霜、ガラス窓にできる霜は窓霜と呼ぶことがある[2][5][6]
気象状況

典型的には、早朝をピークとして、が弱く穏やかに晴れた天気のもと、放射冷却が発生し地面がよく冷えたときに発生する[5][6]気温が2 - 3℃で霜は生じるが、気温は地上約1.5メートル(m)の高さで測定しており、朝の地表の温度はそれよりも数℃低くなるためである[2][6]。気温5 - 6℃でも生じることがある[7]

一方、気温が低くても霜が生じにくい天気として、風が強いとき、が降っているとき、湿度が低く乾燥しているときが挙げられる[7]

気象状況によってradiative frost(radiation frost, 放射霜)とadvective frost(advection frost, 移流霜)の2種に分類する文献もある。radiative frostは既に述べた通り放射冷却により地表が低温になるもので、上空では、通常とは逆に高度とともに気温が上がる逆転層が生じているのが特徴。advective frostは、比較的大きなスケールで寒気が移動(移流)してくることで地表も低温になるもので、風が強く大気はよく混合されていて、日中でも霜が生じるのが特徴。radiative frostとadvective frostの複合的な状況も珍しくなく、まず寒気が移動してきて何日か居座る中で、穏やかな天気の下放射冷却が進んで霜が降りることもある[8][9]

例えばアメリカ・カリフォルニア州インディアンバレー(大陸の内陸部)におけるradiative frostの例をとると、地表面における正味放射[注釈 1]がプラスからマイナスに転じる日の入り前後数時間に1時間ほどの急速な気温低下があり、その後日の出までの時間帯はゆっくりと低下していく傾向が認められる。このように経験的に気温変化などを導くことはできるが、場所による差異があって一般化は難しい[8]

advective frostは、大陸の寒冷な気団が移動してくる大陸東部で他の地域より相対的に起こりやすい傾向がある。advective frostによる霜害は数日間続くことが多いが、その頻度は放射霜よりも少ない[8]

送風や加熱などの積極的な霜害対策法の多くは逆転層の発生を前提としており、advective frostではふつう効果が乏しい[8]

なお、溜まった冷気が谷を移動する局所的な低温による霜(後述)は小さなスケールでのadvective frostと捉えることもできる。そして、このような現象はradiative frostが生じるような放射冷却が起きる天候下で進行する[8][9]

高い湿度のもとで霜が物体表面に堆積していくと樹霜となる。反対に湿度が低いと、冷却が進んでも霜点温度に達せず霜が付かない。この状況では正確には「霜」は生じていないが、植物の「霜害」は生じることがあって、black frostということがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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