この項目では、漢語・訳語としての霊性の意味について説明しています。キリスト教におけるそれについては「霊性 (キリスト教)」を、ニューエイジ系宗教や医療での現代的用法については「スピリチュアリティ」をご覧ください。
霊性(れいせい、れいしょう[1])は、非常にすぐれた性質や超人的な力能をもつ不思議な性質[1]、天賦の聡明さ[2]といった意味の漢語であり、肉体に対する霊[1][注釈 1]の意味でも用いられる。また、英語: spirituality(スピリチュアリティ)、ラテン語: spiritualitas の訳語でもあり[3]、スピリチュアリティとも訳され、宗教心のあり方、特にカトリック教会などでの敬虔や信仰などの内実やその伝統を指す[4]。カトリック神学用語としての霊性の起源は5世紀に遡るが[3]、神学用語として積極的に用いられるようになったのは20世紀初めのことである[5]。その後、キリスト教用語の枠を越えて広く宗教用語や一般文化用語として用いられている[3]。
ヴィヴェーカーナンダのインド的霊性や鈴木大拙の日本的霊性・東洋的霊性と西欧的霊性とが区別されることもある[5]。また、ニューエイジや精神世界などと呼ばれる文化現象[6][7]または非組織的な宗教現象[注釈 2]に対して霊性の語が適用されることもある。1990年代以降はスピリチュアリティとカタカナ表記される方が優勢であるが[6][注釈 2]、霊性とスピリチュアリティという訳語を同じものとして扱うこともある[8](ここでは便宜的・恣意的に「霊性」と「スピリチュアリティ」の記事を分けているが、記事内容に沿った使い分けを推奨している訳ではない)。 漢語・中国語としての霊性(繁体字: 靈性、簡体字: ?性、.mw-parser-output .pinyin{font-family:system-ui,"Helvetica Neue","Helvetica","Arial","Arial Unicode MS",sans-serif}.mw-parser-output .jyutping{font-family:"Helvetica Neue","Helvetica","Arial","Arial Unicode MS",sans-serif}?音: ling xing)には、以下のような語義がある。 1. 聡明な天性[9]、才知、能力[10][11]、事物を感受したり理解する能力[11]。この意味での霊性の用法は、韓愈の芍薬歌「嬌痴婢子無靈性,競挽春衫來比並」や紅楼夢[12][9][11]、魯迅[13]、 郁達夫[14][11]などがある。この用法は日本では北原白秋の「桐の花」(1913年)[15]で「夜が更け、空が霽れ、蒼褪めはてた経験の貴さと冷たい霊性のなやみを染々と身に嗅ぎわけて、哀傷のけものは今深い闇のそこひからびやうびやうと声を秘そめて鳴き続ける。」「何たる神秘、落ちついた真青な輝き……暗い深夜の秘密に密醸された新鮮な酸素の噎びが雨後の点滴と相連れて、冷たい霊性の火花も今真青に慄わなゝき出した。」「譬へ天真の稚気と信実とが絶えず心の底に昼の蝋燭の様にちろろめいてゐたにもせよ、馴れ過ぎた天の恩寵と世の浅はかな賞讃とが何時しか汝の貴重な霊性を盲目にした。」[1]などがある。 2. 動物が人間によって教えられた知恵[10][16]、動物の利口さ[17]を指す用法もある。 3. 精神、精気[11]。この用例には、南朝宋の顔延之の《庭誥》之二「未能體神,而不疑神無者,以為靈性密微,可以積理,知洪變??,可以大順。」や、 梁の沈約の『釋迦文佛像銘』に「眇求靈性,曠追玄軫,道雖有門,跡無可朕。」がある[11]。 4. 宗教的悟性(理解力)[11]。この用例には、明の陳汝元
漢語としての霊性
5. 霊魂[11]。この用例には、元の無名氏《朱砂擔》第四摺「我只道?靈性歸天上,卻元來幽魂?井底。」、清時代の呉騫《扶風傳信録》「妾得寵于君,性尤?,宮中之人,多被讒害,因此落劫,然靈性不泯,隨即修行,今已閲七世矣!」 などがある[11]。 平安末から鎌倉初期にかけて活躍した神祇官大副卜部兼友
歴史的宗教文献での用例